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赤いベンツ  作者: naomitiara-tica
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迷走

この物語はすべて創作です。モデルはありません。

ミツキは、はたと困った。



腰掛けOLを半年。長男を妊娠して結婚してから10年。生活のために働くなんて選択肢は考えた事も無いどころか、旦那がいるって女が外で働く意味すら理解出来無かった。



何故、世の中の女達は、働いているのだ?男が金を運んで来て、女は家の中で子育てをしながら余った時間を優雅に贅沢に暮らす。エステにショッピング。それが当たり前なのでは無いのか?



自分の母親も父親の会社で経理とは名ばかりの仕事をしていたが、いつも遊び歩いてばかりいたでは無いか?旅行にカラオケに踊り。



友達や知り合いも、旦那が普通の会社員なのに、自分の趣味、もしくは生きがいや居場所とらやらを求めて必死で働いている奴らがいる。



家にのんびり居られる環境なのに、少し頭がおかしいのでは無いか?欲張り過ぎるのでは無いか?

【....ちなみにミツキは年がいってもこの考えだけは一貫して変わらなかった】



どうして、この私が世の中の人に頭を下げて、使われて、しかも、疲れて苦労しなければらならいのだ?



私だよ?ミツキだよ?ちょっと前までみんなして頭を下げて来た父親の娘のミツキなんだよ?その私が給料を貰う立場になるって?冗談じゃ無い....



いくらこの邸宅のローンだけは払うと言う元夫にしても、子供の養育費や慰謝料を払う能力は無さそうだ。そりゃそうだ。婿様同然の扱いで、仕事はすべてミツキの父親の関係、私生活でも、カマロにポルシェ。そんな生活が身に付いた人間が愛人と暮らすのだから、元の古女房に払う金などある筈無いのだ。



多分、手元に残ったいくばくかの金は物凄い勢いで無くなるだろう。やはり、何とか収入の道を確保しなければならない。



そしてどうしてもいくら考えても分からない。なぜあの人は私じゃ無くて、あの貧乏人の女を選んだのだ?



私と大人しく結婚していれば、大好きな外車は取り替え放題。仕事に困る事も無かった筈だ。これから何十年と続く家のローンを払うとしても、父親の基盤を継ぐと言う大きなご褒美が待っていた筈なのに....



私は実家も夫も一気に失ったが、あの人だって、自分の住まない邸宅のローンだけが残ったのでは無いか?私はあの人の名義だろうが何だろうがこの家は絶対に出ていかない。どんな手を使ってもこの家だけは手放すものか。



そしてミツキは、雑誌や新聞広告を頼りに就職活動を始めた。現実は過酷だった。バブルが崩壊した今、中途半端な年齢の子供が3人いる何の技術も無い女を雇ってくれるほど、世の中甘くは無かった。



ミツキは生まれて初めて知った。



仕事とは、自分の父親が他人様に与えていたものでは無く、自分から見つけて働かせて下さいと、他人様にお願いして手に入れるものなのだと。

まともに働いた事の無いミツキ。どうやって仕事探しますか?

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