僕。
僕は僕が嫌いだ。顔も嫌いだ。声も嫌いだ。髪型も、背丈も、およそ容姿と言われる全てが嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。先生は「自分を好きになる努力をしなさい」と言った。その努力ができない僕が嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。昔誰かに言われた「お前嫌い」。きっと、その人と、いや世界のだれと比べても、一番、僕は僕が嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。できないことでもカッコつけてやろうとする、そんな薄っぺらいカッコつけをする僕が嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。誰かが「好きの反対は無関心」と言っていたけれど、僕は僕と無関心でいられない。だから僕は僕が嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。たまに僕は僕から逃げ出したくなる。でも、僕は僕でしかいられない。だから、僕は僕が嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。目先の楽しさに目を奪われ、僕は僕を忘れ、そのあと悔いてはまた僕を思い出す。そんなときの僕が一番嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。僕は僕の目の届かないところに行きたくなる。でもどこへ行っても僕は僕の目の届くところに、絶対にいる。僕は僕が嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。自分のことは自分が一番わかるといっても、まったくと言っていいほど自分のことが分からない。そんな僕が嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。
僕は僕が嫌いだ。でも、僕は僕でしかいられない。僕は僕を縛るこの鎖を捨ててもいいはずなのに、どうしようもなくこの鎖を大切に磨いてしまう。そんな女々しい僕は、僕が嫌いだ。