第四話 反省と新たな挑戦
俺が目を覚ますと、あの眩しい光を放っていた太陽が、今日一日の終わりを告げるかのように、山の影へと沈みつつあった。
そこで初めて、俺は手に握っている物に気が付いた。
本当に出来ていたのだ、あの魔術神鞄が。
初めての生産魔法で作った物なので、一生忘れることはないだろう。
そして、この魔法を使ったことで、分かったことがあった。
今の俺が生産魔法を行使すると、意識を失うということだ。。。
その原因はおそらく、魔力不足によるものだろう。
魔力量はかなり多い方だと思ったのだが、生産魔法はそれ以上に魔力を使うということなのか・・・
ただ、魔力を使い切ったことにより、僅かだが最大魔力量が増えたように感じる。
このまま魔力を使い切るという動作を繰り返していけば、確実に魔力は増えるはずだ。
しかし、毎回のように気絶していたのでは、何とも言えない気持ちになってしまう。
「うーん……
どうすれば気絶しなくなるんだ?」
「よし!
こういう時のための世界事典だ!」
世界事典-----『魔力欠乏』
『魔力欠乏とは、過度の魔力行使により体内に残留する魔力が一切存在しない状態のことを指す。
この場合、通常とは異なる倦怠感、思考判断力の低下などを招き、安全なところで休養することが推奨されている。
重度の魔力欠乏は魔力枯渇と呼ばれ、魔力が完全に回復するまでの間、気絶する』
「あれ? 全く対処法とか書いてないんですか?」
どうしよう・・・
属性魔法を使えば建物に被害が出るし、生産魔法を使ったら意識を失うし・・・
いっその事、魔力消費量の少ない世界事典で魔力欠乏を目指してみるか。
世界事典-----『生産魔法』
『生産魔法は、主神が玉城 絢一にのみ与えた固有魔法。
無機物であれば、魔道具であっても作ることができる。
この魔法最大の特徴は、量産が可能なこと、そして一度作ったことのあるものならば、消費魔力が十分の一になることである』
「おお!
本来の目的は達成していないが、凄いことを知ってしまった。
消費魔力十分の一なら、魔術神鞄一つ作ったところで気絶しないだろう。
生産魔法-----魔術神鞄
そう心の中で唱えると、目の前で眩しいほどの光が一点に集中する。
暫くすると、だんだん光の輝きが落ち着いてきた。それとともに、魔術神鞄の形が見えてくる。
程なくして完全に輝きを失うと魔術神鞄が出来上がった。
前に作ったときは魔力枯渇でこんな光景を見ることができなかった為、感慨深いところがある。
その瞬間、先ほどとは比べ物にならないくらいの倦怠感に襲われた。
体内の魔力量がかなり減ったのだろう。
「世界事典に書かれていたことってこの事か」
そこでやっと、魔力欠乏という現象がどういったものかを理解することができた。
今回は気絶もしていない、ひとまず成功と言っていいだろう。
俺は嬉しさのあまり、一人で小さくガッツポーズをしてしまった。
「成功したんだし、今、何個まで作れるのか試してみよう!」
「せっかくだし、量産もやってみるか!」
生産魔法-----魔術神鞄×4
そう唱えたのだか、前回と同じ睡魔に襲われた。
調子に乗って、四つも一緒に作るんじゃなかった・・・
少し後悔したのだが、抗うこともできず、意識は闇に落ちていった。




