2-1 英語-1(語彙)
英語学習で重要なことは、受験で問われる能力を明確に区別して計画を立てることです。具体的には、語彙、文法、内容把握、英作文、精読、リスニングの力を指します。スピーキングについては補遺で扱います。
●語彙
・単語
英語は例外なく単語から構成されているので、単語を知らねば読めるはずがありません。単語帳の使用は必須です。日常学習で遭遇した単語を覚えていけば単語帳は要らない、と豪語する教師もいますが、それは現実的ではありません。というのも、読む文章のレベル・内容により習得できる単語にムラができ、安定した語彙習得には相当数の多読が必要になります。これはとても受験生に確保できる量ではないのです。とはいえ、単語を大量に暗記するのは楽ではないのも事実です。それに、丸暗記ではどうしても忘れやすくなります。以下、丸暗記を極力避ける方法を3つほど示します。
(i)語源
英単語には、ラテン語系やフランス語系など様々な語源があります。音によるつながりを利用して、単語をリンクさせるとかなり能率が上がります。また、単語の成り立ちが分かるので、漢字の部首のようなノリで忘れにくくなります。勘違いを防ぐために述べておくと、語源は万能ではありません†。語源から意味を推測できることも確かにありますが、語源不詳の単語も多々あり、接頭辞の中には同スペルで全く異なる働きをするものもあるので、あくまで暗記のサポートという位置付けが良いでしょう。
(ii)多義語
多義語の場合、その単語がもつ本来の意味(原義)で覚えておくと、文脈に応じて派生させることで、覚える量を大幅に削減できます。例えば、「term」は、「専門用語」「仲間」「期間」などと大量に訳語がありますが、これの本来の意味は「限定された枠」です。これさえ覚えていれば細かい意味は文脈から回収できるかと思います。
(iii)派生語
教師A『「industry」を覚えるときは、「industrial」や「industrious」などの派生語も同時に覚えると何倍もの単語を一気に覚えられるよ!お得だね!』
これには確かに正しい。ですが、単語を覚えられなくなる原因の1つに、「欲張りすぎる」というのがあります。「industry」を「工業」と覚えておけば††、後々学習が進み文中に「industrial」が出現して意味がわからない人はいないでしょう。むしろ、同時に覚えようとして品詞を勘違いしてしまう方が危険です。
(iv)語呂
いや、丸暗記じゃねーか、とか言うな。秀逸な語呂は非常に覚えやすいのです。「argue」は「~と主張する」ですが、「アー牛丼食べたい、と主張する」。「insult」は、「犬!猿!と侮辱する」。はい、もう忘れない。しかし、全ての単語を語呂で覚えるのはやめた方が良いと思います。語呂は、単発であるが故に覚えやすいのです。大量に覚えようとすると絶対に混ざります。そして破綻します。
・熟語
先生によってはやらなくて良いという人もいます。しかし、難関大を目指すならやるべきに決まっています。単語なら知らなければ知らないと分かりますが、熟語は知らなければ知らないということにさえ気付けません。熟語が鍵となる出題はごまんとあります。市販の熟語集には前置詞別に並んでいるもの、類語をまとめてあるものなど、沢山あります。どれでも良いです。自分が覚えやすい、見やすいと思うものを選べば良いです。
†あたかも語源が全てであるような書き方をした単語集もいくつかありますが、例文が載っていなかったり、同語源の単語を紹介するためだけに不要な単語を載せていたりします。語源の辞書としてなら使えます。
††「industry」の訳は「工業」です。「産業」ではありません。産業と訳すときは、「◯◯産業」と書かれたときだけです。「産業革命」は誤訳かもね。