無課金は、やっぱり無課金モンスターを使う運命にある。
R-15指定をすべきなのか迷います。今のところは大丈夫なはずたけど......
わかりにくい点などありましたら感想にて報告していただけると幸いです
午後5時過ぎ、学校から帰った俺はすぐにNFAへログインする。
仮想空間への移動は最初こそ違和感と謎の浮遊感で気持ち悪く感じていたものの、今ではすっかり馴れてしまっている。
"welcome back to NFA"という無機質な音声と共に、俺は集会所の前に降り立った。
「さて、パーティを編集しないとな」
そう言って俺はウエストポーチからタブレットを取り出し、操作する。
パーティの編集やモンスターのステータス表示、各種設定変更、ログアウトは全てこのタブレットを使用し行われる。
ちなみに、タブレットは自分以外のプレイヤーには可視化されず、よって、他人のタブレット画面を見ることはできない。
クロナにレア度Zのモンスターを見せられないのはそのためだ。
「ミレ、ノア、ベル、召喚!」
俺の声を合図に目の前の空間が輝き出し、光の中から3体のモンスター、というか、3人の美少女が現れる。
「こんばんは、リュウガさん」
「......眠い、リュウガ、おはよう」
「あ、会いたかったよ、お兄ちゃん!」
俺がプレイヤーネームを教えてから、ミレとノアは俺のことを名前で呼んでくれる。
唯一ベルだけは俺のことを『お兄ちゃん』と呼んでくれるわけだが、弟や妹のがいない俺にとってはなかなか新鮮だ。
「さっそくだが、今日は戦闘だ。負けるわけにはいかないから、みんな頑張ってくれよ」
「はい!」「はいはーい」「は、はい!」と、ミレ、ノア、ベルがそれぞれ答える。
それにしても、3人ともめちゃくちゃかわいい。
こんな姿を見られるのも仮想空間システムのおかげ、ありがとう仮想空間システム。
「さて、パーティ編集だが............あれ?」
おかしい、はじめにミレをパーティに組み込むことはできるのだが、次にノアを入れることができないのだ。そして、ディスプレイには、
「こ、コストオーバーだと⁉︎」
コスト。オンラインゲームで多く見られるこのシステムだが、つまりは自らのコストキャパシティを越えるコストのモンスターをパーティに組み込めない機能だ。
コストの低いゴブリンやスライムを使っていたため意識することがなかったわけだが、俺のコストキャパシティが110に対して、ミレ、ノア、ベルのコストは1人につき100。
どう頑張っても1人しかパーティに入らないのだ。
「じゃあどうすればいいんだ⁉︎ これじゃあ宝の持ち腐れじゃないか!」
「課金です。課金をすれば、コストキャパシティも上がりますよ」
「......コストキャパシティを1上げるのに、20円。コストキャパシティを300にするには、たったの3800円」
「わたしたちを一気に使うにはそれしかないんだよ、お兄ちゃん!」
「う......」
ダメだ、できない、課金はできないんだ。だからと言ってまたクロナに頼むことも悪い。ちくしょう、これも、無課金ゆえのの足枷か......
「仕方がない、この中から1人パーティに入れることにする。パーティの残り2枠はゴブリンとスライムで間に合わせる。で、誰をパーティに入れるかだが......誰か戦闘に自信のあるやつ、いないか?」
「はいっ! 私、戦いになら負けないです!」
そう言ったのは、ミレだ。さすが天界紅蓮天使。戦闘には誰よりも自信があるのだろう。
「じゃあミレに任せるよ、頼んだぜ」
「私を侮ってはいけませんよ、リュウガさん? 必ず勝利へと導いてみせましょう‼︎」
「よし、その意気だ。じゃあ行くぜ、俺たちの初陣だ!」
そう言って俺たちはクロナの待つバトルコートDへと向かった。