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ファンタジーの奴隷キャラの様な
色あせて最早、ボロ絹としか言い様の無い
薄い布地一枚を身にまとって
街を歩く。
家には戻れない。
戻る場所などない。
血まみれの足裏が痛む。
ビル壁に張られた液晶画面から降り注ぐ
薄い光が足元を照らす。
ふと、顔を見上げると
其処には
マントを背負ったヒーローが立っていた。
どこにでもある様なデザインだ。
困っている人が居たら駆けつけて
悪い奴から助ける。
前は、敵だったヤツと共闘する事もある。
正義の味方。
多くの過半数が
「くだらない」と罵るその背中に
僕は、憧れを重ねて。
『 カッコイイ・・・! 』
僕は、瞳を輝かせた。