第七話 父上 再登場
遂にその日はやってきた。
あのDQNっぽい父上が帰ってくる、いや、久しぶりに会うことができる日だ。
訓練はというと、練習を始めてから早くも十日がたった。
我ながら立ち振る舞いが様になってきたと思う。
時折、あの時の記憶を思い出して、顔に笑みを浮かべていたことは、父上の知る由がないはずだ。
少しひやひやすることを思い出したところで、父上の乗った馬車が見えてきた。こういう風景を見ると、ここは異世界なんだな、と思わされる。
そんなことを考えていると、低い音を立てて扉が開き、父上が降りてくる。
相変わらず筋肉は健在なようで、服の上からでも鍛えられているのが、目に見て取れる。
執事がいるのかと思ったのだが、いないようだ。こういうところは慣例なのか、将又、個人的な事なのかは図りかねる。
そうこうしているうちに、父上は使用人達に挨拶をして、屋敷の中に入っていった。
ここではあまり時間を使う気はないようだ。
それを見て、俺達出迎え人は屋敷へと戻る。
俺にとって、ここからが本番だ。
数年間もの間全く会っていないのだ。
だからこそ、成長した息子としての姿を見せなくてはならない。
「あれだけ練習したんだ。
ちゃんと身についているはず」
高鳴る心を抑えるように、そう言い聞かせ、俺は扉の前に立った。
後ろには、セレスティアもいる。
もう心配することなんて一つもない。
いざ、感動の再開へ!