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竪琴宇宙のサクシード  作者: MAD-WMR
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4-6 光子ロケットの完成

宇宙船乗りの勧誘については行政府、ギードリアさん、カタオカさんに連絡。

調整をしてもらい今回は直接会うのではなく通信で連絡。

場所が離れているからこれは仕方が無い。

追加募集として突撃艇の操縦要員を募集して貰った。

ただこれも基本的には前回作戦参加した宇宙船乗りからの募集を優先。

候補が決まればすぐにシュミュレーターを送って操縦訓練を始めて貰えるようにしておく。


リラ4からの資源も到着しており宇宙船の建造作業が急ピッチで進んでいた。

ギルドから投入された人員だけでなく宇宙での建築が可能な者も投入。

すでに24時間体制で作業中。

午前中の間でステーションの修理、補強、改装が進められ7割完了。

お昼を食べている時にギルドから核パルス推進2其の建造が完了と報告が上がる。


「核パルスが完成した報告だ。」


「予測よりも3時間24分早いですね。

 それではすぐに設置作業に移ってもらいましょう。」


セリナから送られて来た情報を確認してそのまま送る。

すぐに通信が返って来たから繋ぐ。


「イスト司令官!これはどういう事ですか?!」


コルストさんからだ。

ステーションの側面に取り付ける指示で最優先、当然光子推進よりも先にという指示だ。

条件を達成していよいよという所で横槍が入れば当然だろう。


「セリナ、どういう事だ?」


珍しく自分で作ったパスタが冷めるから食事を優先して理由までは聞かなかった。


「このステーションをリラ4に移動させます。

 資源輸送の時間を減らし出発をぎりぎりまで遅らせます。

 光子推進の開発時間を最大に取る為です。」


端末で読書中のセリナは顔も上げずに答えた。

ここの所忙しくゆっくり読書したりする時間はセリナも取れていない。

人間と違って寝なくても良いセリナが睡眠時間と称して読書しているのを知っているけどな。

設置の理由も一緒に伝えればこの通信は無かったと思うけどな。

必要な情報のみ連絡するというのはセリナの特長だな。


当然セリナの言葉はコルストさんには聞かせていない。

理由を俺が説明して対応して貰えるように伝える。

同時に各部署に予定変更の連絡を忘れずに通達しておいた。


ここから先しばらくは俺としては出来る事が無い。

ステーションの改造が終わるまでの予定としてはほぼ白紙。

打ち合わせとか調整は必要だ。

今回の計画自体は宇宙軍総司令官が指揮しているからな。

細かな部分はセリナが調整してくれるからそれに従っておけば良いはずだ。

もちろん遊んでおける時間じゃない。

各資料に目を通し攻撃計画を調整していくのが役目。

出来るだけ多くのプランを作り成功率の高い作戦を考え出す。

突撃艇についても必要な装備などを調整していく。

そんな目に見えない作業が続く事になる。

ガーランドの長期航行中にやっていた作業と同じで使える時間が段違い。

今は船に乗ってないからな。


まず取り掛かったのは突撃艇。

まず宇宙船乗りの勧誘、投入可能な船の数を確定させた。

今後人数が増えるかもしれないがその時は改めて調整。

戦闘をする訳ではないから乗員の数はそれ程多くなくても良い。

参加の決まった宇宙船乗りにはシュミュレーターでの訓練を始めてもらう。

同時に突撃艇の設計も進めていく。

ギルドの協力があるのでシュミュレーターで何パターンか作って試していく。

宇宙船乗りが意見を出して作る側のギルドが可能かどうかコスト的にどうかなどを調整。


まずレールガンについてはセリナが再設計した情報を俺から提供。

資源に余裕があるから問題なく実用化、投入出来るのですでに試作、試験も終了。

弾丸を大きくする事で威力を上げるという聞くと簡単なもの。

砲身が16mから32mになり口径、直径が52cmから86cmになった。

50cmでも大きいとは思っていたが2km近いフリーダム艦に対しては小さい。

弾丸を大型化したのは炸薬によって爆発するようにしたからだ。

レールガンの大きさについてはブロック船に合わせて格納出来るサイズで作っていたからだ。

今回はさらに弾丸にバッテリーを搭載する事で発射電力を確保。

バッテリー部分がかなり大きく本来繰り返し使えるバッテリーを消耗品として使い捨てる。

かなりもったいない使い方だがこれによって船からの電力供給が必要無くなった。

これで突撃艇に動力を積まなくても良くなる。

撃破されるのが前提で攻撃出来る数もそれ程多くない、搭載する弾丸10発だが全て打ち切れない。

そう考えているから動力を搭載するよりはバッテリー式の方が良いそうだ。

レールガンの砲身を中心に突撃艇は組み立てられている。

下部に小型の固形ロケット2其、加速用大型ロケット1其。

姿勢制御は気体噴出式の制御バーニアを多数。後は無線操縦システム。

無線システムと弾薬がブロックに搭載されてそれに砲身が着いているという簡単なものだ。

砲身の左右に縦長の板が取り付けられその上下にミサイルと機雷を搭載。

最低限のパーツだけで作り速度で分解しないだけの強度を持たせただけのもの。

縦に長いが正面面積は小さく被弾率が低いらしい。

こういう新しい機械を検証するのは俺としてはかなり楽しい。

細かなスペックとかも色々と確認した。

当然この完成形となるまで何度も調整は繰り返されている。


この突撃艇での攻撃計画についてはシュミュレーターを使って練習を繰り返す。

今回は1人で地道に続ける訳ではなく参加が決定した宇宙船乗り全員で行なう。

軌道戦での戦闘が応用出来る部分も多くかなり楽になった。

無論これについてはまだまだで実際の戦闘まで訓練と攻撃計画の調整は繰り返す。

今は突撃艇を自由に操縦出来るようにする段階で好きに飛ばせるから一番楽しい。

実際に攻撃するようになれば失敗続きで苦労するだろうがそれも今回は気楽だ。

軌道戦は船の犠牲を出来るだけ減らす必要があった。

それを考えなくても良いから全滅前提で攻撃計画を考えられる。

これについても1人で考えなくても良いしもう少し時間があるから気楽だ。


ステーションのリラ4への移動は耐久試験も兼ねていた。

ある程度加速をさせてステーション全体の負荷を確認をする。

20時間で移動したのだが不具合のあった部分や問題になりそうな部分はいくつも見つかった。

これはギルドの専門家が居るので即座に調整、改装が行なわれる。

光子推進を使っても大丈夫なようにかなり強固に作られた。

リラ4に到着してステーションの改装が本格化。

移動で問題ないように全体強化されたら資源を入れておく倉庫がまず作られる。

突撃艇の格納庫を兼ねており突撃艇の生産は出発してから戦闘開始まで続く。

小惑星を加工する施設も用意され小惑星を牽引する準備もされた。

マスドライバーの弾丸として岩石を使用するからだ。

小惑星関連はステーションの前方、倉庫類は後方に建造されてステーションはほぼ完成。

ステーションの作業が完了したら兵器類の生産に取り掛かる。

同時に食料などの搬入も始まりステーションに乗り込む人員の調整も終わる。


リラ4に移動してからは俺はかなりのんびりした。

ガーランドで長期航海しているのと同じスケジュールで生活出来たからな。

船の監視の時間帯は各報告を聞いたり調整で人に会ったりとか色々と仕事はあった。

その合間にシュミュレーションを使って作戦を練る、詰まったら息抜きで突撃艇訓練。

休憩はステーション各所を見学とゆっくり出来た。


順調では無いのが光子ロケット関係。

スケジュールが遅れ始めると立て直せずそのままずるずると遅れていった。

光子推進は大きく3つの部分が必要だ。動力部分、推進部分、反射鏡。


反射鏡部分が一番順調でまったく問題なく完成した。

光子を反射させる部分は新素材ということで大きいパーツが多く数も多い。

それで早くから取り掛かったが遅れなく組み立てが終わり試験も終了、あっさり完成した。

ガーランドに搭載する訳ではないのだがセリナの要求があり折り畳めるようになっている。

その稼動部分についても似たような機械類はあるので問題なく完成していた。

新素材を使ったミラーについてはガーランドもついでに改修されている。

こっそりと予算と計画をセリナがねじこんでいた。

もう一隻緊急脱出用ということでガーランドと同じ光子推進搭載のブロック船も建造される。


不具合が連続してスケジュールが遅れたのは動力部分。

融合炉を大型化するのだから当然といえば当然だ。

もちろん大型融合炉はギルドも作っているから技術の蓄積はある。

それなのにいくつもの問題が発生していた。

一つ問題を解決すれば次が発生しそれを解決すると次が。


早い段階から報告は受けているがこちらからは特に動いていない。

セリナも何も言わないしもちろんこれは俺が聞かないからというのもある。

ただ今まで見たいにセリナの知識、技術、物質生成機でどうにか出来る物でも無い。

ギルドが建造しているものだしそれなりに長時間研究しているものだからだ。

ガーランドに残っていた資料という形で提供は出来ない訳でもない。

ただ光子ロケットの資料はほぼすべてデータベースに入れたという発表がある。

ここで追加情報は出せなくは無いが・・・どうするかと迷っていたら時間は過ぎていた。


推進部分は巨大化しただけで問題は無いようだ。

ただそれを完成させ稼動試験に入ると再び問題が多発。

動力の冷却に問題があり調整、送電などで負荷が高くパーツ交換。

制御システムが上手く行かずに調整などなど毎日問題が報告されていた。

設計図を元に作る予定だったのに急遽その設計図が変わったのだから仕方が無い。

建造と同時にコンピューターでの試験もされていたそうだが実際に作ると細かな不具合は出る。

耐久試験もなかなか進まず1分稼動、10分稼動、60分稼動と行なう度に問題が出た。


ガーランドの操縦席で光子ロケットのデータを眺める。

表示しているのはガーランドのデータと大型光子ロケットのデータ。

各種情報を表示しテ比べている。

今日の12:00には搭載する推進機をどうするか結論を出さなければならない。

今は11:03で結論を出すのは俺。

光子推進がトラブル続きでスケジュールが遅れており核パルス推進はすでに建造された。

それでも時間ぎりぎりまで光子推進については研究して良いとしてある。

リラ4に移動したのはこういう時に時間を稼ぐためだとセリナが言ったからだ。

こうなる事が予想出来ていたのかセリナも光子推進に期待していたのか。

それなのに何もしない。

現在は連続稼動試験中で21時間が経過、試験としては順調に経過している。


「セリナ、光子推進はやっぱり問題あるか?」


俺としては光子推進を使ってみたい。

だがそれで事故だとか作戦が失敗するなら使わない選択は当然だろう。

ここまでトラブル続きだったがセリナはなんの情報提供もしていない。

ただもっと色々と情報を持っているとは思っている。


「大型光子ロケットはすでに完成しています。

 光子ロケットを使用するのであればガーランドと同様の問題点があります。

 それは解決出来ておらず現状での運用はいくつか問題があります。」


ロケットは完成しているが運用には問題があるか。

判らない事は解説してもらうのが一番早い。


「リラの光子ロケットは大型化した事で完成と言って良いでしょう。

 恒星間航行や銀河間航行には最適です。

 動力のみで推進剤を消費しない推進機、大きな推進力、高い加速力。

 宇宙での長距離移動用の推進機としては最適です。

 ただし光子ロケットが完成しただけで推進システムとしては未完成です。

 ガーランドと同様の問題点とは加速Gの問題です。

 大型化した為にさらに加速力は増加しました。

 この光子ロケットは低速での使用は考慮されていません。

 低速度が必要な場合、惑星圏などでは通常推進システムを使用するのです。

 通常推進と光子ロケット、両方を一つに纏めたのはその為でしょう。

 通常推進の部分については将来的には変更も可能なように設計されています。

 ガーランドの重力発生システムは2つを組み合わせる事で大きな重力を発生出来ます。

 2つを一組としてもう一組を組み合わせることでより大きな重力を発生します。

 もっと多くの発生器を組み合わせて運用した場合も検証しましたが上手く行きません。

 4つの重力発生器を使用した場合でも大型化した光子ロケットの加速重力は打ち消せません。

 光子ロケットの最低出力でも人体が耐えられず加速が行なえません。

 これが最大の問題点です。」


加速が速すぎて使えない訳だ。

でもガーランドで使った時は加速が出来たはずだ。


「ガーランドとの違いは何だ?それが判れば使えないか?」


「単純に推進力の大きさの問題です。

 出力部分を調整すれば対応出来るようになるでしょう。

 今回はガーランドに搭載している光子ロケットを使用する事にした方が良いでしょう。

 光子ロケット搭載のブロック船を用意しそれをステーション後部に設置します。

 2隻あれば調整が可能です。このブロック船は脱出艇として使用します。

 ステーションに問題があった場合、崩壊などした場合の用意です。」


「じゃあそれを用意すれば光子ロケットが使えるんだな?」


「問題ありません。運用はかなり慎重に行なう必要があります。

 ガーランドのデータを元にシステムを構築すれば航法コンピューターで対応できます。」


「本当に問題ないか?

 ロケットは使いたいけど作戦が失敗するなら無理に使う必要はないぞ。」


「光子ロケットを使用する場合作成成功率は上がります。

 現在の大型光子ロケットについてはこちらでもチェックしています。

 細かな問題が発生する可能性はありますが対応可能なものであり甚大な被害にはなりません。

 イストが採用に積極的でしたので細かく確認はしております。

 光子ロケット、核パルス推進、どちらを採用しても問題ありませんからイストの決断に従います。」


「無理なら構わないがセリナには光子ロケット情報は無いのか?

 今回はいつもと違ってセリナが大人しいというか積極的では無い気がするぞ。」


光子ロケットについてセリナは情報を持っている、完成形を知っている可能性がある。

ツキヨミについてはちゃんと覚えている。

深宇宙探索光子転送網開拓艦ツキヨミ、光子転送網は通信関係のシステムですと説明されている。

光子を使っているなら光子ロケットもあったんじゃないかなということだ。

だからガーランドの光子ロケットも簡単に制御出来たんじゃないだろうか。

AIとしての能力というだけかもしれない。


「光子ロケットについてはこちらの文化圏では実験はされていました。

 その為に基礎部分については情報があります。

 光子ロケット開発中に他の研究が完成、そちらが採用され講師ロケット開発は中止されました。

 ですからガーランドの光子ロケットについては未知の情報と言えます。

 ガーランドで使用されている光子ロケット用の融合炉についてはまったく情報がありません。

 かなり画期的なシステムですがリラではこれ以上の解析が出来ないでしょう。

 光子、粒子や素粒子についての研究者がおらずそちらの研究ももっと必要です。

 ただこれについては人口の問題がありますから仕方がないでしょう。

 今後の発展、研究次第でしょう。」


光子ロケットは研究中止か。

光子研究の部分については詳しく聞いたがまあ仕方が無い事だった。

リラだと建築、医療、農業などの分野は色々研究される。

生活に関係する部分についてと言える。

それ以外、純粋に学問研究となるととたんにその研究者は減少する。

人口2万ちょっとじゃその分野になかなか人が行き渡らない。

研究者もその成果によって報酬を得られるから身近な物、有効な物を研究する傾向があるからだ。

引退した後とかのんびり余生を送る人とかはそんな趣味の研究をしている。していたか。

それは融合病第二世代、じいちゃんの世代でそうなると人口も少ない。

これからすこしずつ研究結果が蓄積するだろうという事だ。


光子ロケットを使う事については細かくセリナに質問を続けた。

すでに航法コンピューター用のシステムも完成させているという事だった。

脱出用のブロック船の用意と設置、大型光子ロケットの採用をギルドに連絡した。

セリナの意見でガーランドの光子ロケットも最新型に変えられる事になった。

資源とかは今回の作戦用資源から使っているんだが職権乱用ではなかろうか。

脱出用の船として使用するという建前はなんだけどな。


勘違いしていた部分があり大幅に書き直しをしております。

出来るだけ週1でも更新出来るように頑張ります。

次は週末くらいかと思います。


気が付けばブックマーク、評価など多く頂いております。

ありがとうございます。

励みにさせて頂きます。

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