マジカル☆リンちゃん:『リンちゃんのチョコレートづくり!』
リンちゃんは、るんるん気分で家を出ました。
今日はちょうり実習で、おかしをつくる日なのです!
リンちゃんはおかし作りが大好きです。
よくお母さんといっしょにおかしを作ります。
リンちゃんのお母さんは、りょうりやおかし作りがとっても上手です。
リンちゃんのお母さんは魔女で、その手は魔法の手なので、なんでもおいしく作ることが出来ます。
やっぱりおにぎりが一番ですが。
今日作るのは、チョコレートです。
チョコレートをこまかくきざんで、お湯でとかして、好きなかたに入れて、冷ぞうこで冷やして固めて、できあがりです。
ちなみに、こうやって売ってるチョコをとかしてまた固めるだけなのはカンタンですが、本当は『てんぱりんぐ』をしないとおいしくなりません。
ただ冷やしただけだとカカオバターがおいしい結晶で固まらないからです。
すぐにとけやすいチョコになっちゃったり、食感がぼそぼそしたりします。カカオ知識です。
それは、みんなが一生けんめい、チョコをきざんでいるときでした。
「もお。さっきから黙ってれば、ざっくざっく乱暴に斬りやがってこのぉ……」
とつぜん、きょうしつの中にかん高い声がひびきました。
何事かと、みんながざわめき出す中、みんなのてもとにあったチョコレートが、ふわり、と浮かんだのです。
そして、きょうしつの中央にあつまって、どんどん、どんどんと大きなかたまりになってゆくチョコ……。
あっというまに、大きな人型のチョコになったのです。
「うふふふ、私はチョコの魔人、ブルーム! 子供たちめ。私がそうそう甘くないってコト、教えてあげちゃうわ」
なんと、チョコの魔人があらわれたのです!
「「うわああ」」
みんなは、いっせいにきょうしつからにげ出します。
「あらあら鬼ごっこ? うふふ、せいぜい逃げるがいいわ。ちょこっとだけ待ってあげる」
そう言って、ちょこっとだけ待つ、ブルーム。
しかし、そのちょこっとだけでも、リンちゃんがこっそり変身をおえてくるには十分な時間でした。
「マジカル☆リンちゃん、参上!」
ちょうり実習のきょうしつに、魔法少女に変身したリンちゃんがさっそうとあらわれました。
「出たわね、マジカル☆リンちゃん。ふふん、実はあなたをおびきだすのが目的だったのよ! ……くらいなさい、『ショコラトール』!」
ブルームが手をかざすと、そこから勢いよく水がふき出してきたのです。
「うわっ」
その水は、リンちゃんに思いっきりかかりました。お顔にもかかってしまって、はずみで、その水をぺろっとなめてしまったリンちゃん。
「な、なにこれ、にがぁーい!」
ショコラトールというのは、チョコレートの語源とされていて、意味は『苦い水』。
メキシコ原住民の間で飲まれていた薬用の飲み物です。カカオ知識です。
「うふふふ、まだまだ味わわせてあげる! そおれ、『ショコラトール』!」
ブルームはまた手をかざして、水をふんしゃしていきます。
もう苦いのはいやなので、リンちゃんはにげます。
ブルームが水をまきちらすせいで、きょうしつのいろんな物がめちゃくちゃにされてしまいます。
ついには冷ぞうこがひっくり返りました。
そのひょうしに、中から、ぐうぜんにもバターと卵と生クリームがとび出してきました。
それを見たリンちゃんは、魔法のステッキをかざして、それらをふわりと空中に浮かせました。
「むう。なにをする気?」
「おなべ!」
リンちゃんは魔法で、大きな手なべを出しました。
そして、そのなべをあやつり、ブルームを足元からすくいあげたのです。
とまどうブルームのすきをついて、そのなべの中に、バターと生クリームを入れました。
「『あーるぶれずる』!」
火の魔法をつかって、なべをあっためていきます。
ほんとうは弱火で、ふっとうしないようにじっくりとあたためますが、魔法の火なのでいっしゅんでいいかんじにブルームはとけていきます。
「な、なにをおお」
「次はボウル!」
次に出てきたのは、大きなボウル。そこへ卵をわって入れます。
卵をまぜて、なべでとかされたチョコを入れます。そしてよくまぜます。
「なんかほそながい型!」
次に出したのは、長方形の型。そこへさっきのボウルの中身をながし込みます。
「かたまれ~!」
というわけで、オーブンでだいたい二十分ほど焼いたものがこちらになります、じゃーん!
「えっへへ、おいしそう」
ただとかして固めるだけのチョコではなく、のうこうな半生チョコケーキの完成です!
こうして今日もリンちゃんはわるものをやっつけて、平和を守ったのでした。
しかも、みんなでおいしいチョコケーキも食べられて、もうとっても幸せなリンちゃんなのでした。




