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赤いベンツ  作者: naomitiara-tica
11/15

再び離婚

この物語は創作です。モデルはありません。

喜んだのもほんの束の間、

鈴木はミツキと籍を入れた途端、30年務めた大手電気会社をあっさり辞めてミツキと子供達の住む邸宅の二階に引きこもった。



ミツキ37歳、鈴木52歳。



鈴木はまるで、これで自分の役目はやってのけたろう?って態度が見え見えで、生活費もきっちり毎月20万入れて来たので、態度もそこそこ大きかった。



どうやら、別れた妻との間に出来た娘の結婚資金を用意するのに退職金でまとまった現金が欲しかったのと、ミツキの邸宅に転がり込んだため、すっかり人生へのやる気を無くしたらしい。



余生は自分の好きな事をやりたい、資格をいろいろ取って見たいと、50代で自分探しを始めたのだ。



ミツキはこれでやっと大手会社のサラリーマンの妻としてのんびり暮らせるとの目論見が大幅にズレた。



それでも元夫や今まで引っかかったロクデナシの男たちが自分にした事を考えると、きちんと生活費をくれて、しかも一歩も自分のもとから離れない旦那がいるのは幸せな事なんだと、自分に言い聞かせた。



例え働かない引きこもりであろうと。



そうだ、世の中には金が無くて女の世話になっている穀潰しだって山のようにいる。みんな言わないだけで、働いてる女達は案外旦那とは名ばかりで、旦那を食べさせてるのかもしれない。小遣いやったり....



それに比べたら何だ?金を入れない訳じゃ無いんだし。ミツキも鈴木が紹介した洋服直しの店でセンスの良さを気に入られて、そこそこ働いていたので、まぁ、生活費に困る訳では無かった。



鈴木は気難しかった。確かにミツキの側からは離れなかった。それどころか、濡れ落ち葉のようにいつもミツキに張り付いていた。ミツキの中古だが新しく買い換えたベンツも当たり前のように自分が運転したがったし、毎日ミツキの仕事の送り迎えをやってのけた。



しかし持ち前のプライドの高さがたまに顔を出し、一日中家に居ても機嫌の悪い時は掃除機1つかけず、ゴミ1つ出す訳では無かった。ミツキが腕によりをかけて作った数々のおかずに何1つ手をつけず、高級ウィスキーを黙々と飲んでいた。



3人の子供達も、鈴木がいつも食卓で不機嫌で、何も食べないので、気詰まりで冗談も言えなかた。多感な中学生の長男は文句ばかり言って不貞腐れ、鈴木はその子の態度が気に入らない時だけは、たまに手を挙げた。



しかもたまーに、ミツキの昔からの友達が何かでミツキのところに寄ると、ミツキにしたら鈴木はそう言う時こそ二階に引きこもってほしいところだが、わざわざ二階から降りて来た。まぁ、お客に気を使っていたつもりなのかもしれないが?



夜の生活を満足させてくれる訳でも無かった。鈴木はミツキと何回か遊んだ時はちゃんと行為が出来たのだが、邸宅に引きこもるようなると、そっちの方も途端にダメになった。



自分が好きで仕事を辞めたくせに、世間から見ると若い女房の世話になってると言う図が鈴木の腐れプライドを傷付けた。しかもあちこちの資格を取りまくったものの、今から事業家になれる訳でも、会社を立ち上げられる訳でも、逆に趣味で芸術家になれる訳でも無かった。



他の女には手を出さないだけの、引きこもりの、仕事の無い、ただの50男だった。



そんな生活が5年も続いたろうか?長男も長女も高校生になり、今までより何かと出費も嵩むようになり、2人の進学問題も出て来た。ミツキは鈴木が引きこもってから程なくして自分が洋服屋のパートじゃ無くてまともに働くしか無いと思って、不動産のクレーム課で職を得ていた。



厚化粧をして高級スーツに身を包んで出勤して行くミツキを鈴木は最初の頃、怒鳴ってばかりいたが、文句を言うとじゃあなたも働いて?と反撃されるのが悔しくて最近は諦めて何も言わなくなった。



その会社に仕事が慣れて来た頃、ミツキはまた新しい恋人が出来た。その営業所の所長で、所謂転勤族のエリートだ。所長は鈴木と同じ年だった。



所長としょっちゅう飲みに行って遅くなる日が続き、鈴木に後を付けられてバレそうになった。ミツキは修羅場になる前に今度は自分から鈴木を我が家から追い出した。



自分がしてるダブル不倫も、決して褒められたものじゃ無いのはわかっている。しかし、働かない男を飼うのも、もう二度とごめんだった。

再婚した相手は仕事をしない引きこもり。ミツキ、なかなか平凡な幸せを掴めません....

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