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響く悲鳴

 歩きながら扇は優愛に声をかけた。


「そういえば剣を持っているみたいだけど使えるのか?」


 RPGの世界だと主人公たちが戦闘技術を持っていること前提で話が進むが、現代日本で暮らしていた優愛が剣を使えるのはおかしいだろう。


 しかし、優愛は扇の予想とは裏腹に腰に差した鞘を揺らしながら答える。


「あーこれ剣じゃなくて刀よ。刀なら使えるわ」


「……マジで?」


「マジよ」


 どうも話を聞くところによると優愛の祖父が剣術道場をやっていたらしく、強制的に習わされていたらしい。


 まさか役に立つ時が来るとは思ってもみなかったわと言って優愛は続ける。


「まきわらくらいしか切ったことがないから。魔物相手に実戦でどのくらい役に立つかは分からないけどね」


 確かに元の世界の戦闘術はそれが武器術であれ格闘術であろうとも対人戦を想定して作られているものだ。


 魔物相手にどれほどの効果があるかは未知数だろう。


 しかし技術があるのにこしたことはない。


「いや、すごく心強いよ。経験があるのとないのじゃ大違いだからな」


「ふふっ、存分に頼りなさい」


 優愛が平均よりはるかに大きめの胸を自慢げに張る。


 扇は思わず目のいってしまった胸からあわてて視線をそらし、ごまかすようにソフィアに冗談めかした声でたずねる。


「まさか、ソフィアも魔法が使えるなんて言わないよね?」


「は、はい。使えると思います」


「えっ、使えるの!?」


「ほんとに!?」


「は、はい、いえ、あの、その、あ、え、つまり」 


 扇と優愛が驚いた声でたずねると、ソフィアは見ている方が気の毒になってしまうぐらいあわてて何かを答えようとする。


 その様子を見て落ち着きを取り戻した扇はソフィアの目をしっかりと見つめてゆっくり言う。


「落ち着いて、時間をかけてもいいからどういうことか説明してくれないかな?」


 なるべく静かな声を出したのだが、何がいけなかったのかソフィアは顔を真っ赤にして余計に慌ててしまう。


「セン、あんたそれ初対面の異性には完全に逆効果よ」


 優愛が呆れたように扇をみていた。


 どうもあまり物怖じしない性格のせいか良く分からないが対応を間違ってしまったらしい。


 扇は後で謝ることにして、ソフィアのもとへため息をついてから向かう優愛にあとのことを任せて大人しくしていた。


 落ち着いたソフィアに謝ってから話を聞くとメディの光を受けてから頭の中に一つの魔法の知識と使えるという確信があるらしい。


「そうか元の世界から使えるというわけじゃなかったんだな」


 直前に優愛の話があったから誤解してしまった。


「ご、ごめんなさい。説明が下手で」


「いや、俺が最後まで聞かなかったのが悪かったから」


 扇とソフィアが互いに謝りあっていると優愛が扇に声をかける。


「さっきから聞いているセンはどうなのよ。最初は一人で行くって言ってたし何かできるんじゃないの?」


「俺は―――」


 扇が疑問に答えようとしたとき、森の中に悲鳴が響く。


「キャーーー!!」

次回こそは戦闘に入ります。

多分にご都合主義っぽいところがありますが、きちんと物語上の理由がありますので解明までお待ちください。

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