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ダイグ、報いを受ける

「ダイグ!何をしたか分かっているのかあ!?」

 レアを追い出した後、ダイグは王に呼びつけられ、激怒された。


 1度王に激怒された後、様々な問題を握りつぶし、うまく立ち回ってきたダイグだったが、今回は隠ぺいしきれなかった。


 なんせ大勢いる卒業パーティーの場でレアを貶めるように婚約破棄をし、泣かせ、自身の責任をなすりつけ、悪者に仕立て上げようとしたのだ。


 その噂は城下町にまで広まりダイグの評判はさらに悪くなる。


 普段怒る事が無い王をここまで何度も激怒させたのはダイグだけだ。


 だがダイグはこりない。


「お言葉ですが、たかが治癒士1人程度」

「馬鹿者があああ!レアはこの国最高の治癒士!聖女と呼ぶ者まで居る存在だ!学園で何を学んできたああ!!」


「た、たかが男爵家の令嬢、大した影響はありません」


 王は苦虫を噛み潰したような顔をした。

「ぐ、ここまで!ここまで愚かだったのか!変わってくれると信じたかった。……ダイグ、お前を兄と同じ魔物討伐の前線に送る。しばらく勉強してこい。もっとつらい目に遭わねば人の気持ちも分からず、学ぼうとする謙虚さも育たぬ」


「お、お待ちください!地獄と言われる前線に送るなど、どうかしております」


「私もその地獄を体験して王となった。そしてカシトは今その地獄にいる。丁度良い時期かもしれん。命令だ。逃げ出したら殴ってでも連れ戻し戦わせよ!それでも言う事を聞かねば、だ……ダイグを、こ、殺せ」

 王は苦しそうに言った。


 その声はまるで絞り出すような悲痛なうめき声に聞こえた。


 怒鳴りながらつまみ出されるダイグを、悲しそうに見送る。


 治癒士は貴重で、1人居るだけで戦場の死者が減少する。


 それとレアの父は英雄と言われたゼンキ。

 学園で授業を受けていればこの2人の重要性は分かるはずだ。


 だが、分からなかったようだ。


 何も学ばず、バカなまま、でしゃばる者は王族で居られない。


 その日王は魂が抜けたように公務を行った。





 ◇





 ダイグが前線に到着すると、兄である第1王子がダイグを殴り飛ばした。


「ぐぼお、カシト兄さん、何を」


 王と同じで温厚なカシトが激高した。


「何故レアをいじめ、婚約破棄した!レアは最高の治癒士、その父は英雄だ!その意味を分かっているのか!」


「た、たかが男爵家です」


「まさか!本当に分かっていないのか!」


 カシトはショックを受けたように驚く。





 しばらく無言になり固まったカシトは、「ダイグを魔物と闘わせろ!多少の傷は放置しろ。治癒士のありがたさを分かってもらう。暴れたら殴ってでも従わせろ!手に負えねば私を呼べ!力でねじ伏せる!」と言って魔物狩りに戻っていった。





 ◇





 ダイグは毎日魔物と闘う事になった。


 戦闘訓練をそれなりに受けてきたダイグはそれなりに戦うことが出来た。


 だが傷を負う。


「おい!傷を治せ!」


 2人の護衛兼見張りがダイグに目を光らせる。


「出来ません。多少の傷は放置するようカシト様より命を受けております」


「貴様!俺は第2王子だぞ!」


 この2人は何を言っているのだ?


 治すのが当然だ!


 護衛に詰め寄って殴りかかる。


 ダイグは下の者への態度はとにかく高圧的で、カシトや王の前ではおとなしい。

 

 だが反対に護衛に殴られた。


「反抗した場合殴ってでも言う事を聞かせるよう命を受けています」


「おとなしく従っていただきたい」


 ダイグは剣で斬りかかるが難なく地面に転がされる。


「ダイグ様、魔物狩りにお戻りください」


「あなたでは我々に勝てません」


 ダイグは歯ぎしりをするように悔しがった後、戻って魔物と闘う。






 前線で戦い続け、ダイグが1日目を終えると、カシトがダイグの元に訪れる。


「ダイグ、レアが学園を卒業したら、ここに来てもらうはずだった。だがお前が追い出したせいで治癒士が足りない。治癒士は常に足りないのだ」


 カシトはダイグに分かってもらいたいと考えた。


 そして言っても分からないダイグに身を以て知ってもらう事にした。


 更にカシトはダイグの愚かさを知って、教える事を1つに絞った。


 それはレアを追い出したことの意味を知ってもらう事。


「お前がレアを追い出さなければもっと前線は楽な戦いが出来た。だがお前が追い出した」


 そう言ってカシトは戻っていった。


 ダイグは死の恐怖を味わい、うつろな目で話を聞いた後、ぐったりとして眠る。


 次の日も次の日も同じことを繰り返し、常に言い返してきたダイグは前よりおとなしくなった。


 7日間前線で戦った後、ダイグは王都に帰り、少しおとなしくなったが、時間が経つと元に戻り始めた。





 そしてダイグはまた王に呼ばれる。


「ダイグ、レアの父が貴族の爵位を返上した。元英雄ゼンキだ。この意味が分かるか?」


「元英雄などより私の方が力を持っています!私が南部の魔物を倒しましょう!」


 王はため息をついた後「ダイグをまた前線に送れ。次は元英雄の力を分かってもらうようカシトに教育してもらう」


「お!お待ちください!英雄の授業は受けました!もうわかっています!」


「連れて行け」


 ダイグはこうして2回前線に連れて行かれた。





 王城で兵士が噂する。


「なあ、知ってるか?ダイグ王子が2回も前線に連れて行かれたらしいぜ」


「みたいだな。なんでもあの王とカシト王子を激怒させたみたいだ」


「温厚な王とカシト王子を怒らせるって、相当だぞ」


「だから俺達は幸せなのさ。ダイグ王子の下につかなくていいんだ」


「それに元英雄のゼンキが貴族の爵位を返上したらしい」


「……ダイグ王子のせいだよな?」


「それ以外無いだろ」


「ダイグ王子、王族の地位すら危ういんじゃないか?」


「かもしれん」


「元英雄が居なくなりその子である治癒士の令嬢も居なくなった。南部は相当大変だろうな」


「ああ、あれだけやったら、激怒されても不思議じゃない」


 こうしてダイグの悪評は更に広まっていく。






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