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この恋に嘘はない  作者: 吉丁虫
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あらぬ噂

初投稿です。よろしくお願いします。

「突然手紙なんか出してごめんなさい。冬夜くんはとても優しくて、ステキな人です…でもごめんなさい、もうこの関係は終わりにしませんか?いきなりでホントにごめんなさい…何か言いたいこと聞きたいことがあると思うので、桜並木の公園で待ってます。桜より」


ある日の朝、ポストに入れられていた。とてもとても大好きな人からの手紙だった。恋人からだった。頭が真っ白になった。泣きじゃくった。辛かった。苦しかった。結局、その公園には行けなかった。怖かった。彼女から直接別れの言葉を聞くのが嫌だった。


その日が4月1日で、彼女は嘘の手紙で僕を呼び出し、デートをするつもりだったことを知ったのは、もう手遅れになった後だった…




4月6日。恒例の校長先生の無駄に長い挨拶が多くの居眠りを生み出し、始業式が無事終わった午前10時過ぎ。


この度、ピカピカの高校2年生になった牧野冬夜(まきのとうや)は、自分が所属することになる2年3組の名簿を何となく眺めていた。


いや、正確には名簿の中にある1人の名前を眺めていた。


「よぉ冬夜、今年も同じクラスだな。どした可愛い子でもいたか?」


「…」


「おーい、聞いてんのかー。ったくしょうがねぇな」


ぱんっ!っと耳元で鳴らされた鋭い音によって冬夜はようやく自分の横に爽やか系イケメンが立っていることに気がついた。


「なんだ六尾か…どうしたんだ?」


冬夜に声をかけていたのは、六尾明輝(むつおあきてる)。全体的にシャープな顔立ちのイケメン。サッカー部所属で3年の先輩と付き合っている青春謳歌野郎だ。


「なんだじゃねぇよ。ったくそんなに名簿ばっか見て、なんか気になるやつでもいたのか?」


呆れた感じで六尾が聞いてくる、と同時に冬夜の手元の名簿を覗き込んできた。というか顔が近い、近すぎる。


「ちょっ…やめろって」


いくらイケメンだからといっても男に顔を近づけられても嬉しくない。冬夜は六尾を離れさせた。


「なんだよ、見られたくないもんでも…」


幡代桜(はたしろさくら)


六尾の言葉を遮って冬夜は呟いた。

幡代桜。3年前、冬夜の彼女だった人物の名だ。そして、別れた今でも冬夜が想い続けている人の名である。


「なるほどね。幡代なら仕方ないか」


「えっ納得しちゃう感じ!?」


なんだよお前まだ好きなのかよwww的なことを言われると思っていたので少し拍子抜けである。


「気づかれてないと思ってんのお前だけだからな。傍から見てると可哀想なくらいに分かっちまうぞ。おっ見ろよ、噂をすればなんとやらだ」


六尾が指差した先では、女子生徒数名と喋りながら幡代桜が教室の扉をくぐっていた。

失礼な話だがこうして比べてみるとやはり幡代の可愛さは飛び抜けていた。美しい黒髪にそれに映える白い肌。そして何よりも見る者の心を温める優しい笑顔である。

冬夜から見た幡代は、まさしくサクラ…見る者の心を鎮め、和ませる。のだが…


「おい、幡代だぜ。アイツまた彼氏変わったらしいぜ」


「おいおいまたかよwwwまぁ見た目はいいし気持ちは分からんでもないがあんなとっかえひっかえするやつは嫌だわ」


「確かにwwwてかあんな見た目して実はビッチとか詐欺じゃねぇのwww」


これらが他の奴から見た幡代桜である。

幡代桜は有名人であった。公立林昌高校の中でも屈指のビッチとして…


そして…そんなことになってしまったのは…冬夜自身のせいであった…


「どうにかできんもんかな…」


冬夜がそう呟いた時、休憩時間の終わりを知らせるチャイムが鳴った。


読んでいただきありがとございます。感想やご指摘などがあれば遠慮なく言っていただけるありがたいです。更新頻度は低いと思いますがこれからもよろしくお願いします。

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