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5月2日(木)☽:夢に臨む



 【京一】



 夜、僕は自室で色々と考えていた。


 今朝、駅で会ったとき、あるいは一緒に電車に乗っている間、凛とは少しだけ話しをした。

 しかし、彼女の悩みについて、どうして今日になって急に遅刻をしてしまったのかの理由について、そのとき彼女からは聞けなかった。


 彼女は、他人に心配をかけたくないのだ。

 だから、僕が今朝聞いたときも、詳しいことを答えてはくれなかった。


 そもそも彼女は、正面切って「助けになってあげるよ」などと言ってやってくる者に対して、快くは思わないだろう。

 自分の弱い部分を見せたくないし、何よりそのせいで他人の手を煩わせてしまうのが堪えられないのだ。

 頑固なのである。



 放課後、晃たちに会ったとき、凛のことをよろしく頼む、と言われてしまった。

 さらに言えば、図書室で宮本に、凛の力になってみせる、と堂々宣言までしてしまった。


 そこまでいって何も動かないわけにはいかない。

 いや別に、宮本に言質を取られたのだけが原動力というわけではないが。


 だが現実的に考えて、僕が凛の力になってやれることなんて無理だと思う。


 そもそも彼女が何に対して悩んでいるのかさえ知らないのに、力になるも何もない。

 この状況では、僕にできることはない。

 ……現実的に考えて。


 現実でなければどうか。


 ここ幾週かで僕が体験していることを踏まえて考えれば、僕にもできることがある。

 いやむしろ、これはいっそ僕にしかできないことである。



 僕は小さく奮起し、ベッドに横になった。

 …………

 ……




 薄紅色の、もやの中。

 僕はいつも通り、小人と邂逅する。


 小さな彼女はその身に余るハイテンションで登場してくるが、僕は至極真剣なトーンで小人に言った。


 ある、お願いを、である。


 小人は、ふふん、となにやら嬉しそうに笑い、そしてそれを快諾する。

 そもそも彼女は『夢の案内人』。その役は承諾して当然だろう。


 そうして僕は、凛の夢へと向かう。


 もやを抜けた先。その舞台は、二日前から続いて、商店街である。


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