王都招集
飛んで屋敷に帰るとアイラが外に出てよたよたと走って遊んでいた。
アイラを屋敷の中で自由にさせると物を倒したり何かを投げたりして遊び始める。
なのでこうしてメイがアイラを外に連れて満足するまで走り回ってもらうのだ。
メイが屋敷の中でアイラをおんぶしたり抱っこしたりしているのは拘束の意味もある。
シオンに下ろされるとアイラが走って抱き着く。
「アイラちゃん、ただいま」
「おかえり」
「お帰りなさい」
シオン領は礼儀にうるさくないのでメイドのメイも親しげに話しかけてくる。
この雰囲気が好きだ。
「凄い大きな荷物ですね」
「全部デザートだ」
シオンは私をお姫様抱っこしてデザートは風魔法で浮かせて運んできたのだ。
しかも私が寒くないように炎魔法まで同時に使っている。
シオンは天才だと思う。
「私が預かりますね。少し早めにお茶の用意をしますか?」
「頼む」
「アイラは私が見ているわ」
「お願いします」
メイがデザートを持って屋敷の中に入って行った。
「私はアイラと少し遊んでくるわ」
「分かった」
アイラは元気がいい。
たまに転ぶがすぐに起き上がってまた走り出す。
「だっこ」
アイラが疲れると抱っこして屋敷に入る。
アイラをメイに渡すと、異変に気付く。
「く、また腕を上げたようっすね」
クックが持ち帰ったデザートを見て闘志を燃やす。
「どうしたの?」
「旦那とレア様が行ったお店のパティシエはよくデザート作りで張り合っているんです」
「そうなのね」
「レア、座ってくれ」
みな席に着いていた。
私が座らないとお茶会が始まらない。
私は席に着いた。
「頼みがあるっす。このデザートを全種類1つずつ貰いたいっす。俺が食べて再現すれば、いや、これ以上のものを作って見せるっす!」
「私は大丈夫よ」
「わたくしもかまいませんわ」
「助かるっす」
朝はあんなに落ち込んでいたクックだったが、急に元気になった。
打ち込めるものがある。
それだけで人は元気になれるのだ。
クックはメモを取り出しておいしそうにデザートを食べながら分析を始めた。
その様子をアイラが見つめる。
いや、自分のデザートとクックのデザートを何度も交互に見ていた。
「アイラ、どうしたの?」
「人が食べている物の方がおいしそうに見えるんですよ」
「美食家なクックの血を引いてるぜ」
「クックは美食家だが、この中で一番食べるのはアッシュだろ」
「俺は動いてるからいいんだよ。それにクックは食いしん坊なだけじゃなく、美食家でもあるだろ」
アイラはクックのデザートを指さして騒ぎ出した。
「それ!そっち!そっちがいい!」
「分かったっすよ。半分食べたらアイラに渡すっす」
半分食べたデザートをアイラに渡すと、またクックが食べているデザートを見る。
「アイラはクックが食べているデザートがおいしそうに見えるのね」
「早く食べないと無くなるぜ?」
「アイラちゃんのデザートおいしそうだね。頂戴」
「だめ」
「それはいらないんだよね?クックのが食べたいんでしょ?」
「だめ、わたしたべる」
メイのスプーンからアイラがデザートを食べだした。
「すげえぜ!アイラをおとなしくさせた」
「アイラはクックのデザートがおいしそうに見えていたわ。周りからアイラのデザートがおいしそうって言えば食べるかもって思っただけよ」
「「おーー!」」
周りから歓声が上がった。
「ふむ、マリンを育てた経験値は凄まじいな」
「バートン、わたくしをバカにしているように聞こえますわよ」
「気のせいだ」
バートンがニヤッと笑った。
クックは集中してメモを取りながらデザートを食べ続ける。
「来客か」
アッシュが屋敷の入り口を見る。
「ひと、きた」
アイラも反応する。
コンコン!
「俺が出るぜ」
「手紙が来た。シオン宛だ」
アッシュがすぐ戻ってくる。
シオンは手紙を受け取り、すぐに読む。
「私とレアが王都に招集された」
最後までお読み頂きありがとうございます!少しでも面白いと思っていただけた方はブクマ、そして下の☆☆☆☆☆から評価をお願いします!




