プロフィール
〜♫
ピッ
枕元で、何ヶ月か前に買ってもらった携帯が鳴った。
誰からの着信かは見なくても分かる。
「……おはよ」
「光希、もう7時よ。早く起きてきなさい」
「うん」
私が携帯を持つようになってから、
母は起こしにくるのが面倒になったらしく、
朝はいつも携帯で起こされる。
起こされる、というか、携帯が鳴る頃にはほとんど起きている。
高校に入ってからは朝に勉強するようになったため、つい時間を忘れてしまうのだ。
覚束ない足取りで階段を降りる。
いつものニュース番組。慌ただしく仕事の準備をする両親。テーブルに顔を突っ伏した弟。
いつもの朝の光景。
そこに匂いはない。
普通の家庭なら、目玉焼きとか、ベーコンとかハムとか、そういうのを焼いた匂いがあるんじゃないだろうか。
私の家は、トーストを焼いた匂いがかすかに残っているかどうかだ。
「おはよう、ヨーグルトつくる?」
「……うん」
このヨーグルトとは、一口大に切ったバナナに市販のヨーグルトをかけただけのデザートのようなものだ。
私はダイエットをしているわけではないのだが、待たなくていい分作るのが楽なのか、私の朝食は最近いつもこれだ。
「光希、どれがいいと思う?」
朝食を食べ終え、服装を整えていると、
父が声をかけてきた。
ネクタイを選んでいるらしい。
「知らないよ。どれでもいい」
「そんな言い方ないだろ」
声色を落として父が言った。
たったあれだけのことでイラついたらしい。
イライラしているのはこっちだ。
この朝の忙しい時間。
思春期の私は、父親に話しかけられるだけでも嫌だっていうのに。
「じゃあ、その黄色のやつ」
「うるさい。もういい」
ああ、拗ねた。子どもみたいだ。
私は嫌なオーラを放つ父親を無視して、支度を進めた。
じゃあ、行ってくるね。そう言って出て行く母は、まるで自分がこの世界で1番忙しいみたいな言い草だった。
嫌い、嫌い。
子どもっぽい、感情的な両親が。
こんな人たちが両親だなんて、ゾッとする。
情けない。
嫌だ、嫌いだ、きらい、きらい、大嫌い。
親なんて、いなくなってしまえばいいのに!