表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家の猫がポーションとってきた。  作者: 熊ごろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/379

「17話」

「……お邪魔しました」


「ちょっとまった!?」


 突然の出来事に混乱した俺が取った行動は部屋を出る、だった。


 だがそいつが扉をロックしたのだろう、押しても開く事は無かった……閉じ込められたか。


「いきなり出て行こうとするとは思わなかったよ。 自己紹介をしようか……私はアマツ。 君に分かりやすく言うと、ダンジョンマスターと呼ばれる存在だと思ってくれて良い」


「ダンジョンマスター……」


 まじか、まじでダンジョンマスターか……俺以外に人が居るってことは考えられないし、たぶんそうなんだろう。


 今のところ友好的ぽいけど……わざわざ接触しにきた目的はなんだろうか。


「私は島津……島津康平。その、ダンジョンマスターさんが何の御用でしょうか」


 なるべく失礼にならないよう聞いてみよう。


 内容によっては逃げるしかない……だめだ出口塞がれてるじゃん。

 詰んだか……?いや、いざとなったら殺して……なんて俺が物騒な事を考えていると、自称ダンジョンマスターのアマツは両手をぱっと広げ、満面の笑みを浮かべながら話し始めた。



「いやなに、チュートリアルを突破した君を祝福しにさ。 それと突破した事でダンジョンの機能が解放されるから、その説明に来たんだよ」



 チュートリアル? ここまでの道程がチュートリアルってこと?


 ……いや、それはいい。 それよりも気になる事がある。


「機能……どんな機能があるんですか?」


「色々あるよ。 ……でも君にはまずこれを説明した方が良いだろうね」


 アマツはそう言うとパチンと指をならす。

 何格好付けてんだこいつ――




「さ、立ってないで掛けると良い」


「はい……」




 ――なんて考えてませんよ?


 床から椅子とテーブルが生えた。

 やばい、ちょっと言動が変だけどこいつはダンジョンマスターなんだ、絶対に怒らせてはいけない。


 とりあえずアマツに促され、俺は椅子に腰掛ける。


 それを見たアマツはさらに笑みを深くし、再び指をパチンとならした。


 すると俺の目の前の空間に変化が起こる。ノイズの様な物が見えたかと思えば、やがて四角く薄っぺらい板状の物が空間に出現したのである。


「えっ!? あ、これは……?」


「それはチュートリアルを攻略した者に与えられる、ダンジョン専用の端末だよ。 名称はまだ決まってないんだよ、なかなか良い名前が浮かばなくてね」


「はぁ」



 端末? 端末って……ここダンジョンだよな? 急に端末とか言われても……くそ、頭が回らないぞ、アマツの話にもろくに反応出来やしない。



「使い方はタブレットと同じ感じで使えるよ……で、そこのポイントって所を触れてみて」



 悩んでも仕方ない、ここはアマツの話をしっかり聞いて機嫌を損ねないようしなければ。


 とりあえず俺はアマツに言われた通り端末を手に取り、その端末の画面……ぱっと見は液晶に見えるそれに指で触れる。


 するとぽぽぽんとさらに細かい項目が出てきた……えっと、改造、修復、施設……。


「色々出て来たでしょ? で、購入ってあるからそれに触れて……どう? 君が欲しいものがあるんじゃない?」


 ほう……ほほう!?


 アマツにそう言われた俺は即、購入に触れて画面を凝視する……ここは装備、ここはバッグ? ここは……ポーション。


 ポーションの項目を見ると、そこには俺が今まで手に入れたポーション以外にも見たことの無い物が並んでいた。


 まず所有済みの回復のポーション。 あとは持っていない病気治療のポーション、解毒のポーション、それと……若返りのポーション!!


「!? あ、あります! ありまっ……こ、これ買えるんですか!??」


 端末を指さして、アマツのまえに突き出して買いたい事を必死でアピールする俺。


 必死すぎて端末の角がアマツの顔にぐっさり刺さっていたのは秘密である。



「どうどう……落ち着こうか、勿論買えるよ。ダンジョン内でモンスターを倒すとポイントが貯まって行ってね……画面の右上に数字が書いてあるでしょ? それ君が今保有しているポイントだよ」


「すみません……」


 どうどうと馬でも宥めるかのように手のひらを向けるアマツを見て、少し落ち着いた。


 ……かなーり失礼な事をしてしまった気がするけども、アマツは怒るどころかとても機嫌良さそうに見える。セーフっ?



「チュートリアル中……と言うか4階までは1体につき1ポイント固定だけど、ここ以降の階層は獲得ポイントもどんどん増えていくから、がんばると良いよ」


 なるほど……1体につき1ポイント固定か、結構倒したと思うけど……。



「5000以上有る、全部買える……!」


 ポイントだけど、5000以上貯まってたよ! てか5000体以上倒したとか我ながらやばいな、ドン引きですわ。




 まあ、それはさておき。

 回復ポーション以外は1個につき1000ポイント必要なので全部買えてしまうね。 あ、若返りのポーションだけど、これ1年と3年の2種類あるみたいだ、両方買わないと。


「買うにはここ押して、これで個数を決めて良ければここを押して決定ね」


 アマツに指示されながら購入を進める。

 買う操作は非常に簡単だった、端末を数回タップするだけで目的の物が買えてしまう。



「おぉおぉっ」


 端末を操作し、ポーションの購入を決定すると、一瞬の間を置いて俺の目前の空間にノイズが見えたかと思うと、やがて木製の箱が出現する。


 この中にポーション入ってるのか……!


「一応簡単に説明するよ。 3年のは3週間掛けて3年若返る、効果は一度だけ。1年のは1年掛けて1年若返る、効果は何回でも発動するけど複数同時に飲んでも意味は無い……ようは1年のは老化を止めるポーションってことだね、1年毎に飲むといい」


 アマツの説明を聞いてうんうんと頷く俺。

 なるほど1年のはそう言う効果か、3年のは想像通りの効果だ……きっとこんな効果の薬だってあるはずだとここまで来たわけだけど、いざ目の前にすると効果が凄すぎてビビる。


 クロには躊躇無く使うけど、これ世の中に出すと不味い奴だ。


 ……そのへんは後で考える、今はとにかく戻ってクロに飲ませなきゃ。


「それと飲んでからお腹が空きやすくなるからご飯は多めに用意すること、あとは病気治療のポーションも飲ませておくと良い。とりあえずはこれぐらいかな」


「分かりました!」


 ご飯か、確か缶詰は少ないけどカリカリは結構残っていたな。

 ……よし、それじゃ戻らないと……そう思い振り返るが、扉が消えていた。



 まてや。


 ぐりんっとすごい勢いでアマツへ振り返ると、アマツは少し苦笑しながら部屋の隅へと視線を向けた。


「帰りは……そこにゲートがあるからそこを通ると良いよ」


 部屋の隅にはいかにもって感じのゲートが出来ていた。

 ゲームとかで出てくる様な奴。ぼわわーんって光が溢れてる感じの。


 ……ちょっぴりゴブリンに向けた視線と同じ物をアマツにも向けてしまったけれど、俺は悪くないっ。


「1階に同じ物が出てるから、ここに来たい時はそれを使うと良い。 あ、使えるのはチュートリアル突破した者だけだからね」


 なるほどね、階層限定されるけどショートカットもあると。

 至れり尽くせりな感じだね。 攻略する側としてはありがたいことだ。



 ……よし、いい加減クロの元に帰ろう。


「ありがとうございます!」


「うんうん。 さ、早く行くといいよ、ダンジョンの説明は落ち着いてから聞きに来ればいいさ」


「はい! 落ち着いたらきます!」


 俺が戻りたくてしょうが無い事はアマツも分かっていたのだろう。

 最低限必要な説明をすると特に引き止める事も無く見送ってくれた。


 落ち着いたら必ずまたこよう。

 そう心に決めて俺はゲートを潜った。

シリアスが続くと(作者が)耐えられない……( ˘ω˘)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] クロが死ななくて良かった……すでに涙が出てきてるから死んでたら号泣してたわ
[一言] 俺も耐えられない。ほっとしたぁ。
[一言] 若返るとなると・・・尻尾増えない? まぁ・・・助かるなら何でもいいけども(強がり)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ