380話
背中から生えている腕の対処方法を教わり実行したら、完全体な腕が生えたよ。
なんでだよっ!
「ク、クーリングオフ! クーリングオフを要求する! 詐欺だよぉこれぇっ」
「おおっと残念!! 我々にはそんなものは存在しないのさっ!!」
「はああああんんっ!?」
これ、絶対わかっててやってんな、おいぃ??
思わず中村ばりの変顔しちまったじゃないか。
くっそぉ……むかつくのがさ、不完全な腕が完全な腕になったんだから確かに対処方法ではあるんだよな。
納得いくかどうかは別の話だけど。
「いや、でもこれ真面目に困るんだけど……お外に出られんよ? 引きこもっちゃうよ俺??」
冬は厚着すりゃいけるけど、夏は無理やぞ。
すまん中村。海に行くってお前との約束も果たせそうにない……バレーボール代わりに生首つけるからそれで勘弁してくれ。
……ん? 生首に押し付けたらあいつにくっついたりせんかな?
戻って試してみるか……?
……だめだな。変な生物が爆誕してしまう。
却下だ却下。
「普段はしまっておけば良いんじゃないかな!!」
「え、勝手に出てきたんだけど……引っ込むのこれ?」
もうお嫁にいけない……みたいな感じでメソメソしてたらアマツから衝撃発言が飛び出した。
そうね。それもそうね。よくよく考えたらアマツの腕と目だってひっこめたり出来るんだから、この腕だって格納できたっておかしくはない。
腕を格納できること自体がおかしいとかいう突っ込みは無しだ。
まあ試しにやってみんべ。
「あ、引っ込んだわ」
思ったよりあっさりできたよ。
ぴちぴちにゅるんって感じで……色々おかしいだろ。
魚か何かかな?
「普通に動くし感覚もあるけど違和感すげえ」
「なに、すぐ慣れるさ!」
生やそうと思えばすぐ生やせるし、動かそうと思えば動かせる……ただ今まで何もなかったところに腕が生えて、しかも関節らしきものまで生成されてそうなので、すんごい気持ち悪い。
てか俺の骨格今どうなってんだこれ?
「人として慣れちゃいかんと思うのだ」
「ハハハッ!!」
何わろてん。
こちとらうっかり人前で生やした日にゃあ……大惨事間違いなしだからどうにか制御できるように頑張ってるというのに。
慣れたくないのに慣れなきゃいけないこの辛さよ……
「動画?」
腕の制御に四苦八苦していると、アマツが最近の戦闘を動画として公開していいかい? と聞いてきた。
どうやら訓練施設以外にも最深部の動画を公開して、よりみんなのやる気を高めたい……らしい。
果たしてそんな効果あるんじゃろか。
逆効果なっても知らんぞ俺は……。
「あの顔色の悪いおっさんなら別に……ここの戦闘シーンは社会的と物理的に死にそうな気がするんでちょっと」
ねー? とクロに同意を求めてみる。
ぱっと見、出会いがしらに美人を切り殺し、美少女? に迫る異形……みたいな動画にしかならんと思うのだ。
お義父さんは見ないかもだけど、お義兄さんは見るかな……遥さんもたぶんみるよな。
やっぱダメそう。
クロは俺のほうをちらりと見て大きく欠伸をすると、ごろんと横になった。
そしてめんどくさそうに尻尾をぱたんぱたんとふる。
この心底どうでもよさそうな感じがかわいいね。
「クロもそういってますし」
「うーん……でもいずれ彼女みたいなのが敵として出てくるって知られる訳だし、島津くんが彼女らを倒したことは知られちゃうんじゃないかなあ」
「む……」
そういわれると……ただ倒し方に若干問題がある気がするんだよなあ。
これがまともに決闘でもする感じだったら……いや、どっちにしてもダメそうだ。
うーむ。
「じゃあ、余計な誤解が生まれないよう私が解説を入れようじゃないか! それなら島津君も安心だろう?」
「安心、どこ? ……すんません思わず本音が」
アマツさんの解説……解説?
安心できる要素すくなくない?
「とりあえずそれでお願いします」
「任されたよ!!」
どんっと胸を叩いたまま固まっているアマツが不憫に思えて……思わずOKしてしまった。
無事にいくことを祈っておこう……。
「そういえば」
「なんだい!!?」
うるせえ。
とりあえず諸々の問題は片付いたので、せっかくアマツさんも来てくれたことだし気になったことを聞いてみようかな。
「ここに出て来る敵ってみんな女性なんです?」
「あー……それはだねえ」
今のところ連続で女性タイプがきているからねえ。
俺の質問にアマツさんは答えづらそうに視線をさ迷わせていた。
珍しいこともあるもんだ。ネタばれになってしまうからとかかな?
「んー……そういう訳じゃないんだけどねえ」
「なんかあったんです?」
アマツさんに反旗を翻したとか?
てめえこんな場所に押し込めやがってよお、クソがぁ……みたいな。
「みんなで斬り合い始めちゃったんだ」
ぱーどぅん?




