7、パワハラだ、パワハラで訴えてやる!
「おい、起きろ!」
誰かが枕元で叫んでいる。うるさいな。疲れてんだからもう少し寝かせてよ。
「わざわざ直々に訪ねてやったというのに、いい加減起きろよ! 胡散臭い魔術師!」
……胡散臭い?
「誰だ今胡散臭いって言った奴は!」
「やっと起きたか」
……あれ? なぜルーク王子が目の前に?
そ、そっか。昨日私はあのまま力尽きて……王子の部屋で寝てしまったの?!
そしてあろうことかベッドの持ち主からベッドを奪いとってぬくぬくと寝ていたというのか?!
「え……あの……いや……その……とりあえず、冷めないうちにどうぞ」
「は……?」
口をポカンと開けて固まったルーク王子に、掛け布団をめくり中へ入るよう促す。
「冷たいままだと凍えて眠れないかと思いまして。僭越ながらこの私が、王子のために温めておりました。なので、どうぞお使い下さい」
最もらしいどこぞの猿武将の言い訳を流用させてもらった。これならお咎めなどくるはずがない。人の善意を怒る奴は器の小っちゃな人間だけだからね。
「馬鹿なこと言ってないで付いてこい」
「馬鹿なこと?」
「ここはアンタの部屋だろ? 俺はいつまで待っても起きないアンタを起こしに来ただけ」
辺りを見渡すと、確かに自分にあてがわれた部屋だった。うっわ、恥ずかしい。完璧に空回りしてせこいこと考えて滑った。ここは……
「……おやすみなさい」
心頭滅却。心頭滅却。心頭滅却。
「あ、こら! また寝るな!」
「これは夢。悪い夢。目の前に居るのは人の形をしたただの亡霊」
「人を亡霊呼ばわりするな! ……ったく、何なんだよアンタ。ほんと調子狂う。仮にも俺は王子だぞ? その態度、普通なら不敬罪で牢に入れられても文句は言えないんだからな!」
「玉子の亡霊がブツブツうるさい……悪霊退散。悪霊退散」
「誰が玉子の亡霊だ! いいから起きろ!」
非情にも掛け布団が奪われた。
「今、何時ですか?」
「もう陽の刻だ」
「まだ営業時間外じゃないですか」
「……は?」
「私の仕事は宵の刻からです。それまでは完璧にオフタイム! 自由時間なのですよ。分かったら掛け布団、返して下さい」
「せいせいするほどの清々しさだな。こんな奴、見たことない……アシュレイ! ただちに連行しろ!」
「はっ! かしこまりました、殿下」
「すみません、リア様。失礼します」
「えっ……ちょっ……待っ……」
問答無用でアシュレイに担がれた。まるで米俵のように。
「下ろしてよー! いくら王子とはいえこんな横暴許されると思ってるわけ?! パワハラだ、パワハラで訴えてやる!」
「パワハラ……? さっきから意味の分からない言葉ばかり使うな。いいから、大人しく付いて来い」
結局この後、アシュレイに担がれたまま問答無用で連行された。まさか牢屋直行じゃないよね……?











