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ある夜の話。(1)
色んな言葉を殺される世界だと思う。
想いを露わにできない不便な世界とも。
この命は確かに自分のものなのに、一般論により好む時に亡くすことが許されない。
この思考回路は自分なりに納得した行く末なのに、周囲によって食い潰される。
そんな、生き辛い世界と思う。
だから、このような選択をしてしまったのだと思う。
これからするのは、小さなお話。
愚かで阿呆な私の話。
視野の狭い私の話。
絵本に憧れた私の話。
黄金色の硬貨の使い道を決めた、あの日の私の話。
どうか盛大に笑ってくれ。
どうか呆れかえってくれ。
同情憐憫慈悲、そんなものはいらない。
嘲笑批判、そういうものを与えて欲しい。
そんな、何の為にもならない話をしよう。
氷水あすな『黄金色の硬貨』より一部抜粋