第四章 時をなぞる者たち11
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第十一節 「構造の核へ」
午後、森の奥――
アトラたちは再び、あの“木”のもとを訪れていた。
昨日、リウネの手では直しきれなかったコードをすべて修復し終えた今、この場所に再び立つ意味は、明確だった。
アトラは木の前に立ち、そっとその幹に手を添える。
無数の細かな文字のようなコードが、表面に複雑な構造を織りなしていた。
「……今なら、きっと届く」
彼はそう言って、静かに目を閉じた。
アクセス。
そして――構造を読み解く。
コードの奥に眠るものを探り、言葉に、新たな式に、力に変える。
リウネがじっと見守る中、アトラの手元から淡い光が広がっていく。
幹を這うように、コードが静かに流れ始めた。
「……つながった」
昨日まであった拒絶のようなものは、もうない。
世界の構造は素直にアトラのアクセスを受け入れ、その全貌を明かし始めていた。
木の根元に、光が形を取る。
きらめく結晶――「ながれ」のグリフピースが、今度こそその姿を現す。
アトラはそれを両手で包み込むように受け取った。
「これでようやく、“ながれ”と繋がったんだね」
リウネが小さく呟く。
その声は、どこか安堵と誇らしさが入り混じったようだった。
「アトラ……ありがと。リウ、一人で頑張ってたけど、届かないところもあった。でもアトラが来てくれたから……この場所も、ようやく元通りになったんだね」
アトラは微笑み、リウネの頭をそっと撫でる。
「ううん。リウがずっと守っててくれたからだよ。僕は、最後の一押しをしただけ」
リウネは照れたようにしっぽを丸めて、ふわりと揺らす。
木は静かに、けれど確かに輝いていた。
「ながれ」のグリフは、コードの流れを最適な形へと再構築し、ようやく正常な動作を始めた。
必要な修正がすべて完了し、この場は“正しい時間のかたち”を取り戻していた。
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