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竪琴宇宙のサクシード  作者: MAD-WMR
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4-2 リラ4資源調達/マスドライバー輸送

ステーションの改造案が纏まったのは軌道戦の翌日。

その日の11:00にギルドから物質生成機が運び込まれ建造が開始する。

この物質生成機はギルドにあった物。

行政府の協力がありギルドの物質生成機を複製、新しいのはリラに残し古いものが運び込まれた。

最悪戻ってこなくても良いようにした措置。

物質生成機が運び込まれるまでにも必要な資源は計算されておりリラから運ばれた。

宇宙船乗りはこの一週間大忙しで稼動出来るすべての船が投入。

その辺りは輸送管理のカタオカさんがうまく話しをして調整してさすがと言える。

正直輸送業務についてはこの一週間休み無し。

各地点で荷物の積み下ろしの間と航行中に交代で休憩という鬼のようなスケジュール。

しかも帰還時は高速を指定されておりのんびりもさせて貰えない。

こんなに仕事が忙しい事は無いと宇宙船乗りたちの嬉しい悲鳴がいくつも届いていた。

あと船の数は少し減っているので破棄予定だったブロック船も投入されている。

これは行政府所有の船で乗員を雇う形で今後も運営されていく。

乗員については独立したい人などうまく調整して各船の運用に支障の無いように集められた。

2隻は軌道戦で船を失った乗員たちが集まっているそうだ。

負傷の軽かった生存者、救助者たちでもう仕事を始めていた。

現在入院中の乗員も今後雇われるそうでその辺りも行政府の支援の一環だろう。

俺個人じゃ絶対に出来ない事だった。

役職に付けてくれたのを感謝して改めてサトウのじいちゃんにお礼を伝えておく。

そうしたら新しい端末が届けられた。

サティッシュに壊された端末と同じデザインだが中身は最新式。

当然前のようにサトウのじいちゃんが全部作ったオリジナル、ハンドメイドの端末。

勝利祝いと一言メーセッジが添えられていて嬉しかった。

それが3つも届いて1つは予備、もう1つはセリナにという事。

セリナは常用をしており聞かれたらカスタム端末と言う事でうまく宣伝しているそうだ。

受け取った時にはその性能について長い説明をしていたからかなり喜んでいたみたい。

本人に言わせれば感情システムの反応なだけですと言うだけなんだけどな。

コンピューター関連についてはセリナはかなり人間のような反応をしていると思う。


リラ6から運ばれた資源だけでは宇宙船への改造には足りない。

残りはどうするのかと言えばリラ4を使う。

セリナが採掘をした時の施設をそのまま残してある。

緊急に資源が必要となった場合に備えて施設についてはリラで作られている機械が中心。

それもある程度劣化した物をわざわざ物質生成している。

軌道戦の翌日にガーランドは破棄ステーションに来た。

この時はギルド員が同乗、その人員輸送が主な仕事。

同様に人を詰め込んだ輸送船4席と必要な機材を積んだ2隻をリラ4の採掘施設に案内する。

場所が判っているのだから案内の必要も無いと思うのだが案内する必要があった。

リラ4へは破棄ステーションからだとすぐに到着する。

この一週間宇宙船の速度は何処でも基本的に上がっており専用に航路が組まれた程だ。

リラ4への案内で重要なのは直接降下出来ない点にある。

惑星での採掘がリラで行なわれていない理由は惑星重力圏を突破する推力にある。

ブロック船でも重力圏からの上昇はおそらく可能だ。

ただその場合は推進剤を大量に消費し以降の宇宙航行が問題となる。

ブロック船は宇宙を航行出来るようにしてあるだけで惑星降下は考えられていない。

その辺りを省く事で簡単に作れるようにしたからだ。

ガーランドは大型惑星以外なら問題なく重力圏を突破出来る推進力はある。

予備推進剤を用意しておけば帰還もそれほど問題では無い。

既存ブロック船の中では推進力は上から3番目、光子ロケット込みなら当然一番上だ。


リラ4の周回軌道で船は待機、ブロック船くらいの大きさなら衛星軌道で周回出来る。

軌道修正や緊急時に備えて人員は必要なのでガーランドにはセリナが残る。

地上降下は専用のコンテナを使用する。

他に物資回収用のコンテナも必要なのでそれらをひとつにして降りる、落ちる。

コンテナ自体は簡単なもので降下後の着陸制御しか出来ない。

採掘基地近くに降下出来るように軌道計算し宇宙から惑星リラ4に向かって落ちる。

後は逆噴射で速度を落とし地上に着陸するだけだ。

この辺りは船の航法コンピューター任せで問題が無い。

降下用のシステムはブロック1つで済むし回収出来るのでそれほどの数は必要ない。

ブロック1つで8個のコンテナを降下させられる。

ガーランドは上部の大型収納ブロックをこのコンテナにしてからここに来た。

到着後に分離するだけで準備完了。楽なものでブロック船だから出来る事だ。

リラ4は大気の無い惑星で昼と夜の温度差が激しく温度も極端。

昼の面は灼熱で夜の面は極寒、採掘基地が夜の面にある間に降下。

つまりは極寒だがこれは通常の宇宙服でも問題ない。

採掘基地近くに着地してすぐに基地を目指すが徒歩ではなく電気自動車が今回はある。

バギー型の悪路走破可能なもの。同型を採掘基地で作る予定だ。

1台しか持ち込んでいないので先発するのが6名。

残りは徒歩で移動をしつつ自動車が何回も往復した。

先発で基地に着いた者はコンテナ移動用の作業車に乗って移動を始める。

着地したコンテナを施設まで運び込む作業を行うのだ。

これは昼になる前に完了しておきたいから先に作業を始める。

港でコンテナ移動をしていた人が来ているから作業車を見て運ぶ場所を見せただけで仕事に掛かった。


コンテナはリラ4地上に降りたら分離、専用エレベーターで採掘基地へと運び込まれる。

そこで採掘され加工した資源を詰め込みマスドライバーで射出、リラ6などへと運ばれる。

地表環境を考慮して施設はすべて地下に作られていた。

コンテナは人員を搭載して射出する事も出来るのでその場合はリラ4軌道へ射出する。

マスドライバーを使った輸送がリラ4の特徴だ。

降下用のブロックも同様にリラ4軌道へ射出し上空待機の船が回収。

燃料などを補充し空コンテナを降下させる。

セリナがある程度自動化しておりコンテナだけであれば無人降下も可能となっている。


採掘基地は地下200m地点に建設されておりエレベーターで移動。

その為に地上にある入口も地下道を作ってその中に作られており上空からでもほとんど観測出来ない。

惑星観測で問題にならなかった理由にもしてある。

この地上部分は移動用、コンテナ輸送用車両の駐車スペースとエレベーターの入口しかない。

こんな所に採掘基地があるのかと疑われた原因だ。

俺は映像で見ていたからこんな風なのかと感心はするが驚く事は無い。

何度か来ている事にされたから驚く訳には行かない。

その為に事前にセリナの見た光景を画像として確認したが出来れば最初は直接見たかった。

地下に降りれば正方形に掘られた空間に出てそこから8方向に通路が続く。

その通路の先はそれぞれの採掘場所、この場所の地下に精錬施設とマスドライバー射出エリア。

最初に精錬施設とマスドライバー施設を案内、そこを担当する人達に施設関連を案内、説明。

それから採掘場所に移動し同様に説明するがこちらは簡単。

小惑星で採掘しているのと同じだからだ。

ちなみに掘られた今ある各通路や空間は綺麗に四画をしている。

セリナが作ったというよりは物質生成機で資源回収をした跡そのまま。

四角にくりぬいただけでさすがに広い場所は柱などで補強している。

エレベーターは2度目に来た時に作った物だろう。

こういう風に大掛かりな採掘をするならセリナひとりでこれけだけの施設を用意出来る。

これはこれで便利そうだ。

採掘地点から精錬所に輸送する手段は自動運行する輸送車。

以前は自動稼動させていたがセリナがここを離れる時に停止してすべて格納してあった。

正直無人稼動可能なのでそのまま稼動しても良いと思う。

リラでも無人化は進んでいるがさすがに完全自動というのはあまり無い。

リラの機械が使われている施設だから説明などもそれ程困らない。

今回説明したのは管理者となる人達だから以降の説明はそちらで対応して貰える。

明日にでも作業員が到着し実際に仕事、採掘作業が始まる予定だ。

俺の案内役、説明役としての仕事は今回で終了。

マスドライバーの使用についてだけ細々とした注意点など纏めた情報を渡すなどはしている。

こちらについては港で管制作業を行っていた人員とギルドから技術者が派遣されている。

質問に答えていけば大体の問題、疑問は片付いた。

宇宙船運航と同じだから細かな注意点などが多くても対応出来たのだ。


その後は実際に俺が降下用ブロックに乗ってリラ4軌道に戻る。

マスドライバーを実際に稼動させ操作したのは派遣された者たち。

人が乗ってちゃんと戻れるのか心配されているから人身御供という訳だ。

ついでに稼働手順なども通信で確認しながら進められるから問題ない。

リラ4軌道に乗ってから連絡して人員輸送にも問題無しと確認されて後続の作業員の降下が始まる。

同時に機械類の降下も行なわれ最初に作られるのは作業員の宿泊施設。

セリナが作業していたので当然そんな施設は無く気密区域も無い。

ここでの作業は宇宙服を着るのが基本。

ただそれだけでは24時間宇宙服着用となるから休憩できるスペースは必要だ。

電力については精錬施設を稼動させるのに発電機があるので問題ない。

宇宙船で使われてる動力がそのままあるので出力としても問題ないし足りなければ追加される。

採掘作業、資源採取が優先されるのでブロック船の居住ブロックが使われる。

居住ブロックだけでなく水、空気、重力等の基本インフラ系を纏めたブロックも用意されていた。

降下後に設置、連結して稼働すれば終わり、簡単なもので宇宙船に住むようなものだ。

マスドライバーの射出施設から搬入し人数分が設置される予定。

急造するにはこれが一番手っ取り早い。

なので宿泊施設建設と言っても設置場所を採掘機械で掘るだけで設置稼働は今日に終わる。

食料も同様に運ばれて降下されるので輸送船が忙しいのはこの辺りにも使われているからだ。


マスドライバーで射出したコンテナはそのままでは回収が難しい。

宇宙を高速で飛ばしているから当然だろう。

衛星のある惑星なら衛星地表にぶつけてそこから回収するという荒っぽい手段もある。

今後はリラ6、今回は破棄ステーションに向けて射出される。

これの回収には専用の施設が必要でそれも用意される。

簡単に作れる物としてネットシステムで施設という程大掛かりでは無い。

色々とセリナから提案された物から検討して選んだが簡単に作れる点が大きかった。

これも荒っぽい手段と言える。

複数のロケットをネットで繋ぎ高速射出したコンテナを受け止め減速させる。

ネットが切れる可能性があるが複数をコンテナ軌道に配置して対応だそうだ。

切れた時に変な軌道に飛んで行く事もあるから外に行くほど大きくなる。

一つ目で受け止めた時に外側のネットはそれを全て覆うように移動してそんな場合に対応。

実際に使われていた技術という事で運用されていたときの事故率も聞いたから問題ない。

余裕があれば射出コンテナ自体に減速システムを備えるのが良いらしい。

まあワイヤーと減速用のロケットだけで簡単に作れるのが今回は適している。

ワイヤーは消耗品だがコストとしては輸送費よりは当然安い。

ロケットの制御については回収用の輸送船から行える。

回収用の輸送船は予備のワイヤーシステムを搭載しておき交換が必要なら設置してから戻る。

それを繰り返す事で月々と輸送コンテナを回収していくのだ。


もし重力制御が可能になればそれを使用して射出コンテナを回収。

それがマスドライバーとしてはもっとも安価で安定した輸送手段だそうだ。

重力制御なんて実用しされていないし理論も判らないのでこれは不可能だ。

今後コンテナの射出はぎりぎりまで行なわれ限界まで資源を回収する。

宇宙船が出発した後も移動先を計算して回収出来るように射出される予定だ。


今回の作戦後もリラ4の施設に関しては使用される事になった。

ただ融合病関連の懸念がある為、採取資源について色々と融合病について調査してからになる。

リラ6に金属を持ち込むのは融合病で大変な為、惑星での採掘は見送られ続けているのだ。

もちろん惑星降下、離脱可能な宇宙船を作る資源が無いという理由もあった。

ただリラ6にも余裕が出来て今後の発展の為にも金属資源は必要。

10年前の時点でもそろそろ惑星採掘が必要では無いかと話には出ていた。

当然だろう。まとまった金属資源なら惑星で掘るのが一番早いのだ。

順調に行けばフリーダムの影響で停滞したリラ6の復興、発展がスムーズになる。

まあその辺りについては今後の事だ。


作戦準備期間1日目は基本的に移動と説明で終わった。

ガーランドは生産ステーションから破棄ステーション、リラ4に行って破棄ステーションに帰還。

同時に移動した宇宙船乗りたちやギルド員がそれぞれの仕事を今後行っていく。

そちらも準備に費やしたようだが宇宙船建造はギルド員が翌日には増員。

先にリラ4用のコンテナ等を作りそれは採掘作業を行うリラ住民と共に輸送される。


宇宙船について必要は施設についてはこの1日でセリナと会議というか相談を続けた。

ガーランドでの移動中は二人なので気にせず話せるのが大きい。

有効な戦法、作戦などを羅列し実行可能かどうか、効果があるかどうかなどを評価。

投入する時間、資源など限りある中で有効と思われるものを採用していくしかない。

まず確定は破棄ステーションの先端にあるマスドライバーは引き続き使用する。

せっかく作ってあるのだし実際に有効だったから使わない手は無い。

弾丸についてはちゃんと加工しなくても砕いた小惑星で良いらしい。

大きな質量ということでそこそこの大きさにした岩石を打ち出す。

散弾のように拡散するものと大きな単発とを混ぜて射出する。

これについては小惑星を加工すれば良いので移動を始めてからで良い。


先の予定について指示する側が決まっていないと計画も立てられない。

結局この日はガーランドで遅い時間まで次の作戦打ち合わせ。

それからリラ軌道戦についての反省会、フリーダム艦の評価、回収した部品などからの推測。

そういった今後必要になる情報、知識についてのレクチャーを受けた。

同時にまた資料が大量に渡された。

対フリーダム小隊戦に向けて参考になるだろう資料だ。

いくつかそういう資料はあってすでに目を通しているが本格化したのでありったけ提供された。

資料リストもあり資料、本の内容が簡単に説明されているからそれを参考に読んでいく。

有効な作戦を考えられるように、戦闘で困らないように読み込みたい。

軌道戦では実際に知っている知識は役に立たなかったが知っているという安心感が欲しい。

まったく知らない事態に遭遇して慌てるのは困るというか場合によっては死に繋がる。

次の戦闘はそんな短時間で何か起きる事は少ないから余裕はあるんだけどな。

しばらくは宇宙船建造関連が続きます。

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