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竪琴宇宙のサクシード  作者: MAD-WMR
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4-8 休息時間:突撃艇訓練~ガーランドの今後

光子ロケット関連で設定が違っていたので修正させて頂きました。

中央司令室での待機中は司令官としてはさほど作業は無い。

基本的な事は各部署で行い問題があった場合や報告が必要な場合に対応するくらいだ。

それでも司令室に居る必要があり端末は使えるので書類作業を行う。

ガーランドで作業しているのと変わらない。

特に行政関連について俺が確認しないといけない書類もある。

補佐のギードリアさんが何処を確認すれば良いか細かく書いた資料を添付してくれたので問題ない。

各書類1枚目にしか添付されていないから以降はそれを参考に確認しないといけない。

ちゃんとチェックして書かれてはいるが人の作業、たまに間違いもある。

各所での確認でも抜けてしまうものもあるから最終となる俺の確認は大事な作業だ。

今ならギードリアさんに直接聞けるというものありひたすら書類作業。

ギードリアさんも同じように司令室で作業をしていた。

休憩中に制服について似合わないとか言われたが似合うようになれとも言われた。

行政官制服のギードリアさんはちゃんと似合っている。

このステーションでギードリアさんだけは制服を着ていない。

それでも緑の制服をもらったので記念として持っておくそうだ。

制服はごつい身体のギードリアさんだとちょっと似合わないかもな。


朝4時からの8時間待機が終われば早い時間だがさっさと睡眠。

次は24時に光子ロケット加速を開始、その時には司令室で待機する。

おかげでちょっと変則的なスケジュールだ。

寝過ごす可能性よりは早く寝て起きたまま活動した方が良い。

今日の予定としては司令室待機以外は入って無い。

実のところ予定があると言うのが新鮮だ。

このステーションに来て作戦行動が始まってからの事だ。

ガーランドで航海する時は基本的に全部自分で行動は管理していた。

何か決めて行動するよりもやる仕事を優先度を付けて片付けていくのが多かった。

作業機械のメンテナンスは今日は面倒だから先に次の航路決定をしようとか気分で選べた。

逆にメンテナンス作業が多いから3日間続けて作業するかと頑張ったりもする。

規則正しい生活はしていたが予定を組む事はなかったのだ。

今は予定があるからそれに合わせて生活する。

13時頃に起きてリビングで昼食、読書中のセリナと会話。

セリナは読書という情報収集をしつつ作戦に必要な作業中。

レールガンの新しい攻撃管制システムの構築とか戦闘を分析する戦術システムの構築。

作戦が失敗した場合の逃走プラン、予想外の事が起きた場合の対策などなど。

常時3つ4つは作業をしているそうだがAIセリナとしてはまだまだ負担はない。

ツキヨミの運用をしていた時より作業は多用で変化があるのはやりがいがあるそうだ。

ステーションに来てからはあちこち出かけて人に会っている。

宇宙船乗りを紹介してくれと言われて対応した事もある。

記録して文章にするのを趣味という事にして色々な人に話しを聞いているのだ。

その人の心情とか感情変化とか考え方とか色々聞いて情報収集中。

自己進化の為と感情プログラムの改良の為。


改良とかではなく成長というべきなんじゃという話しもしたな。

人間が物を覚えたりして成長するのと機械がより良い物に交換して強化するのは同じか?

セリナはAIとして情報を蓄積してそれを行動に生かすなら人間の成長と同じなんだろう。

AIが人間になると言うのはかなり曖昧な基準な気がする。

人間を模倣するAIと人間はちゃんと違っていると思うんだがその差はなんだろうな。


セリナと少し話しをして俺は突撃艇訓練に行く。

専用の部屋が用意されシュミュレーターが設置された。

そこで宇宙船乗りが集まり訓練をしているのだ。

別にその部屋に行かなくてもガーランドから参加出来る。

せっかくだから直接部屋に行く。

ガーランドに乗っている時はとにかく人に会う事が少なかった。

じいちゃんのようにとは行かなくてももうちょっと知り合いは増やして起きたい。

この航海もしばらく続くしな。


「おはようございます。お疲れ様です。」


部屋に居る12人くらいから挨拶が返ってくる。

仕事感覚での挨拶で良いのかいまも迷いはあるがどうなんだろうな。


「司令官、おはよっーす。」

「おはよう、ローレさん。」


茶髪でピアスといういかにも若者という格好のローレがやって来て右手を上げる。

仕方なく右手を出してお互いの手で打ち鳴らす。

集まっているのは20代30代の宇宙船乗り。

突撃艇訓練が始まってからは出来るだけ参加していたから顔と名前くらいは覚えた。

親睦会に参加していたカズヤさんとメアリーさんも居る。

やたらと距離を積めてくるローレさんには戸惑うしかない。

でも恥ずかしがらずに同じようなノリで返した方が大人しい。


部屋の奥に区切られたスペースが沢山ありそこに端末があって訓練場所。

今突撃艇の操縦訓練をしている人達はそっちに居る。

部屋の片側にモニターがあってそこに状況が表示されているからだ。

5機編隊2つ、計10機による攻撃訓練中か。


光子ロケットの採用によって突撃艇の速度が上がったので今は対応中。

速度は秒速6万キロの予定、無人機だから出せる速度。

こんな速度の船を動かした事は無く広い宇宙とは言え速くて大変なんだ。

速度が上がる前の突撃艇は宇宙船と比べれば機敏に動き飛ばしていると楽しい。

移動速度が速いとちょっと針路を修正しても到達地点が大きく変わる。

基本的にはフリーダム艦に接近して攻撃、そのまま突き抜けていく。

そこから旋回、反転し再度攻撃の繰り返しになる。

その旋回が大変でフリーダム艦に戻ってくるのに慣れている所だ。

今回突撃艇は減速出来ない。

ステーションから飛ばしたらその速度を維持したまま戦闘する。

資源節約の為加速減速する為の機材は積まない。

セリナの予測では最初の攻撃だけで十分とされている。

レールガンでさえ必要無いとされて半分の突撃艇には積まない。

最初の攻撃も当然ちゃんと針路を合わせて狙う必要がある。

それの命中率もまだまだ、40~60%とかなり低い。

今回は訓練に参加する人数が多いのがありがたい。

意見を共有して訓練が進んでいるから進歩も早い。

ひとりで地道にフリーダム艦に対しての攻撃訓練をしたからな。

逆にあの時は時間があったから色々試せたんだけどな。

今回の突撃艇操縦についても話しが出てからすぐに訓練した。

セリナから話しがあったのもあるがちょっと格好付けたい。

司令官という立場だし親睦会での訓練の時の様にさすがと言われて起きたい。

出来るだけ時間を作って訓練しているから初撃命中率は80%を越えている。

旋回からの再攻撃も5回に1回くらい針路がずれるだけだ。

速度が速いのを利用して180度の進路変更はしない。

フリーダム艦を抜けて北に行くなら右、東に針路変更しフリーダム艦の東側から接近する。

大きく回りこむ軌道を取って遠めから接近、さっきの例えだと東から接近。

そこから最終針路へ調整していくのが成功率が高い。

大きく回りこむ間、旋回中は細かい修正をしなくても良いからだ。

俺もこうやっていると言うのは説明しているから後は慣れ、習熟するしかないそうだ。


訓練が終わったようで奥のスペースから宇宙船乗りたちが出てくる。

今更なんだが全員制服だから統一感はあるよな。

部屋の風景が青い。


イストくんおはよう、イストさんおはよう、司令官おはようと挨拶は色々。

おはようございますと応じて訓練結果の検討に参加を促され加わる。

それぞれの軌道と操作記録を表示させて意見を言ったりアドバイスをしたりする。

モニターに表示するのは他の人も見て聞いて参考になるからだ。

攻撃についてもタイミングが遅いより早い方が良いのでそれを意識するようにとか。

それから20人での訓練を3度程行なってそこからは個人訓練と5人での訓練。

まだ訓練スケジュールがある訳ではないから自由なものだ。

参加人数が変動するというのもある。

訓練している宇宙船乗りは34人居るが候補なだけだ。

上手い人から採用していくがまだ突撃艇を何機使うかは決まっていない。

今の所20機は確定らしい。

セリナが言うには光子ロケットがちゃんと稼動すれば今回の作戦成功率は100%。

おそらく一方的な戦闘、勝利が可能。

それなら無駄に資源を消費する事は無いがフリーダムに対してリラの力を見せる必要がある。

最悪命中率が悪いままなら突撃艇の数、攻撃の手数で補う方向もある。

それでいまの所突撃艇の数は未定という事だ。


「イスト司令官、ちょっとよろしいでしょうか?」


休憩しようと片隅にある販売機で飲み物を買っていたらゼンさんが来た。

ゼンさんは親睦会の時に居た僧服の人、今は青い制服だからちょっと感じが違う。

坊主頭なので判りやすいけどな。

ゼンさんの船は軌道戦では早い段階で離脱。

ステーションの残骸に隠れていたが質量兵器で一緒に破壊された。

亡くなった乗員もいるが何人かは宇宙に放り出されて救助、無事だったのが何よりだ。

ゼンさんも救出された一人、数日入院したのに今回の作戦にも参加してくれた。

死にそうになったのに参加するのは凄いとしか言えない。

実際ゼンさんの船からは他に参加していない。


「いいですよ。どうしました?」


すぐ側の席に座れば向かい合わせでゼンさんは座った。

真剣なまなざしでこちらを見てくる。


「改めてお願いと相談です。

 私をガーランドの乗員として雇って頂けませんか。

 やはり私は宇宙のあちらこちらに行きたいのです。

 今回この作戦に参加したのもそれを叶える為というのが大きいのです。

 リラ軌道戦の時、宇宙を漂い無数の星々と戦闘の光を見ていました。

 その綺麗な景色を見ながらこのまま死ぬんだなと覚悟しました。

 でももっと色々な宇宙の光景を見たかったなと悔やんだのです。

 幸い救出され助かりました。

 怪我も少なくこうして無事に過ごせています。

 しかし悔やみは忘れていません。

 いつ死んでもおかしくないならやりたい事はすぐにやろうと思ったのです。

 無理なお願いかもしれません。給料が無くても構いません。

 まだガーランド23が遠い宇宙に行くのなら乗員として雇ってください。

 お願いします。どうか考えて頂けませんか。」


良く通る声でゆっくり力強く語り、最後は机に手をついて深々と頭を下げられる。

乗っていた船は壊れたから再就職とかもまだ決まっていないのだろう。

確かに死にそうになったのだからやりたい事をやろうというのは判る。

前にもガーランドには乗りたいという話は聞いた。

その時は無理だと笑い話になったけれど今回は本当に乗りたい。

違うか、正確には遠くの宇宙に行く船に乗りたいだろうな。

前に断ったのも賃金が出せないという話があったからだ。

今回と前回の作戦に参加しているから行政府からそこそこの手当が出る。

だから無給で雇えば良いという事でもない。

ただガーランド側の状況も変わると思う。

フリーダムの影響が無くなって宇宙船関連は色々と楽になる。

資源買い取りも元に戻るだろうし推進剤関係も安くなるはずだ。

そうなると雇う余裕は出てくるだろう。

乗員が自分だけというのがまず間違っているしな。

ただわざわざ遠い宇宙まで資源回収をする必要があるのか。

リラ4の採掘施設は融合病関連で問題無ければリラ6に持ち込まれ金属資源不足は解消される。

それだと金属資源は安価になるから遠い小惑星で採掘する必要は無い。

融合病で金属が不足しているから成り立っているのが採掘屋だ。

今回の作戦終了くらいにはある程度状況は判っているだろう。

それによっては今後のガーランドの事も考える必要がある。

普通の近距離輸送とかをするのか?

どうするんだろうな。

頭を下げたままのゼンさんを前に少し考えこむ。

ゼンさんはこんな場だけれど真剣で本気だ。


「ゼンさん、今は返事が出来ません。

 リラの状況が変わりますから今後のガーランドの運営はまだ決まっていません。

 遠距離を続けるのか近距離輸送をするのか。

 別に仕事でなくてもゼンさんがガーランドを借りて遠距離航海をしても良いでしょう。

 遠くの宇宙への観光プランとかを作っても良いかもしれません。

 それがうまく行けばゼンさんを雇う事もあります。

 別にガーランドに乗らなくてもゼンさんが船を買うのも選択肢ではありませんか?

 その辺りも含めて作戦終了後に改めてお話させて下さい。」


断るのも雇うのも今判断出来る事では無い。

作戦に参加しているからお互いに終わるまで動けないしな。


「判りました。

 船の運営が決まらないのでは仕方がありません。

 私が乗っていた船も再建造は今後の事を考えて船長が保留にしています。

 フリーダムが居ない時はもっと自由に宇宙船が飛ばせたそうです。

 拙僧が船を買うというのも一つの手段、考え付きませんでした。

 ガーランドを使って宇宙旅行、そんな事が受け入れられる日が来るのなら素晴らしい。

 その時は色々な天文ショーの見学をプランに入れては如何か。

 出来るなら解説は拙僧が行いたい。

 今後が楽しみでもっと色々と考えるべきでした。

 もう少し考慮しますのでまた改めてお話しましょう。」


下げた頭を戻したら朗らかな顔をしている。


「もうひとつお聞きしたい事があるのです。

 こちらは直近の問題でしてな。

 光子ロケットの推進開始はどこで見るのが景色として一番良いでしょう。

 一番良い所は直接この目で見たいのです。無論後で映像、画像は見ます。

 光子ロケットをよく知っているイストさんに聞いておきたかったのです。」


「光子ロケットを見るんですか?」


確認の必要も無いが聞き返してしまった。


「はい。実験なども見ましたが実際に動いているのを見るのが楽しみです。」


ギルドの実験映像とかで公開されたものは全部見て居そうだ。

むしろどこかで見学とかしていたかもな。

ガーランドに残っていた映像資料を思い返す。

実のところ光子ロケットはそんなに派手ではない。

実験用ロケットだから見える光も出しているが正直必要無いそうだ。

核融合炉を使うのは光子を発生させる核反応を起こすためだ。

光子は当然観測は出来ない。

恒星から出ている光にも光子は含まれているから宇宙には光子は溢れていると言える。

光子を利用したソーラーセイルと言う宇宙での移動方法もあるくらいだ。

そうなると光子ロケットが一番派手なのは当然最後部、反射部分。

反射した光は船後方に飛んで行くから別の船とかから見ないと無理だな。

宇宙遊泳しながら見るというのを思いつくが危険すぎる。

このステーション内から見るとしたら見栄えのする所は無いな。


「一番見て判りやすいのは後方の反射部分ですがこれは外からしか見れません。

 ロケットのように大きな炎が出るという訳ではないのでそれほど見所は無いのです。

 正直そこ以外は見るような所は無いと思います。」


どこに興味があるかによって見たい場所は変わる。

ゼンさんは宇宙観測をしていて超新星爆発とか珍しい現象を見たいようだ。

だから見て楽しめるのが良いけれど残念ながらそれはほとんど無い。


「それは残念。外から見るしか無いのですか。」


「多分ギルド側で外部から観測しているでしょうからその画像とかを見るのがお勧めです。」


そんな事は聞いていないけれど異常確認の為に外部観測、カメラとかはあると思う。

目視観測用の方法も用意しているはずだ。

船最後部から見れば宇宙船だと後方の噴射炎が見える。

光子ロケットはおおきく反射鏡を展開するからそれが邪魔で直接は見えないはず?


「ギルドに聞いて船最後部からがやっぱり最適でしょう。

 後は速度が低いのでそれほど大きくはないでしょうが景色の変化が観測出来るでしょう。

 それは外部カメラなどで自分で観測出来ると思いますよ。」


前回ガーランドで取った映像は公開出来ないから今回は俺も観測するつもりだ。

宇宙だと星の光くらいしかなくてほとんど変化は出ない。

ただコンピューターで分析すれば僅かな変化も観測出来る。

観測者から見た距離によって速度の差による景色の変化。

細かな話をしてもゼンさんは理解していたからあれこれ会話は盛り上がる。

休憩に来た他の宇宙船乗りが何の話かと尋ねて宇宙での珍しい景色、光景の話題となる。

衛星の噴火とか惑星の大気変化とか嵐だと結構見ている人は多い。

リラ6からの観測じゃなくて近くから観測するのはまた違う。

そんな趣味というか軽い話で残りの時間は過ごした。


自主訓練を終えて夕食を取ってガーランドで運動、日課の消化。

今は格闘訓練と銃撃訓練も追加してある。

シャワーを浴びて洗濯とか日常を送ったら光子ロケット加速30分前の放送。

それを聞いて指令室へと向かった。

セリナはすでに出ているから今回は一人だ。

いよいよ光子ロケットによる加速が始まる。

まだ出航しません。出航後に回した方が良い話でした。


次回更新は木曜予定です。


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