キャンバス
暗くなる空が好き
青い空が落ちて、紫の膜。
そう、其れから
太陽のこぼれる感覚。
容器から溢れるのは、きっと橙
キャンバスに色を混ぜて
多分、空が暗くなる
落ちた青空は
キャンバスの膜の上に雲隠れ
わたしはその塗装を剥がしたいけれど
全然届かないのです
だから、暗くなる空が好き
そう思い込みたいのです。
ねえ、其処には誰も居なくて
わたしの記憶にだけ残っているの。
あなたは空の向こうだと云うけれど
覚えていることが、現実。
だから、キャンバスを剥がしても
空が青く、眩しいだけ。
紫と橙と、それから少しの青で
わたしはそれが好い。
届かないのなら、其れも現実
来ないで、って云われているようだから
もう少し、此処で待つ。
今宵は如何な色彩で、空は落ちるのかしらん。