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無課金でも、美少女がパートナーになる。

前回までで、一段落。ここから新しい章が始まるという感じです。

一話あたりの文章量が少ないのはお許しください。

「第5回NFAカップだぁ?」


待ち合わせ所のベンチに座っていた俺は、思わず素っ頓狂な声をあげる。


「そう、NFAカップ。あんたも知らないってことはないでしょう?」


「そりゃあ、知らなくはないが......」


NFAカップ。運営主催のイベントで、ランク0〜99、100〜199と、ランクごとに分かれて行われるトーナメント式の大会だ。

ランク変動をより活発化させるための働きの一つと言われているが、そこはどうでもいい。


「しかしクロナ、NFAカップはプレイヤー1対1の戦いだ。なんで俺も出場しなくちゃならないんだ? まさか、俺を1回戦の相手にすることで、確実に勝っていくとかじゃないだろうな⁉︎ なんて外道なやつなんだ......」


「違うわよ! あのね、NFAカップは第5回、すなわち今回の大会からタッグマッチになったのよ、それで、その......パートナーになって欲しいんだけど......」


「ああ、そういうことか。別にいいぞ、俺も暇だからな」


別に大会に出るデメリットは無い。それに、レア度Zのモンスターを扱う実践練習と思えば気が楽だ。


「本当!ありがとう! まあ、そうよね。なんでもしてくれるって言っていたんだし......当然ってやつよね、そう、当然!」


なんだか訳のわからないことを言っているがまあいい。俺には関係なさそうだ。


「それに優勝者には5000円分の課金ギフト券がもらえるらしいから、無課金のあんたもメリットがあるんじゃないかしら!」


課金ギフト券、という言葉に俺の耳が即座に反応する。


「本当か⁉︎ それを先に言ってくれよ!」


だがこれは嬉しい話だ。5000円あればコストキャパシティの拡張ができる。

そうすればレア度Zのモンスターを3体使うことができる。これは頑張るしかなかろう。


「しかしお前も変なやつだな。俺はランク200、ギリギリでランク200〜299の大会に入れるって人間だぜ。お前はランク240なんだから、俺なんかよりもランクが高いやつと組んだ方がよかったんじゃないか?」


「あ......それは......その......」


クロナが困ったような素振りを見せる。なんだろう、俺は変なことを言っただろうか? まさかとは思うが、


「俺以外、友達がいないとか?」


「図星だわバカヤロー‼︎」


「図星なのかよチクショー‼︎」


クロナの右ストレートが俺の右頬に......あれ、なんだろうこの既視感は。

そんなことを考えて、俺はベンチから吹っ飛ばされたのであった。


---------------------------------------


「というわけで、誰がNFAカップに出るっていう話だが......」


翌日の午前10:00。土曜日である今日は、朝から晩までNFAができる。

しかも日曜日のように、月曜日という社会が生み出した人類最大の敵のことを考えずに過ごせるのは、とても気分がいいものだ。


「昨日の経験から、ミレは戦いに不向き、という結論に達した。いや、確かに強いんだが......まあ、仕方がない」


「すいませんリュウガさんすいませんリュウガさんすいませんリュウガさん............」


ミレはさっきからずっと頭を上げたり下げたりしている。見ていると俺が悪いことをしたんじゃないかって気になってしまうぐらいだ。


「あれは俺の指示も悪かったからそんなに謝るなって。それで、今度あるNFAカップには、ノアかベルのどっちかが出場、残りはゴブリンとスライムとしたいんだが......お前ら、どうしたい?」


「わ、わたしは年功序列でノアさんがいいと思う! こう見えてノアさん設定年齢がにじゅ......」


「......ベル、可及的速やかに死ね」


「いやノアさんわたしはモンスターだから死なないっていうかなんていうかいやちょっと十字固めはやめイタタタタタタタタ‼︎」


ノアがベルの首を絞め上げる。ベルも必死に抵抗するが、ノアの力にはかなわないようだ。


「まあ、ノアの方が近接格闘では強そうだし、任せるよ......」


なんだか不安だが、ここはレア度Zの称号を信じるしかない。


「ちなみにノア、お前は何ができるんだ? 確か無限空間獄士って言ってたよな......」


「......そう、あたしは無限空間獄士。空間を自由に移動、変形ができる」


十字固めの体勢のままノアが応える。いや、そろそろ十字固め止めてあげろって、ベルのやつ泡吹いてるぞ。


「なるほど、具体的には何ができるんだ?」


「......瞬間移動。だから、敵の攻撃は絶対に当たらない」


瞬間移動か、なかなか強い特技を持っているんだな。


「他には、何かあるか?」


「それだけ」


即答された。


「それだけかよ! いや、他にもなんかできないのか? 例えば、そうだな......敵ごと空間を引き裂いて敵の体を無理矢理切断する、とか」


我ながら相当グロテスクなことを言った気がするが、気のせいだろう。まあこれはさすがに無理かーーーー


「できる」


「できるのかよ‼︎」


「......ただ、空間を大きく歪ませるから、サーバーに大きな負荷がかかる。すると、運営が怒る。最悪、ゲームアカウントが消されるかも」


「おいそれ恐ろしすぎるだろ......」


頼むから、ミレのように早まって使うんじゃないぞ。てか使うな。

まあ瞬間移動さえあれば負けないし、充分だろう。充分だろうか......。


「NFAカップは明日の午後6時から。じゃあ、解散だ」


そう言って俺はタブレットをいじり、ログアウトする。ログアウト時の上昇感が、いつもよりひどく感じられた。

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