あなたが好きだ!!
ある歌が心に残っていて離れなくてこの話を書き上げました。
いつもとは違うお話です。
僕が振り返ればいつもそこにあなたはいてくれた。
夏の日差しの眩しさに目を細めると、あなたは僕を見て笑った。
その笑顔が素敵すぎて僕の胸は早鐘を打つようにドキドキした。
秋の日の日暮れ、ほんの少しあなたは震えた。
僕は上着を脱いであなたの肩に掛けると「温かいわ」と僕の腕にしがみついた。
その温もりが僕を幸せにする。
何もかもが真っ白になった冬のある日、あなたは小さなくしゃみをした。
心配した僕に「大げさね」と笑う笑顔が眩しくて僕は本当にあなたが好きだと心から思った。
そして僕は「あなたが好きだ」と伝えた。
そしてあなたは「わたしも好きよ」と答えてくれた。
長く凍える真っ白な世界の終りが見えた頃、暖かく色鮮やかな世界に変わった。
振り返っても僕のそばにあなたはいない。
「あなたが好きなんだ!! あなたが必要なんだ!!」と何度叫んでみてもあなたはいない。
冬のあの日の小さなくしゃみ一つが僕とあなたを引き離した。
春が過ぎ去り夏が来ても僕は寒さに凍える。
あなたがいない。ただそれだけが僕を凍えさせる。
あなたが好きだ。あなたがただそばにいてくれるだけで僕は幸せだったんだ。
他には何もいらない。ただあなたがそばにいてくれれば。
あなたがくしゃみをした冬が来る。
あなたがいないこの世界で僕は一人、凍えたままだ。
僕は冬の準備をする気になれなくてあなたの温もりばかりを求めていた。
世界が白に変わった時、僕はあなたの笑顔を見つけた。
「ああ。僕はあなたが好きだ!! あなたと一緒にいられるだけでそれだけで幸せなんだ」
あなたは僕に手を差し出してくれて、僕はその手を取った。
僕はこの世で一番幸せだ。
僕はそんな笑顔を浮かべてあなたの下に旅立った。




