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初期練習作(短編)

不幸な男

掲載日:2015/06/28

 大変だ!

宇宙から小隕石が落下してきて、

自宅が壊滅する被害を受けた。

しかも昨夜女房に振られてしまったばかりだ!

この世界の神さまは何をしているんだろう。

不公平だ!

ダンと壊れた机を叩く。

俺には、これしか残っていない!

首に掛かったケースを取り出す。

アンティークの時計で、

中では女房の写真が笑っている。

俺の方は泣きそうだが。

も一度蓋を閉めた。


 あてもなくさまよい、

一軒のレストランに入ることにした。

腹ごなししないと何も始まらない。

大盛りの料理をオーダーした。

パスタは美味しかったのでおかわりした。

会計を済ませると、一気に懐が寒くなる。

俺に残っている価値はあるのだろうか。

早くも自問自答する。

解答はすぐに分かることになる。


 家に戻ると、人がわらわらしている。

口々に噂し、被害状況の写真を撮っている。

なぜか俺も一緒に写真を撮られた。

無意味に笑ってピースしてみる。

警察官もいる。気の毒そうに俺に話しかけてくる。

俺は災害保険に入っておけば良かったと思ったが、

隕石の落下も補償してくれるのか、

俺にはよく分からない。

知ってる人、誰か教えてください(泣)

もう遅いけどね……


 ネット上にあの写真が上がる。

動画まで投稿されているようだ。

一応スマホでチェックしてみる。

俺はきっと、死んだ魚の目をしていただろうな。

俺と壊れた家の写真に自虐コメントを残したが、

その時、コメ反応は一件も返ってこなかった。


 カプセルホテルに泊まり、

明くる日になってネットを見ると、

あの写真にたくさんコメントが付いていた。

勝手に俺の現住所まで記載されている!

削除要請をしたが、もう遅いだろう。

どうせ他人の不幸は楽しいんだろ。

おれは自分の蜜の味を噛み締めた。


 さて、一度家の様子を見に戻る。

家に着くと、家内が玄関先に居た。

あのネットの情報を見たらしい。

小さくニュースにもなったようだ。

久しぶりに楽しく話し、お互いをねぎらった。

そして家内は人ごとのように去っていった。

俺は予想外の展開に笑ってしまった。

助けてくれると思った……

夫婦の絆は、既に切れていたのか。


 時計のチェーンも切れそうだ。

俺はこれを捨てよう。

そして新しい生活を始めるのだ。

今からでも、きっと遅くはない。

神さまも見守ってくれるだろう。

つかず、離れず。

神さまとは、家内や近所の人を含めた、

全ての人のことなのかもしれない。

直接助けてくれることがなくても、

反対に足を引っ張ったとしても、

きっと人間関係には深い意義がある。

俺は一歩を踏み出し、過去に別れを告げることにした。

ここはみんなが暮らす世界であり。

人ごととは常に自分のことである。

そして俺にはまだ、みんながいてくれる。


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