マジカル☆リンちゃん:『マジカル☆リンちゃん参上!魔界の帝王をやっつけろ!』
小学一年生のリンちゃんは、今日も元気にとう校します。
リンちゃんはクラスのみんなから好かれる人気もので、べんきょうも運どうもできる、とっても良い子です。いつもテストでは良い点ばかり、みんなのあこがれなのです。
ある日のじゅ業中、たいへんなことがおきました。
とつぜん、うんどう場に、大きな大きなタコがあらわれたのです!
みんながおどろいている内にリンちゃんはこっそりクラスをぬけ出して、急いで人気のないところへやってきました。
ポケットからシャープペンシルを取り出します。
さきっぽをぽちっとおすと、ぐん、とぼうがのびました。シャーペンがステッキに変わったのです。
リンちゃんはステッキを高く上げて、変身のじゅんびをします。
実はリンちゃんは魔法少女なのです。
いつもは小学校に通うふつうの女の子ですが、魔法の力で変身し、『マジカル☆リンちゃん』となって町の平和を守っているのです。
リンちゃんは変身のじゅもんをとなえます。
「コホン。魔法のステッキよ、盟約に従いてわれの呼びかけに応じよ。見習い魔女・リンが命ずる、わが血に宿りし魔の力を呼び起こし給えー!」
リンちゃんは高らかに魔法のことばをとなえました。
リンちゃんの周りがパアッと光って、足元に魔法じんが広がり、黒い服が次々にあらわれます。
つばの広いとんがりぼうし、大きなローブ。さいごにホーキ。
変身かんりょうです。
リンちゃんはホーキにまたがってとびました。急いでうんどう場に向かいます。
リンちゃんはまだ見習いなので、変身は十分しか持ちません。十分たつと変身がとけてしまい、みんなにヒミツがばれてしまいます。
「待ちなさーいっ」
リンちゃんはさけんで、大ダコの目の前にめがけてまっすぐおり立ちました。
大ダコがリンちゃんに気付きます。校庭に立つリンちゃんを見下ろすタコは、とても大きいです。
「マジカル☆リンちゃん、さんじょー! この大ダコめ、やってつけてやる」
リンちゃんはそう言ってビシッとステッキをつき出します。
「……小娘が、余の食事の邪魔をするか」
「え、しゃべるの?」
「何を申すか小娘。この魔界の帝王オクトバーン様が口をきけぬと思うてか。お主のような者でもこの名、聞いたことはあろう」
「オクトバーン……」
聞いたことはなかったけどなんだかすごそうな感じに思わずたじろぐリンちゃん。
オクトバーンは八本の足を広げ、いっせいにリンちゃんにめがけてふり下ろしました。
「「リンちゃん!」」
教室の中で見守るクラスのみんなが、思わず声をあげました。
しかしリンちゃんはそんあすぐにやられません。
ホーキにのって空へ飛び、よけていたのです。
「ふふん、そんなの当たらないよ。次はわたしの番!」
リンちゃんはステッキをかまえます。
すると光のつぶがステッキの先にあつまって、そして光の矢となったのです。
「くらえー、『ぐんぐにる』!」
リンちゃんがぶん、とステッキをふると、光の矢がオクトバーンめがけて飛んでいきます。
そして頭にちょくげきしました!
頭といってもタコは頭の中に内ぞうを持っているので、どちらかといえばおなかです。魔法の矢は心ぞうをつらぬいたのです。……しかし。
「……ふん、この程度で余を倒したつもりか」
むくり、と体をおこすオクトバーン。
「心の臓をひと突きとはなかなか見事だ。だが甘い、余は心臓を三つ持つのだ」
そうです、タコは心ぞうが三つあります。これ豆知識。
「そ、そんな」
「では余がゆくぞ」
次はオクトバーンの攻げき。
オクトバーンはすうう、と息をすって、思いきりふき出しました。
すると口から火が出たのです。火がリンちゃんに向かっておそいかかります。
「きゃあ」
リンちゃんが火につつまれます!
「「リンちゃんっ」」
クラスのみんながさけびます。
リンちゃんは、火の切れ間にみんなの顔を見ます。
そうです、ここでやられてはみんなを守れません!
「こんなもの~~」
リンちゃんがステッキを高くかかげます。
すると火はステッキの上にあつまり、大きな丸いかたまりになったのです!
「くっらっえ~! 『あーるぶれずる』!」
大きな火の玉が、オクトバーンに向かっておそいかかります。それはまるで太ようです。
「ぐ、ぐわああああ」
火の玉につつまれたオクトバーンはもえ上がり、やかれてしまいます。
そして火が消えたとき、大きなタコヤキになってしまっていたのです!
「えへへ、やったあ」
うれしそうなリンちゃん。
しかしもうすぐ魔法が切れてしまいます。
リンちゃんはあわてて飛びました。教室のほうから、みんなが手をふっています。
こうして今日もリンちゃんはわるものをやっつけて、平和を守ったのでした。