絶滅危惧
登場動物
A……アカウミガメ
B……イリオモテヤマネコ
C……ヤマネ
D……人間
A わたし、アカウミガメ。
B わたしはイリオモテヤマネコ。
C 僕はヤマネ。
Dが四つん這いになりながら入ってくる。
A あら、人間よ!どうしてこんなところに。
B あら、人間よ!この下等生物をとっととつまみ出して。
C おや、人間だ!絶滅危惧種!
D ぉおう……おおぅ……。
A どうやらこの人間、言葉が話せないらしいわ。
B やめなさいよ、触るの。変な菌がうつったら大変じゃない。
C それもそうだが、早く保護してやらないと。
A でも野生の人間よ。そう簡単に捕まるとは思えないわ。
C じゃあ餌で釣ればいい。人間の餌には、柿ピーがぴったり。人間は柿ピーが大好きなんだ。
B そうなの?じゃあ、柿の種とピーナッツの割合はどれくらいがいいの?
C 種とピーナッツが六対四ッ!!……これが伝説の黄金比率だ。
A ちょっと待って。この本によると、柿ピーの横にビールを添えるとなお良しって書いてあるわ。
B 本当だ。ビールも用意しましょう。
C ん?または、赤ワインとカマンベールチーズの組み合わせでも可……?
A 人間って贅沢なのね。
B なんだかめんどくさくなってきたわ。あれ?さっきの人間は何処にいったの?
A いつの間にかいなくなってしまったのね。
C うわぁっ。せっかく見つけたのに、何も観察できずに行ってしまった。
A まぁいいじゃない。もしかしたらあの人間は最後の一匹で、私たちは偶然それに会えたのかもしれないんだから。それだけで奇跡よ。
B 随分と昔には人間がこの地球上で一番栄えた種族だったらしいけれど、生き物の栄枯盛衰って、無常よねぇ。
A 今や住む場所も仲間もなくなってしまったものね。虚しいわ。
C その言葉、僕たちにもブーメランだよ。
AB えっ?