はじまり
目を覚ますとそこは異世界だった……。
「って、ちょっと待ておかしいだろ!」
意識を取り戻して、目に飛び込んできた光景へ突っ込みを入れた。
しかし仰向けの体勢のまま、辺りをいくら見回してみても、少なくてもここが日本だとはとても思えなかった。
だって、なんか太陽が二つあるし。
元の世界にあった太陽と同じサイズのまぶしい太陽と一回り小さいサイズの瞬くように輝く太陽が……。
動転して寝たままになっていたが、立ち上り落ち着くための深呼吸をする。
少し落ち着いてから自分が今どこにいるのかあらためて確認してみると、森の中のようだ。
人っ子一人の気配もしないどころか動物の気配すらせず、不気味だ。
「な、何で俺、こんなとこにいるんだろうな~♪」
恐ろしさをごまかすために、大きな声で歌うように疑問を口にするがもちろんそれで何かがわかるわけでもない。
恐怖をごまかすのも兼ねて、基本的な自分に分かることを挙げていく。
俺の名前は朝比奈扇(あさひな せん)。
千葉県に住み、両親と妹を持つ。
自分ではそう思わないが、仲のいい友人からはよく変人と呼ばれる高校一年生だ。
意識を取り戻す前の一番最近の記憶は、いつもどおりに学校から帰ってきて、昼寝をするために自分のベッドに横になったところで終っている。
「ってことは俺、夢みてんのかな?」
頬を力いっぱいつねってみるが、めちゃくちゃ痛い。
寝相でつねっている可能性も考え、近くの木に頭突きをかます。
ガインっ!!
木から出たとは信じられない効果音を響かせ、頭が弾かれて後ろへ倒れる。
「痛ってーーーー!!」
まるで鋼鉄にしたかのような痛みに頭を抱えて悶え苦しむ。
とりあえず夢ではないらしい。
というか、実は最初から夢だとは考えていなかったりする。
土や木、空等があまりにリアルすぎてこれが夢だとはどうにも思えないのだ。
しかし何か違和感がある気がする。
バカな行動をしているうちに多少落ち着いてきたので、頬と額を手でこすりながら起き上り違和感の正体について考えを巡らしながら空を見上げる。
太陽は二つともちょうど真上にあり昼間のようだ―――もっとも元の世界の法則がこの世界に適用されるのならば、だが。
「いらっしゃ~~い、新たなこの世界の住人のみなさん」
突如、かわいらしい女性の声が響いた。
初めて小説を書きました。
一ミクロンでも楽しんでいただけたら幸いです。
ちょっとした空き時間にどうぞ。
続きは近日投稿いたします。