無課金の限界だから、ゲームをやめようと思う。
主人公、リュウガのプレイするゲームはネット・ファンタジック・アクションリプレイ 通称NFA。仮想世界で行われる基本無料、課金要素ありの対人戦闘ゲーム
相手ユーザーをバトルで倒すことでランクが上がるこのゲームだが同ランクプレイヤーのほとんどが課金している中、リュウガは無課金でゲームを進めていく
「もう俺はダメだ、これが無課金の限界ってやつだな。クロナ、あとは任せたぞ......」
「はぁ? なんであんたは開始早々限界発言してるわけ⁉︎」
集会所の傍でこんな話をしているのは俺、リュウガとクロナだ。もっともこの名前はあくまでプレイヤーネームであり、俺の本名は沢渡龍牙だ。てか開始早々ってなんだよ。まるで物語の始まりみたいじゃないか。
「そもそも、ランク200にもなって全く課金もせずに貧弱なスライムやらゴブリンを使ってるやつなんてあんただけだと思うわ! ここまでやり込んだんだから、少しぐらい課金して先へ進んだほうが絶対いいって!」
こう言ってクロナは俺を説得している。身振り手振りに意味があるのかわからないが、体全体を使って必死で説きつける姿はなかなかかわいい。
「俺だって課金はしたいんだよ! だがなクロナ、俺は昔やってたゲームで課金しすぎて親にお小遣いを止められたんだ。もう課金は出来ないんだよ」
「千円ぐらい親に土下座すればもらえるんじゃないの? 大体、あんたは前のゲームでいくら課金したのよ、どうせ2万とか......」
「いや、50万円だ。むしゃくしゃしてやった。今は反省している」
クロナが盛大にズッコケた。
「ご、ごじゅうまんえん......!? 高校生がそんなお金どっから出したって言うのよ」
「それは大人の事情ってやつだ。思ったんだが、なんでクロナはそんなに俺をやめさせたくないんだ?」
「そ、それは、なんていうか......その......」
さっきまでの威勢はどこへ行ったのか。急にクロナがモジモジしはじめた。何か言えない理由でもあるんだろうか?
「お、大人の事情! そうよ! これも大人の事情よ! とにかく私ができることならなんでもするから、ゲームは続けなさいよ‼︎」
なるほど、なんでもする......か。ではお言葉に甘えて、なんでもしてもらおうじゃないか。
「じゃあわかった。クロナ、おっぱい揉ませてくれ、そしたらゲームを続けよう」
「いいわ、私のできることならなんでも......って、えええ⁉︎ な、何言ってんのよあんたは‼︎」
クロナは顔を真っ赤にさせている。なんていうか、表情豊かなやつだな。
「違うんだよクロナ、俺は下心でこんなことを頼んでいるんじゃない。俺は知りたいんだよ。仮想空間内でおっぱいの感触がどこまで再現できているのかさ」
「で、でも......こういうのはその......順序があったりして......でも、それでリュウガがゲームをやめないっていうのなら......」
さすがに無理な頼みだっただろうか、このままではクロナがかわいそうだ。
俺はそう思い撤回した。
「あ、でもクロナの胸じゃ参考にならないかもな。なんというか、ぺったんこ、だし」
「だ、だ......」
「ん?」
「誰がぺったんこじゃコラー‼︎‼︎」
クロナの右ストレートが、俺の右頬に炸裂した。