「391話」
花粉のち、風邪……1週間ぐらい続くこれは果たして風邪なのだろうか(´・ω・`)ヒノキ花粉とかじゃないよね。
「しっかしよく許可おりましたねー」
「まあ、実績があるからな」
消えていった中村を見送り、このまますぐ移動するのもな……と思った俺は、なんとなく気になっていたことを都丸さんに尋ねてみた。
実績があるからかー実に日本っぽい。
太郎が結果出しちゃったもんだから、別の犬種に変えてダメだった時の責任がどうたらとか多分そんなの。
これが日本じゃなければ……日本以外ってそういやどうなってんだろ?
「そういや他国もやってるんです?」
「まあ、いくつかはあるらしいが……あまり上手くいったとは聞かないな」
「あ、そうなんですか?」
あるにはあるけど微妙なのか。
なんとなく犬と一緒にハントを楽しむとかそんなイメージあったけども。
「まあ、失敗したとも聞かないがな」
「単に話題になってないと」
「そういうことだ」
あまり大々的にやっていないのか、黙ってやっているのか。
どっちだろうかね? 犬を連れてダンジョンに行くとかなんとか保護団体とかが騒ぎそうなもんだけど……下手に騒ぐとBANされそうだから大人しくしているんだろうか?
気になるから、もう少し詳しく聞いてみようか。
中村が戻るまで時間まだ掛かるだろうし。
「しばらく追いつかれることはない、か」
色々聞いたり調べてみた結果、犬をダンジョンに潜る相棒として採用している国はいくつかあるらしいが、採用してしばらく経つとダンジョンで姿を見なくなるんだそうな。
どうも最前線に連れて行ってケガをして犬が潜るのを嫌がってしまい、無理強いするわけにもいかず……ってのがちょいちょいあるとかないとか。
そりゃそうだよなー……日本みたいにカード集めの周回に散歩がてら一緒に行くぐらいが良いのだろう。
そう考えるとクロはすごいな……感謝しかない。思いっきりなでくり回してあげよう。
「それじゃそろそろいっくよー」
戻ってきた中村が無慈悲な二周目に突入したのを見届けると、俺はクロを連れて再びダンジョンへと向かう。
他国の進捗が芳しくないことは分かった。もっと差を広げておくとしよう。
「だめだ、腹減った」
ダンジョンに潜って敵を倒しながら進むこと2時間ほど。
めまいがしそうな程の空腹感に、俺は動けなくなっていた。
最初は気のせいかな? と思っていたが、空腹感がどんどん強くなるにつれその異常さに気が付いた。
そして気が付いたときには……スキルが解除できなくなっていた。
これ絶対スキルの反作用か何かだろ……。
「……いやいや、さすがにそれはない」
なんでもよいから口に……と目の間にあったお肉にかぶりつこうとしたところで思いとどまる。
生肉は人としていかんと思うのだ。
「燃えるもの……燃えるならなんでも良い」
バックパックをあさり、一応拾っておいたぼろきれを取り出す。
これに飛竜の脂身を適当に刻んでちょっとブレスで燃やせば……ついた!
「なかなか火が通らないねえ……」
ばちばちと油が爆ぜる音があたりに響くが、たまたま残っていた飛竜のお肉は、肉塊と言って差し支えない大きさなだ。
その分火の通りは悪い……一度ブレスで直火焼きも試みたが、お腹の減りが加速したのですぐあきらめた。
「うまっ」
空腹は最高の調味料とはよくいったもんだ。
塩すらふってないただの素材の味なのに、めちゃくちゃおいしい。
「クロもほら……熱いから気を付けてね」
もちろん俺だけ食べるわけじゃない。クロにもおすそ分けはするよ。
といってもクロはそこまでお腹すいてないらしく、お肉を一切れ食べたらあとはもう要らないって横になっちゃった。
まあ、せっかくなのでクロが寝ている間に空腹を満たすことにしよう。
この感じだとかなり食わないと満腹にはならない気がする。
戦闘していなくてもこの姿でいるだけで腹が減っていきそうだから余計にだ。
「うーん、明らかに食った量がおかしいな」
とりあえず満腹にはなった。
なったけれど、飛竜の足一本……とは言わないが、半分ぐらい食った気がする。
あきらかに体積より多いなこれ?
「でも別に体調おかしい訳じゃないし……問題なし!」
ちょっとお腹がぽこってなっているけど、単に食いすぎた程度だ。
それ以外はまったくもって何ともないので、気にしないことにした。
深く考えちゃいけない。
とりあえず今日はこのへんにして引き上げるとしよう。
またお腹空いても困るし、帰りはダッシュだな!
そして途中何度か戦闘は挟んだものの、特に何事もなく帰ってこれた。
これたのだが……。
「なんか体が軽いような……?」
なんだろうねこれ。
今はスキル解除して、ダンジョン外というか家に居るのだけど……妙に体が軽い気がするのだ。
ふわふわする感じではなくて、こう切れが良い? っていうのかな。
「重かったのを解除したから? でも別に違和感とかなかったし、たぶん違うよなあ」
一度スキル使っている状態でダンジョン外に出ているから、あの時とは違うの分かるので……スキルのせいではない。
となるとさっきの大食い……いや、まさかね?
「……深く考えるのはよそう」
さっきも思ったけど、深く考えないほうが良いたぐいのもんじゃないかなーって。
ま、それよりもですね。
「……これは飴? それとも宝石?」
実は帰りに素材っぽいの拾っていたりする。
見た目がやたらカラフルな飴玉……寄りの宝石?
「どっちだと思う?」
そうクロに問いかけてみるが、クロは玉をちょいちょいと転がし追いかけていってしまう。
……まあ見た目はカラフルなだけで玉だし、クロ的には遊び道具にしか見えないのかも知れない。
「あ」
……転がすの飽きたのだろうか、クロはパクリと玉を一口で食べてしまう。
カリカリと音だけは美味しそうではあるが、クロの表情的に味はそこまでじゃなさそう。
しかめっ面まではいかないけど、ちょっと眉間に皺がよってそうな感じ。
さて、果たしてどんな効果があるのだろうか、俺の時は色々とひどい目にあったが……はて?
「毛艶がよくなって……ちょっとお肉がついた?」
なんかすごいむちってしている。
特にお腹あたり……感想言いながらおなかに触れたら、がぶっとかまれた。
ごめんて。




