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ドМな私が聖祈士様!?(仮)  作者: テテココ
3/8

第三話 聖句。

☆☆☆



『……忘れない。きっといつか――』



 そんな声が聞こえた気がして、私は目を覚ます。



 気づいた時、私は見知らぬ天井を見上げていた。

 ベットに寝ているらしいけど、なんかゴワゴワカチカチしてて寝心地が良くない。きっと安いぞこのホテル。



 と、そんな事よりも起き上がって周りを見てみると窓もない、ベットのみが置いてある12畳程の部屋の中だと分かった。

 病院?いや、それにしては何も無さ過ぎる。質素すぎ。

 一つ気付いたのは、天井に電球が無い事。

 なのに部屋の中が明るい。窓もないはずなのなんでだろう。



 とりあえず、私は立ち上がると部屋の出口である木製の扉へと向かう。

 扉は立て付けがあまり良くないのか、『ギギィー』と言う音をたてるもののすんなりと開いた。



 そして、部屋から顔を出してみると、そこは石造りの廊下がずっと先まで続いているのが分かった。

 廊下にも窓は一つも無く、天井には照明らしきものも見えないのに、何故かこっちも明るい。

 なんだここ。不思議。でも、少なくとも病院ではなさそうだ。なんか不気味。

 最寄りの大きな病院はこんなじゃなかった気がする。



 って、私、病院を気にする前に自分の体を気にするべきだった。

 トラックに吹き飛ばされて追撃までされてペシャンコになった筈なのに、なんでこんなに元気に歩き回れるんだ?


 そうして、ようやく自分の事に気が向いた私は、自分の体を見下ろして、そこでもまた混乱することになる。



「……へっ!??な、えっ、なんで?……あれ?なにこれ……どうし……て?」

 


 私、貫頭衣を着せられていたんですけど、なぜかある筈のものが無く、無い筈のものが小さく股間にプランプランしてました。



「これってアレだよね……」



 ちゃんと見た事はまだないんだけど、きっとアレの筈だ。

 う、うん。私だって知識くらいはちゃんとあるのだよ。どうだ驚いたか!

 私が今、一番驚いてるけどなッ!!



 ――どうやら私、男の子になってしまっているようだな。



「いやいやいやいや、待て待て待て待て」



 早とちりはいかんよ早とちりは。いつだってそうだ。街中でこっちに向かって手を振ってくるイケメンがいる時は、必ず自分の辺りを見回さなければいけません。絶対に近くに可愛い彼女がいるはず。輝く笑顔は私に向けられているわけではない。それと同じだ。冷静になるんだ。落ち着け、落ち着くんだ。こんな馬鹿な事があるわけがない。



 ――チラ。



 あっれれーおっかしいぞー。

 私の胸、自分的にはDカップはあった筈なのに、今はぺったんこ。

 そ、そして、何度見ても、やっぱりなんか股間にプラプラしてる。

 小さくてツルツルで可愛い……プラプラしてる。



「…………」



 よし。私は乙女だ。やっぱ見なかった事にしよう。

 っとそんな風に私が自分の身体を調べていると、いきなり先ほどの扉がドタンッ!と大きな音をたてて蹴り開かれた。

 私はビクッとなって、すぐさま股間から目を上げた。



「"アマゴリア卿"!目を覚ましたのかっ!!急げっ!間に合わなくなるっ!!」


「『ついへいじです』」


「……ぬ?」


「……あっ、しまった。ついいつもの条件反射で……ッ!?」



 いきなりりんごの部屋へと入って来たのは白銀の光を放つ鎧を纏う赤い短髪のイケメンさんだった。

 そして、そのイケメンさんが呼んだ名前がいつもよく聞く呼び間違いだと勘違いした私は、思わず自然とと訂正する。



 すると、不思議な事に訂正したら急に私の体も目の前の赤い短髪イケメンさんと同じ白銀の光を放ちだしたのだ。

 なんで自分の体が光だしたのか分からない私は驚き、思わず自分の体をもう一度見直して、股間にプランプランしているものが一際白銀に光ってモザイク加工されているのを確認した。おお、光っておる。なんかウケる。



「なにを訳の分からない事を言っているアマゴリア卿。まだ寝ぼけているのか?昨日確認したから体が大丈夫なのはわかってるぞ!さあ急ぐぞっ!私と共に、さあさ早く!!」


「あててっ」

 


 そして、自分のいち物の状態を確認していた私の頭を、そのイケメンさんがポコリと叩くと注意を促してくれた。

 私は、好みの叩き方をされたので、思わず嬉しそうに自分よりも背の高いイケメンさんを見る。



「あ、ありがとうございます(ご褒美です)」



 そして、思わず叩いてもらった事でお礼まで口から漏れ出てしまった。

 もし友達に今の光景を見られたら間違いなく『自重しろドМ!』をなじられるところである。あぶないあぶない。

 しかし、イケメンさんは普通に礼を言われていると思ったのか、普通にスマイルのままだ。五割増しの破ッ壊ッ力ー。

 くそ―、私のモテ期めー、なんで今頃来たー。

 プランプランが付いてる身体の時に来るんじゃない。



「うむ。『聖光』の発動は問題ない様だし、身体はもうすっかり良さそうだ。鎧は後で整備士の元に受け取りに行けばいいか。とにかく、今は急げっ!聖式に本当に間に合わなくなるっ!!ほらっ!!」


「あっ、はい」



 貫頭衣のみ着衣しただけの私の手を引っ張って、イケメンさんは強引に廊下へと走り出した。

 ちょっと強引なこの感じも私的には大好物である。

 なんだこのイケメンさんは、さては私を惚れさせる気だな。

 だが残念、もう既に惚れているぞっ!本当に本当にありがとうございます!



 とそんな感じで私が軽い妄想の中でイケメンさんに土下座でお礼を言っている間も、手を引かれながら二人で急いで石の廊下を進んで行く。

 すると、一番奥の突き当りにとても大きな扉が見えて来た。



「いいか。アマゴリア卿、これより――」


「『ついへいじです』……ってあれ、また光が」


「――さっきも気になったが、君の『聖句』はそんなだったっけ?まぁ、今はそんなことよりも、式の説明をするよ。我々は一旦列の最後尾に並ぶ。そして名前が呼ばれた後前に出て神に『聖光』を各自捧げるのだ。難しいことは何一つない。細かな所作も先の者の動きを見てればたぶん覚えられるだろう。優秀な君の事だから問題は無いと思うが、妬みや嫉みは少なからずあると思われる。そこだけは気を付けておいてくれよ」


「えっ!?あっ、はいっ!」


「よし。じゃあ、入るよ!



 そうして、赤い短髪イケメンさんに連れられた先には大勢の人がいた。

 ここは教会みたいな場所。凄く広い。

 ここにいるみんなは、イケメンさんと同じような白銀の鎧姿で、私みたいに貫頭衣姿の人は誰も居なかった。


 その人達は、みんな正面を向いていて、その視線の先には女の人の石像とその人の左右に男の人の大きな石像が二つづつ、合計五体の石像が並んでいる。



 きっとこの人たちはみんなあれを崇めてる。

 神さまなのかな?私がこんなところにいるのもなんか関係してたりする?



 中心にいる女神様はおっぱいが大きい。

 優しそうな顔してるけど、微妙に性格悪そうなイメージ。きっと腹黒だな。



 女神様の右にいる男神の一人は、顔が怖い。それに筋肉凄すぎ。シックスパック。おそらくライ〇ップ帰りだな。

 逆にその男神の更に右にいるもう一人の男神は、背が小さい。あとなんか目が細い。本持ってる。



 女神様の左にいる男神の一人は、長髪。チャラそう。石像がドヤ顔してる。アホ毛が出ててなんか面白い。

 その男神の更に左にいる男神は、逆に頭がツルツル。お目めくっきりしてる。お地蔵さんみたい。きっとこの二人は毛髪量で喧嘩しそう。仲よくしなきゃダメだよ?



 そして、ここにいる人達は一人ずつ前に出て好きな神さまにお祈りを捧げているらしい。

 どの神さまに御祈りを捧げるのか自由で、複数の神様にお祈りしている人もいる。

 さっきから見てると、真ん中の女神さまにお祈りしてる人は少ないみたい。

 祈り方自体は簡単みたいで、私がピカーって光ったみたいに、石像の前で跪いて何かをぼそぼそと呟いから身体を光らせてる。

 そして、祈りが通じる?と祈られた神さまもちょっとだけ光る。これきた不思議現象。石像にLEDでも仕込んでるのかな?



 でもって、その光り方がみんなまちまち。大きい光もあれば小さい光もある。点滅したり線香花火みたいなぽわーって光り方もある。

 石像が大きく光った人は、祈りを終えた後凄い良い表情してる。超ドヤ顔でこっちに目線を送ってくる人もいる。

 逆に光り方が小さかった人は、落ち込んだり、遠い目をしたり、賢者モードになったりしてる。

 ……なんとなくだけど、大きく光った方がいいみたい。



 たぶん、このあと私の順番が来たら私も行かなきゃいけないんだろうけど、どうしよう。

 どれがなんの神さまか全然わかんない。

 


 とりあえず、シックスパックの顔が怖い神さまは嫌。暑苦しそう。そ

 れから本持っている神さまもたぶん相性悪い。私みたいに頭良くない子にはなんか優しくなさそう。

 あと長髪は生理的に無理だから無視して。

 んー、お地蔵さんは、良い人そうだけどなんか地味。

 うーん、そうすると消去法で真ん中のおっぱい大きい女神様になっちゃうけど……。

 腹黒っぽいけど、おっぱい大きくなるご利益ありそうだからいいかな。



 沢山の人が祈りを終え、先ほどの赤い短髪イケメンさんもお祈りを終えた。

 因みにイケメンさんはシックスパックにお祈りしてたみたい。なかなかの光り具合だったよ。



 そして、遂に私の番になった。

 私はみんなの横を通り過ぎて五体の石像の元へといく。

 えへ、えへへ、私だけ貫頭衣だからなんか恥ずかしいな。

 プランプランが見えちゃってないかな。

 なんかみんなから注目されている気がする。

 どうしても見られてるって思うと背筋がなんかゾクゾクしてくるよね?

 ――えっ、しない?そんなバカな!?



 ま、それよりも、私は、女神様の前まで歩いて来た。

 えっとー、こんな感じであとは跪いて、あとはピカーとするお祈りをすればいいだけなんだけど。

 あれって、私、未だ良く分かんないんだよね。どうしよう。

 もっとイケメンさんに詳しく聞いとけばよかったかな。

 勝手にピカッと光るわけじゃないみたいだ。




 『……捧げなさい』



 うわッ!?な、なんか頭の中に勝手に言葉が響いて来た。



 『……あなたの聖句を捧げなさい』



 聖句?ってアレかな?アレでいいのかな。

 私は、頭の中に響いてきた声の通りに、聖句ってやつを小声で呟いてみた。



「『ついへいじです』」




 『……あんっ』



 するとね、なんとちゃんと光ってくれたわけですよ、ピカーっと。

 それもね、なんか石像五体ともピカーって小さく光ったの。

 あれ?これって一体だけ光るものじゃなかったんですか?

 それに、捧げた瞬間、なんか女神さまの艶やかな声が聞こえた気がするけど、気のせいかな?



 ま、でもね、やっぱ五体光るのはちょっとした異常事態ってやつだったみたいで、私の背後からは驚きの声がチラホラと聞こえてきたんですよ。

 


「な、なんと!まさか聖像が全て光るとは」



 ごめんなさい。私にも原因は良く分かんないんです。



「さすがアマゴリア卿。優秀とは聞き及んでいたがこれほどとは」



 『ついへいじです』。と頭の中で一応ツッコんでおいたよ。



 『……あっ、あんっ』



 あれ?なんかまた女神様の艶やかな声が……。

 それに五体全部がまた少しだけ光った。

 聖句ってやつは声に出さなくても光るみたいだね……。



☆☆☆

またのお越しをお待ちしております。

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