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赤いベンツ  作者: naomitiara-tica
8/15

誠実な男

この物語は創作です。モデルはありません。

2年も過ぎて保険会社にもだいぶ慣れて来た。



もともと何をやっても要領良く出来るミツキは、営業成績の出来た時はもちろん問題無く、出来ないなら出来ない時の要領を覚えるようになり、それなりに立ち回れるようになった。



自分をかわいそうに見せる術もなんと無く覚え、保険に入ると言いながら金や身体目当てで寄って来る口先だけの男も上手くかわせるようになった。



そんな時に出会ったのが大手IT会社の下請けに入っている会社の社員の弘で、10歳年下、いかにも誠実なお坊っちゃま風だった。



最初に保険の説明をした時、本当にきちんと話を聞いてくれて、ミツキさんが僕に一番適切な内容の物を勧めて下さいとの事で、当時で死亡保険金3000万、加えて毎月積み立てる年金型のものとで、新規で2件加入してくれた。



ミツキは久々に爽やかに営業内容が決まったので、どの顧客にもしているが、お気に入りのブランド物のソックスとハンカチを特に丁寧にラッピングして渡した。すると弘は顔を真っ赤にして喜び、ミツキに素早く携帯のメモを渡し、逆にお礼したいから連絡してくれと言う。



ミツキはドキドキしたが、12歳年下の拓也の時に舞い上がって失敗したので慎重に対応する事にした。すぐには電話せず、一週間ぐらいしてから先日は本当にご契約ありがとうございました、といかにも仕事のフォローでかけた風を装った。



今回の場合は、弘がミツキに夢中だった。



弘は年上のミツキに何もかも憧れてる様子で、ミツキが何をしても何を話しても、何を食べても賛同した。最初にホテルに行った時も、さすがに弘も初体験ではなかったが、ミツキの崩れかかったがまだまだ美しい女体に夢中で、すっかり骨抜きになった。



こうなるとミツキは男って生き物に弱い。上手く手綱を取っているつもりが、いつの間にかすっかりその男無しではいられないぐらいのめり込んでしまう。



ミツキは弘から離れていられなくなった。



弘は会社の買い上げたマンションの独身寮住まいだったが、週の半分はそこに入り浸り、さすがにミツキが職場として入ってる会社の寮なので、弘が保険屋にのぼせて喰われていると言う噂が立ち始め、弘は寮を管理している総務部から、第三者をむやみに入れたり泊めたりしないよう厳重注意を受けた。



さすがにヤバイと思った弘はミツキを連れて、結婚の承諾を受けるべく東京の実家に出向いた。



が.............

結果は散々だった。弘の母親はミツキに会おうとしなかった。



後から弘に聞いたところによると、なぜ弘みたいな25歳の未来ある若者がよりによって3人も子供のいる地方の35歳のバツイチと結婚しなくてはならないのだ?その女に騙されているに決まっている。目を覚ませと、家族中に説教されたと言う。



父親などは怒り、その今の会社を辞めて東京に戻り、父親のコネで就職し直せと凄い剣幕だったらしい。地方で寮になど入っているから寂しいからそんな事になるのだ....と言う訳だ。



半泣きの弘からその話を聞いて、ミツキは心の底から傷ついた。離婚してから久しぶりに本当に傷ついた。



誰もがチヤホヤしてくれた、私はミツキ。お嬢、お嬢と言われながら、家族のみならず家に出入りするみんなが私の機嫌を取った。



しかし、その私はもう居ないのだ。私は他人様から見たら、財産も自慢の父親も無くした35歳の3人の子持ちのバツイチ女だった。



私はこれから、自分より明らかに劣っている他人様を羨みながら、ぺこぺこと頭を下げる保険屋として生きていくしか道は無いんだろうか?



ミツキは暗い暗い心の闇に再び落ち始めた。

誠実な独身に見初められたミツキ。でもどうやらこの人と結婚は出来なそうね?

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