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はじまりか、おわりか。
月明かりが綺麗であれど、頼るには心許ない夜。ベランダにいる「その人」は、人工の光をカーテンの隙間から受けていた。
仄かな視界の中手を動かす。完成したパズルを崩すように、机に広がる紙の海へ文字をばらまく。
自身の行動の、あまりの支離滅裂さにほんの少し口元を笑ませた。本当に自己満、と静かに笑う。
でもそれでいいのだと思い直す。
これからばら撒く出来事に、気づいてもらえれば始まって、気づいてもらえなければ終わりの話。たったそれだけの話。
勝手にばら撒くピースで、自分勝手に区切りをつけたいのだ。
口からの言葉は霧散する。それでも、願いを自覚させるように発信者の脳にだけ刻み込む。
「どうか、どうか。見つけてよ」
さあ、たっぷりと時間をかけて、もう一度巡り合うための種を蒔こう。