カシト王子の粛清
レアとシオンが平和な生活を続ける中、カシト王子はグレー王国の革命に乗り出していた。
貴族の粛清である。
まず弟のダイグを暴行の罪で魔物狩りの前線に送った。
この事は貴族に対して、『上の立場の王族でも公爵家でも容赦せず粛清し、戦える者への罰は魔物狩りの前線送りにする』というメッセージであった。
カシト王子は自らが矢面に立ち、公爵家、侯爵家の順に粛清を進めた。
粛清した家に王族の従妹や優秀で善良な貴族を送り、執事なども総入れ替えする事で腐敗した貴族の浄化を図った。
周到に準備をした後に一気に改革を始めた事で、成果は上がっているが、それでもカシトと周りの側近の顔は暗い。
「今の所、公爵家の当主を逃がした事以外、粛清はうまくいっているようだね」
「はい、ただ、当初予定していたより粛清の速度は遅れています。当初の予定より協力する貴族が少ないのです。やはりダイグ様の横暴が悪い影響を及ぼしています。ダイグ様がまともなら、貴族の協力だけでなく、ダイグ様とレア様、そして英雄ゼンキ殿の協力を得て一気に粛清を進めることが出来たでしょう。無能な味方は敵よりも厄介とはよく言ったものです」
「やめてくれ、その事は痛いほど良く分かっているよ」
「ですが、愚痴を言いたくもなります。ホワイト王国がうらやましいでしょう?カシト王子と並ぶほど優秀な王子3人がそれぞれ成果を上げ、王族の力も大きい。腐敗したこの国の貴族とは大違いです」
「だからこそ、僕の命を懸けてでも今の世代で変える必要があるよ」
「分かっています、また次の領地に向かいましょう」
「そうだね、でもうまくいっている事もあるよ。それは君たちさ。魔物狩りの前線で皆を守る為命を懸けて戦った君たちの協力のおかげで今の成果があるよ。僕だけでは粛清は無理だった」
カシト王子は魔物狩りの最前線で戦いつつ信頼できる仲間を集めていた。
カシト王子の粛清は成果を上げていたが、当初予定したほどスムーズには進まなかった。
原因はダイグ王子の横暴であったが、そのせいでカシト王子は命懸けの粛清を迫られたのである。
もちろん何もせず、日和見を貫く選択肢もあったが、カシト王子は改革の道を選んだ。
自らが貴族に恨まれ、命を狙われると知って。
死ぬ可能性がある事を知って。
それでも前に進む道を選択した。
カシト王子が死んだ場合の王位はカシトの従妹と決めてある。
カシト王子が死んでも王家が混乱しない為の王位決めであった。
カシトは自らの命を囮にして前に進む。
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