2-1 英語-4(英作文)
●英作文
・英作文の心構え
英作文の極意は、「危ない橋を渡るな」ではなく、「石橋を叩いて叩いて叩き割れ!そして橋は渡るな!」です。自分の知らない表現は絶対に使ってはいけません。例えば、「重要な問題」。これを英語にするとき、「重要な」は「important」で、「問題」は「problem」だから、足し合わせて「an important problem」だ!などとやっていると減点されます。正しくは「a serious problem」か「an important matter」。
これは文法的に合っているとかそういうレベルの話ではなく、このような言い方は「無い」のです。我々はさしずめ「大きな」といった意味の「甚大な」という単語を、「被害」とともに用いますが、「家」には使いませんよね。これと同じです。これをコロケーションと呼びます。この単語は本当にこの場で使えるのか?コロケーションは大丈夫か?などと心配するような表現を試験場で使ってはならないのです。
・打開策
これを解決するには、知っている表現を増やすしかありません。ここでは、表現の知識量を増やす方法を書いていきます。
(i)例文を覚える
英作文で頻出の表現を手っ取り早く身に付ける方法が、例文暗記です。むしろ、例文暗記なしで英作の点を伸ばすことは不可能に近いでしょう†。さて、一口に例文暗記といっても、実際には二種類あります。
①文法構築のための例文
これは、よく学校などで配布される文法書に付いている例文集を使用します。巷の文法書で信用できるものは少ないのですが、例文に関しては、ネイティブの校閲が入っているもの†なら何を使っても大丈夫です††。覚えるというよりは、音読を繰り返すと良いでしょう。目的は、単純に英文の形に慣れることです。英文の構築が格段に速くなり、発信(Speaking)力の強化されます。また、間違った英文を「違和感」で見つけることが出来ます。
②表現を覚えるための例文
これに関しては、解説は不要でしょう。ここで覚えた例文を参考に英作文を構築するのです。しかし、信用度の問題で例文暗記に使える参考書が少な過ぎるので、参考書紹介の章に載っているものを購入して各自覚えてください。
(ii)語彙強化
単語を覚える際にその使い方まで学ぼう、というスタンスで、発信語彙(ネイティブの使用頻度が高い語彙)については、きちんと使える段階に引き上げなければなりません。一語一語に詳しい解説があれば、それを熟読しましょう。これで少しでも記憶の取っ掛かりが得られるなら、単語を暗記する助けにもなります。そして、例文を音読します。この場合、例文を覚えることよりも、その単語を正しい使い方で使った経験がある、ということが大切です。え、例文が無い単語帳?そんなものは燃える■"ミです。英作が出ない大学を受けるなら使っても大丈夫かもしれませんが、実際に英作が出題されなくとも、その代替手段として語法を聞いたりと工夫がされているので、結局例文は必要です。
残念ながら、発信語彙と受信語彙を分けている単語帳は今のところ本当に少なく、筆者は2つしか確認できていません。詳しくは参考書紹介の頁へ。
・例文は何文覚えれば良いか
例文はいくつ覚えるのがよいか。よくある質問です。筆者は受験生の時、表現のために120程度覚えました†††。しかし、数は多ければ多いだけ良いので、一概に「何文」と決めつけるのは不可能です。当然ながら単語を覚えることの方が優先順位は高いので、他とのバランスで決めると良いと思います。
・例文にない表現が来たらどうするのか
例文に無い文章が出題されるのは必然です。そりゃそうでしょう。この世の全ての文章を覚えるのは不可能なんですから。そのときに、「8割伝わればいいから、いかに自分が使える文に書き換えるか」がポイントとなります。これは一種の翻訳です。和文和訳ー難しい日本語を小学生に説明するー訓練を積むと良いでしょう。
・自由英作文について
自由英作文は、普通の英作文が出来ることが前提となっています。必須表現を押さえていないと、書こうと思ったことが書けないからです。しかし、自由英作文特有の難しさとして、「書く内容が浮かばない」というのがあります。これを解決する方法は二種類あります。
(i)英文を予め用意しておく
これは「確実に自由英作文が出題される大学を受験する」と分かっている受験生に向いています。出題されそうかつ応用が効きそうな英作文を予め用意して覚えておくのです。労力はかかりますが、そのまま出たら無双出来ます。
(ii)帰着させる論点を決めておく
多くの英作文の場合、「お金の問題」に帰着させると書きやすかったりします。このように、大雑把に作戦を考えておくとまだ戦いやすいかと思います。こちらはそれほど労力はかかりません。その代わり、試験場で英文を考えなければなりません。
† 暗記すると言っても、丸暗記ではありません。考えながら例文を構築できればそれで良いです。何故その文なのかを他人に説明できれば完璧です。
†† ネイティブ校閲が入っているか分からないときは、音読CDがあるかどうかを見れば良いです。ネイティブ校閲が入っていても、文法説明が間違っていることが多いので(ネイティブは文法説明はチェックしない)注意が必要です。繰り返しますが、使えるのは例文集です。
††† 筆者は文法構築用の例文は覚えようと努力したことは無いです。理由は、小学校に入るまでオーストラリアで過ごしていたため、簡単な文なら苦労せずに発信できたからです。これは、日常的に大量の文に触れていた結果であり、それを日本に居ながら強引にやる方法として、文法書の例文集の暗記をお薦めします。