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2人  作者: Aya
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永田

ユウジは覚せい剤を廃れたコインロッカーに保管する事にした。アパートに持って帰る訳にはいかなかった、カナは元シャブ中で、最近乗り越えたばかりだったからフラッシュバックを起こしかねない。


予想外の場所に隠した方が見つかりにくいだろう。


デリへルというのは労力は使うが、実に単調な仕事だった。

電話が来て、女を呼び、金を貰い、女が帰宅する。


その間に男が護衛に待機して、女は持久戦の勝負だ。


どの世界でも、女が商品になって男が補佐をするのは当然のようにされている。ユウジにはそう思えてならなかった。


この仕事は女様々である。


突然電話が鳴った。


「ユウジ、SM好きな男がタカコの首締め上げて気絶させやがったらしい。目が覚めたタカコが必死で助けを求めてきた。お前ちょっと話つけて来い。」


「分かりました。」


ユウジは早速指示されたホテルに向かった。


部屋に入ると妙にひょろりとした男が顔を出した。目だけがらんらんと光っている感じだ。薬でもキメてるのかと思ったがそうではないらしい。タカコを締め上げた興奮が残っているという感じだった。


「タカコどこにいますか?」


そう聞くと男より先に奥から声が聞こえてきた。


「ユウジさん!そいつ私の首締めたのよベルトで、正気じゃないよ!早くそいつどっかやってよ!!」


怯えた叫び声だった、バスルームにこもっているらしい。まずはタカコを部屋から出す事にした。


「タカコ、俺だここ開けろ。」


ドアを開けるとタカコが飛び出して来てユウジに抱きついた。だいぶ怖かったらしい化粧がぐちゃぐちゃになるほど泣いていた。


「すみませんけど、こいつ車に連れてってから話をさせて貰います。言っときますけど姿をくらませたりしても身分はこっちが分かってるんで、地の果てまで追いかけて行きますよ。」



そう言うと男はニヤリと笑った。


「追いかけて貰うのも面白そうだが、その姉ちゃんの苦しそうな顔が良かったからそれに免じて待っててやるよ。」


状況を楽しんでるような笑顔だった、どうにもこの男は久しぶりに当たるサイコ系の男らしい。タカコを自分の車に乗せて戻ると男はパリッとしたスーツを着こなしてベッドの上に座っていた。


「ずいぶんと派手なことをしてくれましたね。契約の通り、うちの店から出入り禁止を言い渡します。タカコには絶対近付かない事、近付いたのが分かれば俺らでお宅の事同等の仕打ちで制しますんで、覚悟しといてください。」


「おお、兄ちゃん威勢がいいなぁ。俺だってバカじゃない。二度とあんたん所から女を取れないのは分かってたよ。だけどあの姉ちゃんいい顔で嫌がるから、ついなぁ、やっちまったんだよ。あの姉ちゃん才能あるぜ?そっち方面の客取ったらぼろ儲けだぞ?あの姉ちゃん。」


男のスーツと口調が合ってない。この喋り方はここだけの事だろうと直感で分かった。


「おっさん仕事何してんの?お堅いビジネスマンみたいなスーツだけど。たまに居るんだよね、おっさんみたいに固そうな男が女痛めつけるの好きってやつ。でもうちに当たったのは運が悪かったな。バックに付いてる組織のデカさが分かってない証拠だよ、やっぱあんたバカだ。」


「バカはどっちだ、俺を誰か分かってないなんてな。」


どういう意味か少し考えて背中に冷たい汗が伝った。このオヤジは別の組織のトップの1人だ。


「なんでこんな所で女買ってるんだあんた。」


「どうにもお前ん所でシャブが横流しされてるらしくってな、まぁ宛にならん情報元だが確かめて置かない手はない、かなり少量だが流れてるって事自体が問題だ、どこに流れてるのか、お前探って来い。」


突然の話でユウジは驚いた。つまりこの騒動はこの男が店の人間を呼び出す口実に過ぎなかったのだろう。


「演出が過ぎますよ永田さん。」


だんだんと冷静になってやっと男の名前を思い出した。


「はは、まぁいいじゃねぇか俺だってちょっとは遊びてぇんだ、さっきのタカコの話だって本当だしな。あの女いい顔しやがる。」


「何で俺を選んだんですか?」


「はは!そりゃ自意識過剰ってもんさ、別に選んだんじゃねぇ、お前が偶然来たってだけだよ。」


特に誰を選んでも無いということは、やはり比較的小さな問題らしい。

その時またユウジの心臓が冷えあがった。確かカナは元シャブ中で他の女は特にそう言うものは持って無かった。


「何か思いついたらしいな。」


さすがトップの人間だ、一瞬たりとも表情を見逃してはくれない。


「俺の思い付いたのは確かじゃない情報です。でも調べる必要はありますね、分かりました、俺が調べときます。」


「おお、そう言ってくれないとな。分かってるだろうが、こんだけややこしいやり方で接触したって事は内密に調べて欲しいからだ。お前誰にも言うなよ。」


最後のセリフを言う永田は酷く冷たい目をしている。この男と向き合ってると何度も背筋が凍るのを感じた。


「じゃあ、失礼します。」


外に出て行くまで永田の目線を意識せずには居られなかった。


「カナ…まさかな…」


しかしカナは最近妙に感情的になる事が多い。冷静なのが売りのユウジも自分の心臓が痛いほどうるさいのを感じた。

横流しの制裁がどんなものかは自分が一番よく分かっている。


ユウジは早足でその場を離れた。


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