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肝試しと池のようなグフングフン

グフングフンとは、一体……?

 ーーそれは10歳の時。初めての肝試しで、池のようにちびってしまった。


 ーー11歳の時。肝試し中に幼馴染からの「だーれだ?」によって失禁。


 ーー12歳の時。肝試しでトイレの花子さん(花男さんが演じました)に脅かされたお陰でトイレに行けず、お漏らし。


 13歳の時。「またちびんのか?」という友達の何気ない一言にちょっとキレて、言い返そうとした際に、友達の顔 (メイクでのっぺらぼー)を見て失禁。


 14歳の時。肝試し中にトイレに行きたくなり、家に帰ろうとした。が、完全に迷ってしまい結局間に合わなかった。


 そして15歳の夜ーーすなわち今夜。


「おーい、肝試し行くよー!!」

「嫌だ」


 天使のような笑顔で地獄へと誘おうとする幼馴染に、俺は冷たい一言を放つ。


「えー何で? 肝試し楽しいじゃん」

「俺の経験上、肝試しが楽しかったためしはない。というか一回はお前のせいだからな!?」

「良い思い出だったよね。まるでカップルみたいに」

「記憶を美化するな」


 過去に何度も肝試しに行く羽目になったのは、こいつによって引っ張り出されるからだ。

 当然、俺の哀れなシーンを目撃している。


 あれから30分も拒み続けた結果、肝試しに間に合わないからと諦めてくれた。


「今年はお漏らし見れないのかー」

「やっぱりそっちが目的だったか。楽しい、なんて言って、結局は俺に痴態を晒させる気だったんじゃないか!!」

「いや、肝試しは楽しいと思ってるよ? それに私が望んでいるのは、お漏らしするくらいビビるあなただけどね」

「さっさと行け、変態」


 幼馴染の姿が見えなくなったのを確認して、自分の部屋へと戻る。寝よう。トイレには行ったし、今年はいい夢を見れそうだ。




「……何だ? 騒がしいな。祭りでもやっているのだろうか?」


 ベッドから起き上がり、ベランダから外を見る。


「うわああああああああああああああああああ!!」


 見なければ良かった。

 何故か大量にいる幼馴染が、俺の肝試しの時の映像を見ている。しかも哀れなシーンばかり!!


『だーれだ?』

『ぎゃあああ……あぁ』


 やめろぉ!! 見るなぁ!!

 しかもこれまた大勢の幼馴染が、狂ったように踊りまくっている。理由はまさか……


「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」




 目が覚めた。視界に映るのは、さっき夢で寝た時とは違う「今」の俺の部屋。長い夢から戻ってこられたようだ。


「嫌な夢だったな……って俺は5回も漏らしてない!! どんな記憶があったらあんな惨めな夢を見るんだよ!?」

「10年前に肝試しでお漏らしなんてするからだよ」


 幼馴染の一言はグサリと突き刺さり、俺の心を抉った。

(実際の)15歳の時。こいつに全力で引っ張り出され参加した初めての肝試しで、のっぺらぼーや花子さんに脅かされ、盛大に迷った挙句、幼馴染からの「だーれだ?」のとどめを喰らい、失禁して池のようにちびってしまった。


「ぐ……お前、よくそんな奴と結婚しようと思ったな」

「別に問題ないよ、そんなこと。むしろビビり過ぎて可愛かったし、「あっ、お婿にしよう」と思ったもん!!」

「えええ……」


 うん、二度と漏らさないようにしよう。後ビビらないようにも。

 娘に笑われるのは、シャレにならないから。

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