いぬのカミサマ (1)
久しぶりに投稿します。時間も少ないので、1話を数回に分けて投稿します。色々自分で読み返しながらになります。誤字脱字失礼します。
1話から読む事をオススメします。
ワタシはいつも白い部屋にいる。
そこにはテレビしかなくて、ワタシは只座ってそれを眺める。それに写し出されるものはよくある日常的な風景で、家族や学校、彼女を取り巻く世界だった。
ワタシはゆっくりとテレビ画面に手を伸ばす。
触れたくても届かない。話したくても聞こえない。そのテレビの中の世界は無情だ。眩しくて羨ましくて憧れて焦がれ続ける程に...残酷だ。
おかるとな彼女
ワタシはそれを決行に移した。月のない夜を選んだ。
こういう言い方はおかしいかもしれないが、場所は知らないが記憶にある。それをワタシは辿って行く。
ワタシは夜の闇に紛れ風の様に静かな街を駆け抜けて行く。そして見つける。アサギの部屋だ。
灯りはついていない、さもあろうなんと言っても午前2時だ。彼は油断(?)しきって眠っているに違いない。ワタシは元より朝日も夜を這うという行為に経験はないが、無防備にも眠りこけているアサギなど簡単に組敷ける自信がある。
わざわざ月のない夜を選んだのには理由がある。月はワタシの能力を向上させてしまう。今日という日は出来るだけイヌガミとしての存在を隠しておきたいのだ。隠しておきたい。という言葉には当然対象が存在する。
それはもちろん亘理沙織だった。
ワタシは音もなくその家に近いていく。アサギの部屋はその家の二階、角部屋だ。頭上のベランダをゆっくりと見上げると、ふわり、とそれに飛び乗り、窓に額を押し当て白いカーテンの隙間から中を覗き込む。当然ながら暗いがワタシの赤い瞳は布団にくるまったアサギを捉える。
ドキドキと鼓動が高まって行くのを感じる。だがまだ慌ててはいけないと静かに息を吐く。ゆっくりとベランダの窓に手をかける。当然ながら鍵が掛かっているが、その手にぐっと力を込めるとパキと小さな音を立てて金具が床に転がっていく。
アサギの様子を伺いながらゆっくりと窓を開けて、隙間に体を滑り込ませる。
胸一杯に広がるアサギの匂いに尻尾が揺れる。その尻尾を胸に抱えながらゆっくりとベッドで眠るアサギに近づく。
(ど、どうしよう......緊張してきた......!)
深く朝日の記憶を探るも夜這いに関しての有用な情報は見当たらない。漠然とした知識だけだ。
ヒタヒタとワタシの素足がフローリングの上を進んで行く。一応、わかってはいる。アサギのベッドに潜り込み抱き付くのだ。そして......
大丈夫。緊張はしているもののやる事は理解できているはずだ。
浅木の眠るベッドへと近づくにつれ、はぁはぁと息が乱れていく。それほどまでに昂ってしまったためか、ワタシとした事が招かざる客の存在に気付かなかった。
突然、クローゼットが開き細い腕が伸びてワタシの首を掴む。
反射的にイヌガミの力が作用し目が赤く光る。が、それは一瞬で光を失った。霊物の力を低下させる呪言、それがその腕にびっしり書かれてあるのだ。
もちろん暗がりの中で本人の顔を見たわけじゃないが、この細い腕が誰のものかは理解できる。
「なんで亘理が、ここにいるんだ...!?」
「あら、それはこっちの台詞なのだけれど?」
目的の合致!
午前2時。場所は浅木家の2階。
誰にも理解不能のまま戦いのドラが鳴り出す。




