君に呪いをかけてあげましょう。
はじめて書いた作品なので拙いところがあるとは思いますが、長い目で見ていただけると嬉しいです。
「君に呪いをかけてあげましょう。」
そう言ったのは、誰よりも美しく賢いあの人だった。
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夜中にふと目が覚めたら、あの人がわたくしの体に覆い被さっていた。
どうして、と私が聞くとそんなこと君だって分かっているだろう?だなんて。
そうかしら、とわたくしがとぼけると、
そうだね…無駄口を叩いている暇はない…
ふふっ、君に呪いをかけてあげましょう。とあの人は言った。
わたくしはただ、受け入れるだけ。
なぜ、抵抗しないのかですって?
だって。
あの人になら何をされてもいいの。
ただそれだけ。
何か、言い残したいことは?とあの人が言う。
ないですわ。
そうか。
ええ。
相変わらず、そんな質問をするなんて本当に馬鹿な人
。
言い残したいことを聞くなんて野暮でしょう。呪いをかけるというのに…
あの人、いいえ。レイリード・デ・ラ・クレイディアス皇太子殿下。
愛しのレイ。わたくしの最愛の人。でもこの思いは口には出せない。出してはいけない。
・・・さようなら。愛しい人。結局この言葉は18年間、一度も出せなかった。一度くらいは伝えたかった。
「じゃあね、ばいばい。安らかにお眠り。
君・・・幸せに・・・・・。」
涙の雫が一粒、二粒と顔に降ってきた。
最後の言葉は分からなったけれど、レイのその声を最後にわたくしの視界は真っ黒に染まった。
*****
1000年の時が経った時、聖女は目覚める。
最愛の人を忘れて。
そんな彼女と共に、世界も1000年の眠りから目覚めるのであった。
果たして、いつか彼女は思い出せるのだろうか。また出逢えるのだろうか。最愛の者と。
あの時彼女が聞き逃したのは、どこまでも彼女の幸せを願う一言だった。
「君だけはどうか、幸せに。」




