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無課金であっても、ゲームルールはわからない。

午後から降り出した雨は次第に強さを増し、窓に雨粒が容赦なく当たりつける。今外出している人たちはさぞかし大変だろう。


ちなみに俺はというと、朝から自分の部屋に籠ってネット掲示板を見漁っていた。NFAカップの情報をできる限り集めるためだ。少しでも情報があれば、その分有利になる、思ったんだが......。


「くそっ、どれを見たって知ってることばかりじゃないか」


ネットにはNFAカップに関する情報はほとんど載っていなかった。唯一わかったのは、前回、すなわち第4回NFAカップ、ランク200〜299の部での優勝者が現在ランク302で、一つ上の部へと移ったこと。

こんなの少し考えてしまえばあたりまえだ。ランクが高ければその分強いわけなんだから、おそらく優勝者のランクは290近かったのではないだろうか。なら、ランク300を越えるのは容易いだろう。


もう一つわかったのは、NFAカップの情報が得られていないのは俺だけではない、ということだ。ネット掲示板の多くで、情報を少しでも集めようと必死になる者、片っ端から虚偽の情報を流す者などが見られた。これらは皆、情報が得られないことへの不満の表れなのだろう。


「全員情報によるアドバンテージがない以上、平等なバトルができるってわけなんだろうな」


皮肉を込めてそう呟く。時刻は午後4:50。クロナとの待ち合わせは午後5:00だから、もうログインしたほうがいいだろう。

まあ、あいつはもう待ち合わせ場所にいるんだろうけどな。そんなことを考えて、俺はNFAにログインした。


案の定、待ち合わせ場所には既にクロナが立っていた。遅いだのレディーファーストだのと昨日と同じような会話を交わしつつ、俺たちはNFAカップの会場へと向かう。


「クロナ、大会のルールが発表されるのはいつだ?」


「5:30よ、あと30分くらいで発表ね」


「そうか。それと、なんで俺たちは歩いて会場へ向かっているんだ? 転移システムを使えば一瞬で会場へ着くと思うんだがな」


「一度に大勢の人が同じ場所への転移をするとサーバーに負荷がかかりすぎるの。ただでさえたくさんの人が同じ場所に集まるから、できる限りサーバーに負荷をかけないようにって工夫ね」


こんな会話をしているうちに、俺たちは会場前へと着いていたみたいだ。周りには多くのプレイヤーがいる。

やがて、一人、一人とタブレットを出し、操作しはじめる。そろそろ、ルールが発表されるのだろう。


「..............................!?」


なんだ、この空気は。とても穏やかじゃない。タブレットを見たプレイヤーは皆顔を青くしている。


「何かとんでもないルールがあるってかんじね」


「そのようだな。俺たちも見てみるか」


そう言って俺もタブレットを操作しルールの書いてあるページを開く。


「ちょっと、これって......」


「こ、こんなことがありえるのか......」


そこに書いてあったのは。


『第5回NFAカップは2人一組のチーム戦を行う。予選は、各チーム10組が集まり、迷路を抜けてもらう。早くゴールした上位2組が、決勝へと進むことができる。尚、ゴールとはプレイヤー2人が迷路を抜けたことを意味し、よって、チームの片方のプレイヤーだけが迷路を抜けても、それはゴールにはならない。』


NFAカップの基本的な楽しみ方は、他のプレイヤーとバトルをすること。

それが、迷路を解くことが勝負だなんて。

しかも驚くことに、大会ルールはそれしか書かれていなかったのである。『決勝は別途ルールがある』と最後に記されているが、少なくとも、予選はここに示されたルールの下で行われる。つまり、


「他プレイヤーへの攻撃、迷路の破壊は許されているのか......!?」


わからない。まったくわからない。

このゲーム。果たしてどう勝てばいいんだ............!?




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