無課金だけど、課金ガチャを引いてみる。
前回の続き
一気にハーレムが進みます
ガチャ。
運のみに左右されるこれは、ときに人を喜ばせ、ときに人を悲しみに突き落とす。
無課金ユーザーである俺とは馴染みのないものであったはずのこの機能を、ついに使うときがきたようだ。
「よし、引くか」
そう言って俺は右手のガチャチケットを握りしめる。手にしたそれは、どうしても課金することができないならとクロナからもらったものだ。
3枚、この3枚で、俺のこれからのゲーム人生が決まるのだ。
首筋からダラダラと汗が流れる。仮想空間内で汗が流れるのを、俺はそこで知った。
「うおおおおおおおおおおお! 神よ、俺に運命力を与えてくれえええええええ!!!!」
そう叫んで俺はガチャを引いた。ガチャり、という無機質な音を立てて、レバーは回り......。
「レア度......Z、だと?」
現在、運営が何も情報を開示しないことからNFAの攻略情報はほとんど出回っていない。よって、あまりに不確定要素が多すぎるのだ。それはガチャにおいても言えることで、ガチャから出るモンスターのレア度はS、A、Bのいずれかと、プレイヤーの中で言われていた。
しかし、俺の目の前にはレア度Zのカードがある。しかも3枚。
「ど、どういうことだこれは......?」
そして、カードが白く光り始めてーーーー
「こんにちは、ご主人様!」
「......おはよう、ご主人様」
「ご、ご主人様! はじめましてです‼︎」
俺の目の前には、3人の美少女キャラが立っていたのだ‼︎
「私の名前は天界紅蓮戦士・ブライトアークエンジェル・ミレ。ミレと呼んでください!」
そう言ったのは朱色でセミロングの髪、純白のメイド服を着た娘だ、背中には羽が生えており、銀色に輝く槍を右手に持ち、なんとも活発的に見える。
「あたしは無限空間獄士・インフェルノア。面倒だからノアで、いいよ」
長い黒髪を持ち、黒いフード付きのマントを羽織った彼女はそう言って、ジト目でこっちを見ている。なんていうか、この娘はやる気のなさそうな顔だな......。
「わ、わたしは中枢思考管理師・ティンクベルといいます! べ、ベルって呼んでくださいね......!?」
小学生並の身長、金髪でツインテールであるこの娘は、青いワンピースを着ていて、とてもあどけなく見える。
「俺はリュウガ、よろしくな。しかしまぁ、驚いたよ。レア度Zなんて聞いたことなかったからな」
「そうなんですよ! 今までガチャからレア度Zのモンスターが出た例は2度しかありませんでしたから。おそらく、レア度Zを出した人がみんなに話しても、誰も信じてもらえなかったんだと思います」
「そうなのか。で、レア度Zってことはやっぱ強いんだろうな?」
「......もちろん、強い。レア度Sのモンスターより、少なく見積もって3倍の、強さ」
「マジか......強すぎるだろ、それ」
普通、NFAでの戦闘は3体のモンスターと1人のプレイヤーを一単位として行われる。ノアの話が本当なら、レア度Sしか持っていないやつに対してなら、この娘たちの1人さえいれば大丈夫、ということだ。
「これで、俺もさらにランクが上げられるはずだ! さらばスライム、さらばゴブリン! よっしゃあ! モチベーション上がってきたぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
こうして、俺のゲーム人生が、再スタートした。