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赤いベンツ  作者: naomitiara-tica
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金目当て

この物語は創作です。モデルはありません。

ミツキは男達にもて出した。



保険会社の契約の道筋は大まかに分けて5つある。



1つは家族契約。文字通り家族を入れる契約。営業員が成績に困った時の神頼みであるが、だいたいは営業員自ら保険料を払っている事が多く、しかも成績が苦しい時に次々に追加契約が発生し、それぞれの契約で2年間は払い続けるようなので、金銭負担が発生する。途中で止めるとペナルティーが発生する。



次はイニシャル契約。親しい友人や親戚から貰ったり、紹介から貰う契約がこれに当たる。金払いが良く、保険に興味を持ってくれる知り合いがいかに多いかが物を言う。



3番目が職場契約。営業員が毎日、他の企業に通い、そこで働く従業員から契約を貰う。いかに大きな職場をゲットして、人間関係を築けるかにかかっている。保険会社で生き残った連中はだいたいこの職場活動で成功している。



4番目が、エリア契約。決められた地区を回って一件、一件コツコツ途中飛び込んでアンケートなどを集め、契約を貰う。昔の営業活動はここからがまずはスタートだったので、年季の入ったおばさま連中はこのエリアでお客を沢山持っている。



5番目。法人契約。名前の通り、企業の社長の契約を貰ったり、会社が従業員全員にかけたものを貰ったり。これは取れると成績も馬鹿デカイが、そうそう個人営業で取れるものでも無く、支社にだいた法人契約専門の部隊がいる。



大体想像付くと思うが、毎月淀みなく契約を上げ続ける優秀な営業員は、家族契約はほぼ皆無。あっても1.2本。あとは全て他人様から頂いている。イニシャルもしくは職場から上げる確率が高い。

特に優秀だと職場活動からだけ、毎月複数件数が上がったりする。



ミツキはまだそこまではいかなかったが、職場活動はいくつも職場を掛け持ちして、真面目に活動していた。が、一年過ぎて少しつまずき出した。営業員、誰もが経験する道だ。



しかしミツキはもともと堪え性が欠如しており、成績が落ち始めると、途端にやる気が無くなった。ミツキは常にトップクラスじゃ無いと気が済まず、締め切り間際になって見込み客から断られ続けると、逃げたくなって来た。



ミツキは負けん気が強くて攻撃的なので、何かと人に誤解されるが、本来、旦那や父親に守られてぬくぬくと生きていたい人間で、今はその2人が居ないので自ら頑張っているが、もともと依頼心が非常に強かったしそれが許される環境であった。



そんなミツキの心の隙間にスルッと入って来たのが、拓也だ。ミツキより一回り下の大手チェーン店のカラオケ店の雇われ店長だった。



拓也はなかなかのイケメンだった。ミツキの女性のお客からの紹介で知り合ったが、最初からミツキを営業員としてでは無く、女として扱って来た。ミツキは自分と同じ干支の拓也にのぼせ上がった。



元夫とは学生時代からの仲で、妊娠してそのまま結婚した訳だし、離婚してから一年、その前からも旦那とは触れて無かったし、男の肌に触れるのは久しぶりだった。拓也の芸能人のような甘いマスクと若くて厚い胸板に、ミツキの女盛りの肌が悲しく燃えた。



しかし喜びも束の間、二回ほど、ホテルに行ったり夜中に邸宅に忍び込んで来た拓也はミツキを途端に避けるようになった。ミツキは狼狽え、再び酒に溺れ、ブライドずたずただったが、紹介してくれたお客に訳を聞いてもらう事にした。



その人は気の毒そうに言った。

『すいません、変な人紹介しちゃって。真面目な人だと思ってたんですけど....

保険に入りたいから誰か紹介してって言ってたんですが....


どうやら、ミツキさんがベンツ乗って、ブランド品で身を固めてるから、上手くお小遣いでも貰えると思ったらしいんですよ。でも、ミツキさんが、凄い純粋な人だから辞めたんだそうです。本当に本当にごめなさい』



ミツキは傷ついた。自分を好きになってくれた訳では無くミツキの外見の派手さに目を付け、上手く行けば男妾にでもなるつもりだったのだろう。

もしかしたら今までもあの容姿を武器に金持ちそうな女を引っ掛けて遊んでたのかもしれない。



自分はもう、普通の恋も出来ないのだろうか?

イケメンの拓也に会ったミツキ。大人の恋はなかなか難しいですよね?

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