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テキトーな経理で利益が出ると思ったら大間違いだ!

前回のあらすじ 魔王軍の財政難に税理士が現代日本から召喚された どうやら財政難を解消しないと帰れないらしい


魔王の執務室で魔王と

側近のサキュバスのリリア

そして税理士の上条が話している



リリア「文献によると税理士という存在は地球という世界のニホンでの職業の一つみたいっすね~」

 異世界大全という名前の分厚い、それこそ鈍器としてすら使えそうな辞書をリリアは読みながら言った。


上条「ああ、まぁ言ってしまえば組織の金勘定と税金絡みのエキスパートだな」



上条は昨年の魔王城の財務書類をペラペラとめくりながら、電卓を打ちつつそれに答えた。



リリア「難易度の高いペーパーテスト5種類に合格し登録すると晴れて税理士を名乗れる・・・・ふぅん」



魔王「誰でもなれるわけではないんだね どのくらい難しいの?」



リリア「合格率10%のテストを合計5種類受からなきゃいけないみたいっす!

けっこう狭き門っすね~!」

リリアが目を丸くしながら上条と本を見比べる



リリア「どうやら一般的には名前の後に『先生』ってつけて呼ぶらしいっすよ」



魔王「ほぉ~」



魔王「上条先生ねぇ・・・呼びにくいから先生だけでいいかぁ」



リリア「なんかエッチな響きですね~wセーンセッ!」

リリアはいたずらっ娘っぽい笑みを浮かべながらずいずいと上条に近づいた



上条「お前の頭にはそんなことしかないのか」



リリア「セーンセッ!」

座っている上条に覆いかぶさる



上条「俺は軽い女は嫌いだ」



リリア「もーぉ照れちゃって!」



魔王「君たち仲いいねぇ~ふふふ」



上条「・・・はぁ・・・頭痛がしてきた・・・」

果たして本当に帰れるのだろうか



#############################################################


魔王城 事務室


上条「なああああああんだ!

   この汚い会計帳簿はぁ!

   そして汚い倉庫はぁ!

   給与管理はぁ!どんぶりにもほどがあるッ!!!!」



上条が魔王城のオフィス的なところをドタバタと資料をひっくり返しながら怒っている



モブ魔物A「なんだアイツ・・・」


モブ魔物B「最近魔王様が召喚した『先生』とかいう人間らしいぜ なんでも金勘定が得意だとか」


モブ魔物A「ヘッ、人間かよ スパイなんじゃねぇの?」


モブ魔物B「かもな・・・wかまうこたねぇ食っちまうかwwwなんてな」


資料をガサガサと整理しながらブチ切れている上条に

モブ魔物たちが後ろからヌッと近づく




モブ魔物A「へへっ、こんな場所に人間一人でいるとはいい度胸だよなぁ~」


モブ魔物B「げへへへへ 人間の肉って一番美味いんだよなぁ~ボーナス代わりに食べちまおうかなw」



モブ魔物といえどその大きさは上条の身長を軽く超えており、そんなやつらに脅されたら多くの人間はかなりの恐怖心を抱くはず 日頃うっぷんの溜まった魔物たちはちょうどいいストレス解消相手が出来たと内心笑っていた。




上条「・・・」


バァン!持っていた書類を近くの机にたたきつけた



AB「ビクゥッ!」想定していなかった反応に思わず身がすくむ二人



上条「おい・・・貴様らが経理担当なんだな?なんだこの会計帳簿は・・・!?

   こんなテキトーでいい加減で美しくない会計帳簿で・・・気持ち悪くならないのか!?」



AB「なんだこいつ・・・」困惑する二人に対して上条がイライラをぶつけるようにつづけた



上条「現在の現金・・・じゃなかったゴールドの残高も金庫の残高とあってないし、

   倉庫の棚卸は乱雑、おまけに給与体系も適当じゃねぇか!」


上条「帳簿の現金残高は金庫の残高と合わせる!基本中の基本くらいやっとけ!ああ、もう!」



A「いや。。。まぁ俺らもそんなにきっちりはしてねぇけどよ

  金庫の金は魔王様テキトーにとってっちゃうからだし、倉庫も同じだな、

  給与も魔王様の気分次第だしなぁ・・・」



上条「やはりあのバカ魔王か!!ったく」


上条「とりあえず現状の金庫のゴールドの残高と帳簿の残高を合わせることと、来月の収入支出の予測数値を出しておくこと!これだけはやっておけ!」


上条「現状の財政状況 つまり試算表を作るのに必須だからな!」



AB「あー?めんどくせぇよぉ・・・」


上条「い・い・か・ら!・・・このあまりにも美しくない経理状況に俺は発狂しそうなんだ!」


AB「わかったよぅ・・・変な奴だな・・・」上条の謎に強い圧に押されて魔物ABはぶつくさ言いながらも書類に向き合うのであった。



上条守 病的なまでの「会計病」であり、数字が帳簿上美しくないとイライラがつのる難儀な性格であった。



###########################################################


魔王 執務室 リリアと魔王が話している



魔王「はぁ~デモンズタワーどうしようかなぁ・・・勇者ヴィルヘルミナもめっちゃ強いんでしょ~?

   魔王軍全部ぶつけたとしても勝てるかなぁ・・・?」



リリア「どうすかねぇ~」



魔王は相変わらず情けなくぼやいているし、リリアはやる気がなさそうだった


ダダダダダダダ!


バァン!


ドアを開ける音がそのまま上条のイライラを現しているかのごとく執務室にとどろいた



上条「おいこら魔王!」



リリア「あ、おかえりなさーいセーンセッ、魔王城はどうだった?」



上条「どうもこうもない!経理が美しくない!書類が美しくない!そして数字が美しくないッ!!!!」



リリア「私は美しいでしょ?」安っぽいありがちなセクシーポーズをとるリリア


上条「しらんっ!」


リリア「ひどいっすぅ~」口を数字の3みたいにしてむくれる



魔王「なんでそんなに怒ってるんだよ~ 怖いよ~」



上条「特にアンタだ!魔王!アンタのどんぶり勘定で魔王軍の資金繰りが改善できるわけがないだろう!!

   どこで利益が出てるのか!


   どうやって利益を出すのか!

   

   どうやってキャッシュを残すのかが考える土台も作れない!」




魔王「どうどうどう・・・まぁまぁ落ち着きなって」


上条「む、すまない・・・少々興奮してしまった・・・」



魔王「資金繰りはわかんないけどさ!

   魔王軍みんなの気合と根性があればきっとそのうち人間軍なんて倒せるさぁ~!

   さっ、今日も飲みに行こうかな~ あ、先生も行く?今日はダークエルフのむふふな・・・」



上条「だから金がなくなるんだよおおおおおおお!」



上条の叫びが魔王城中にこだました



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