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赤いベンツ  作者: naomitiara-tica
13/15

訃報

この物語は創作です。モデルはありません。

一通の訃報が届いた。



最初に結婚していた元の夫が亡くなったのだ。どうやらミツキの住む邸宅のローンの金繰に困っての自殺らしい。



事故死扱いではあったが、ミツキは元の夫が自分で死んだのだと分かった。死ぬ一週間前、ミツキは難しい年頃の長男の相談、夫は金策の件で、2人は酒を飲んでその昔いつも一緒に行っていた店で寿司を食べた。別れてから12年がたつ。



不思議なもので、あんなに憎んで恨んで別れたのに、今は懐かしさしか無かった。私もあの人も本当に子供だった。プライドとプライドのぶつかり合い。2人とも大人になりきれなかった。そしてそれを乗り越えられずに離婚してしまった....



あの危機さえ乗り越えようと2人で努力したら、今頃、結構いい夫婦になれたかも知れないのに....



そんな事を考えていた矢先の訃報だった。



元の夫はそれでも許せない事に、ミツキと、ミツキとの間の3人の子供を捨てた後、当時の愛人と結婚してすぐに息子を作った。まぁ、嫁としては子供がいないと不安だったのかもしれないが....



そんな自分勝手な男は、小回りの効く建築士だったため、ミツキの父親が居なくなっても、バブル時代はどこの現場に行っても仕事に困らなかったが、弾けたとたん、不義理の付けが回って来た。



ミツキの父親に昔、世話になった工務店達がこぞって仕事を回してくれなくなったのだ。それは意地悪されたわけでも無く、みんなが苦しい中で最優先に仕事させてくれなかったと言う事だ。



世の中、そうそう自分の思い通りになれば誰だって離婚もしまくり、相手も引っ換え放題、外車乗りたい放題やるのだ。



元の夫はその日、浴びるように酒を飲んでベンチで寝て居たと言う。



桜の木の下で。



ミツキにプロポーズした場所だ。この事はミツキしか知らない。2人でワンカップ飲んで夜桜見たね。随分おじさんくさいプロポーズだった。でもきっときっと幸せになれるって、信じてた。疑いもしなかった。



嘘付き嘘付き!私の事幸せにするって言ったのに。1人ぼっちににしないって、桜の花びらを私にふりかけながら言ったのに。バカバカ。1人で死んじゃうなんて.....



ミツキはお葬式に行って、まだ幸せの名残の残って居た遺影を見て、今の奥さんに遠慮してその場では泣けなかったが、帰り道の車の中で、思いっきり泣いた。



離婚が決まった時、意地を張らないで邸宅を処分すれば良かった。あの頃なら言い値がついたかも知れない。そして少し残った現金を2人で分けて、出直せば良かったのかも知れない。



でもどうしてもこの邸宅だけは手放したく無かった。父が建ててくれた家だもの。あの人は女の実家に鞍替えったろうが、私は住む家無くなっちゃうんだもの。



私はいったいどうすれば良かったんだろう?



そして、その春、恋人の所長も東京本社に帰って行った。実質的なお別れだった。



ミツキはまた1人ぼっちになった。

孤独に苦しむミツキ。ミツキの幸せはどこに?

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