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異世界の魔法師  作者: 狂狼
1/1

異世界の来訪者

「あぁーねみぃ」

俺は桔梗ヒバリ、あまりパッとしない高校1年! この春近くの私立輪廻高校に通うことになった。

これから、胸が弾む高校ライフを存分に楽しもうとヒバリの心は踊っていた。

「いやぁ俺も高校1年かぁ、友達出来るといいなぁ」

桜舞う通学路。行きゆく新入生たち。

「お! おぉカワイイ子も沢山いる! いやぁ楽しみだなぁ」

そうこうしてしばらく歩いている時、ヒバリはふと暗い人通りない路地に視線を向ける。

(ん? )

誰か居るようだ、しかしヒバリはあまり気に止めず通り過ぎようとしたその時!

「インシュエル・レイ・ランス! 」

何やら聞き覚えの無い言葉が耳に入ってきた。

ヒバリは少し気になり路地に目をやる。

そこには自分の対して年の差もない少女と黒いマントを羽織った男がいた。

すると! 何やら無数の光の槍が彼女の足元めがけて凄まじい勢いで飛んでいく!

ヒバリはその一瞬の出来事に息を飲んだ。

そして、マントの男の声が耳に入ってきた。

「 痛っ! 」

「あらあら、どーしました? もう終わりですか? 」

彼女の脚から鮮血の血が落ちる。

「チッ! 」

彼女はその場に座り込んでしまった。

どうやら脚をケガして動けないようだ。

「それでは終わりにしましょうか」

そう言うと、マントの男は腰にさしていた剣を抜いた。

その剣は瞬く間に光のオーラを放ち、剣先は彼女に向けられている。

彼女はケガをした脚をかばいながら急いで立ち上がろうとしたが、また、座り込んでしまった。

そして彼女はマントの男から視線を落とし、何かを悟ったように俯いてしまった。

その頬に一筋の雫が流れ落ちた。

そして彼女は震える声で言った。

「誰か」

「誰か、助けて」

それを聞いたヒバリの体が自然と動き出す。

「やめろぉ! 」

気づけばヒバリは、彼女の前に立ち、彼女をかばっていた。

彼女は俯いていた顔を上げ、ヒバリの背中を見ていた。

「何ですかあなたは? なぜ、我々が見えているのですか? 」

ヒバリには、この男の言っている意味が理解できなかった。

「何を言ってるかわからないけど、見過ごすわけにはいかないんだよ! 」

マントの男は少し考えている。

その後彼女に言った。

「命拾いしましたね。まぁ次は必ずその息の根を止めてあげます」

「それでは、また! 」

マントの男は薄気味悪い笑み(えみ)を浮かべ、それと同時に、ヒバリを疑いと、不思議に満ちたというような目で見た。

そしてマントの男は右足で地面を小さく踏んだ。

すると突然! 闇の霧が現れ、その霧と共にマントの男は姿を消した。

(一体何がどうなってるんだ! )

ヒバリは混乱していた。

そしてヒバリは振り返り彼女に言った。

「大丈夫? 」

彼女は涙を急いで拭いて強気な顔で言った。

「べ、別に助けてなんて、言ってないんだから! 」

「ご、ごめん」

その時ヒバリは初めてその少女の顔をハッキリと見た。

なんて美しい!

鼻が高く。綺麗な金髪。透き通る肌。整った顔立ち。

ヒバリは彼女のあまりの綺麗さに見とれてしまっていた。

「な、何よ! ジロジロみないでよ! 」

ヒバリは我に返り、焦り気味で彼女に言った。

「え、え、えっとまぁ、本当に無事でよかった」

彼女は、少し顔を赤らめながら言った。

「まぁ一応お礼入っておくわ、ありがとう」

「あ、うん」

と、その時!

バタリ!

彼女はいきなり倒れた。

「おい! 大丈夫か! おい! 」

脈はある、どうやら気を失ってるだけのようだ。

(どうしよう。とりあえずここにこのままってわけにはいかないよな)

ヒバリは彼女を背負い自分の家に向かった。

家に着くと彼女をベットの上によこにして、ケガのある脚の手当てをしよう思ったその時。

(あれ? )

血のついた脚の傷は跡形もなく消えていた。

(なんでだ? 確かに傷はあったはず)

ヒバリは少し悩んだが、しばらくしてその謎を追求することをやめた。

そしてヒバリは疲れたのか彼女の寝ているベットの横に座り込み寄りかかった。

そしてヒバリはそのまま眠りに落ちた。

「ちょっと! ちょっと!おきなさいよ! 」

ヒバリは彼女の声で目を覚ました。

「あなた、なぜ私がこんな所にいるわけ? どこなのよ? 」

当然気を失っていた彼女は、ここがどこだか分わかるはずもなかった。

「あぁ、ここは俺の家だよ。あの後君は、いきなり気を失ったんだ。だから俺がここまで連れてきたんだ」

「そう! 」

そして少し間をおき彼女は怒りに満ちた顔でヒバリに切り出す。

「てか、あなたなぜ私を助けたわけ? あなた言っとくけどヘタしたら死んでたのよ! 」

(そう言われても……)

「えっと、君が泣いてたから、咄嗟に」

彼女は顔を赤らめ俯いた。

だか、彼女は顔を上げ強気な顔で言った!

「その理由意味わかんない! それに私泣いてなんかいないし! 」

ヒバリも何故か彼女の態度に納得いかず、対抗して言った。

「いや泣いてた」

「泣いてないわよ! 」

「いいや、泣いてた」

「もぅ、いいわよ! 」

そう言っていきなり彼女は恥ずかしそうに顔をして俯いた。

そんな彼女を見てヒバリは男として情けなく感じた。

そしてヒバリは彼女に優しく言った。

「まぁとにかく無事で良かった本当に」

彼女もまた俯いていた顔を上げた。

「助けてくれて、あ、ありがとう」

「うん」

とても和やかな雰囲気が生まれる。

しかし、彼女が突然真面目な顔つきで淡々と話し始めた。

「あなた、一体何者なの? 」

(突然すぎる)

「てっ言われても、どういう事? まず俺は君のことも何も知らない」

「あぁそーね失礼したわ、私は第27代シュバルツ・ツイン家当主、シュバルツ・ツイン・リーフィアよ! で! 今度はあなたの番よ! 」

(え? 何を言っているんだ……外国のお嬢様か)

「えっと、俺は高校1年桔梗ヒバリ」

そしてヒバリは息つく間もなくつづけて言う。

「あと色々聞いていいかな? 」

だが、リーフィアは、高校1年と言う響きに不思議な表情を浮かべている。

「あ、えぇ、いいわよ! なに? 」

「えっと、あのさっきのマントの男が言っていた、『なぜ? 我々がみえるのかって』あ! それと、あの光の槍! 何が何だかわからないんだよ」

「何言ってるの? あなた、魔法師でしょ? そんなこともしらないわけ? 」

(なにを言ってるんだ? 彼女は)

「お、俺は、普通の人間だ! その魔法なんとかではないよ」

リーフィアは驚きを隠せないという顔をしてヒバリを見た。

「あなたそれ本気で言ってるの? 」

「言ってる」

リーフィアは難しそうな顔で考えている。

「まぁいいわ、よく分からないけどあなたに自覚がないようだから分かるように説明してあげるわ」

「まずこの世界は2種類あって! 普通の人間には、存在や声全てに関して確認できない魔法師の私達が住む魔法界! もう一つはあなたたちが住む、ココ!人間界よ! それとあの槍は攻撃魔法、インシュエル・レイ・ランス」

ヒバリは彼女の言っていることが全く理解出来なかった。

「じゃあ仮になんで、普通の人間には見えないはずの君達魔法師とかって言う存在が俺にはみえるんだ? 」

「んー、仮にあなたは人間なのだろうけど微力だけど魔力を感じるわ! 」

「私達魔法師の存在は魔力が無いものには見えないはずよ! 」

(俺に魔力が……)

「でも、俺は…」

「あなたには本当に自覚がないみたいね」

そしてリーフィアは少し考えてから、話し始めた。

「あなたに自覚がないなら少いケースだけど、魔力があるのは親からの物かもしれないわ。あなたの両親の名前を教えてくれる? 」

「あ、うん」

「えっと、母は桔梗もみじ。親父はリベル・ロイ・ルシエだよ」

ヒバリが言い終わりリーフィアを見るとリーフィアは驚きを隠せない、いや、焦っているような顔でヒバリを見ていた。

「リ、リベル・ロイ・ルシエ! ですって! 嘘! 嘘よ! そんな、あの! 」

「いや、本当なんだけど…えっとぉ俺の親父がどおしたの? 」

「あなた、自分の父親のこと何も知らないの? 」

「まぁ、俺が物心ついた時には親父はいなくなってたから、よく知らないんだ」

「そう、あなたの父親はね、私のいる魔法界では、知らない人はいないと言うぐらい有名な魔法師よ! なるほどね、その子供があなた、微力ながら魔力があるのは納得が行くわ! 」

(え! 親父が魔法師? )

ヒバリは彼女の言っていることが理解出来なかった。

そして、悩んでいるヒバリに、リーフィアは突然大きな声で言った。

「あぁなるほどね!あなたの魔力の流れが不安定な理由が分かったわ!」

「え? なにいきなり! どういう事? 」

「あなたのその微力な魔力についてよ!薄々感じていたんだけどあなたの魔力、押さえつけられている感じがするの」

するとリーフィアはヒバリの額に手をあて、何やら唱え出した。

「え? なに? 」

当然ヒバリは突然のリーフィアの行動に動揺して、身を引いた。

「動かないで! 」

「あ、はい… 」

「浄化を司り(つかさどり)悪式を断ち切る精霊よ! この者の封印を解きたまえ!ホーリー・アース・ナチュレ! 」

リーフィアが呪文らしき言葉を放った瞬間!

ヒバリの身体に異変が!

「うっ、うあぁぁぁ!」

ヒバリがうなった。

身体中の魔力が目に集まっていく感覚それと共に激痛がヒバリを襲う!

ヒバリは目を抑え倒れ込んだ。

「うぅ! 」

「なるほどあなたの神器はその目のようね」

(痛い! )

(痛い! )

(熱い! 痛い! 熱い! )

ヒバリは目を抑えたままもがき苦しむ。

そしてしばらくすると、ようやく痛みと燃える様な体の熱さが引きヒバリは我に返る。

「はぁ、はぁ、これは? 俺に何をした!」

ヒバリは怖い顔つきでリーフィアに問いた。

「あなたの、封印されている魔力を解放しただけよ! 」

ヒバリは、息を落ち着かせ冷静に考える。

(仮に彼女が言っている俺の身体の魔力の話が本当だとしたら、今の痛みはよく分からないがそういうことなのか? )

そして、ヒバリはふと横に立て掛けてある置き鏡を見た。

「うっ! うわぁぁ! 」

「ははは、あはははは! 」

彼女は腹を抱えて笑ってる。

「なんだよ、なんなんだよ! 」

ヒバリが驚くのもおかしくない。

彼の左目は紅く美しいルビーの宝石様な色をしていた。

そしてその瞳には、ライフル銃のスコープのような、十字に刻みの入った模様があった。

そう、彼の瞳はもはや普通の人間のものでは無かったのである。

「本当に驚いたわ! その瞳は特殊神器〈スナイプ・アイ〉ね」

ヒバリは動揺隠せないままリーフィアに聞いた。

「俺の、この目は一体? 」

リーフィアは淡々と話し出した。

「それはあなたの父親のモノね! この際だから説明しといて上げるわ。あなたの父親のちょうど10年前ね、私の居る魔法界の特殊魔法師団最高指揮官だったの! その魔法師団は皇帝に忠実でね、数多くの戦場で素晴らしい成果をおさめたと聞いたことがあるわ。あなたの父親は1人で敵の軍一個団体を壊滅させるほど強かった。おそらくその時最強の魔法師だったでしょうね! だけどね、ある日突然彼は、魔法師団を抜け、姿をくらましたのよ。でも、何故かは誰もわからない。あなたの父親の話はこんなとこよ」

「よく分からないけど俺の親父は最強の魔法師だったんだ…」

「あのさ、一つ聞いていい? 」

「えぇ、なに? 」

「この目は俺の親父の物って言ったよな? 」

「そうよ! 」

「この目は一体どんなものなんだ? 」

「あぁ、知らないのか。その目は特殊神器〈スナイプ・アイ〉話に聞いただけだけど、全てを見通す目と言われているわ。あなたは、父親の血を受け継いでるんじゃないかしら? 」

「あの、さっきから言ってる神器って何なんだ? 」

「まぁ、血筋にもよるけど魔法師は必ず一つの神器という特殊な能力をもって産まれてくるの。その中でもあなたや、あなたの父親のその、〈スナイプ・アイ〉は特殊神器と言って数少ない希少なものの一つになるわね!」

「その神器ってのは沢山あるのか? 」

「ええそうよ! 今言ったでしょ? 当然魔法師は一人や二人とかじゃないわ! 魔法師の数だけ能力も様々あるの」

そしてリーフィアは、何かを思いついたように言った。

「そうだ! そうよ! 神器がどういうものなのか知りたいなら使ってみなさいよ! 」

(いきなり言われても……)

「聞いた話だとその目は、ズバ抜けた視覚能力があるらしいわ! 」

ヒバリの頭は混乱していた。

そんなヒバリを気にもせず突然リーフィアは右手の手のひらをヒバリに向けた。

次の瞬間!

一本氷の刃が2メートルもない距離でヒバリめがけて凄まじい勢いで飛んでいく!

ストン!

だが何故であろうか!

その氷の刃は、ヒバリの後ろの壁に突き刺さっている。

するとリーフィアが。

「驚いたわ! その目! まさかここまでとわね! 」

ヒバリは放心状態でガクガク体を震わせていた。

「あははは! 大丈夫?」

「大丈夫な訳あるか! お前な! 人を殺す気か! 」

「魔法師の世界では普通よ? 」

(怖ぇ! )

「でも、気づいた? あなた避けたのよ。私確実にあなたを狙ったわ! 」

(避けた? )

ヒバリは後ろを振り返り壁を見た。氷の刃は壁に確かに突き刺さっている。

「これはどおいうことなんだ? 」

「それはね、リエル・シャウト〈反射的魔法感知行動〉って言ってね、自分の一定範囲の魔法を感知して、それに対する最善行動をその魔法師の能力範囲内で自動的に行う能力よ」

「じゃあ俺は避けたのか今のを? 」

「ええそうよ」

「ふっ! そうか! 」

ヒバリはピノキオよりも鼻を長くして言った。

「いやぁ、そんな能力があるなんてねぇ、天才とは俺の事を言うのかな」

だが、そのヒバリの鼻をへし折るかのようにリーフィアが言った。

「まぁ、魔法師はみんな持ってる能力なんだけどね」

ポキッ!

(へ? )

ヒバリは恥ずかしくなった。

「なんか、すいません、すいません」

「でも、あなたのリエル・シャウトは大したものよ! 」

「なんでだ? 魔法師はみんなある能力なんだろ? 」

「そうなんだけど、あなたはその目の視覚能力が干渉して、他の魔法師より、この能力に特化してるみたいね」

「そうなのか、そんなにこの目は視覚能力が高く、その能力と相性がいいのか。でもいまいち、ピンとしないな」

「だから、さっきのが私なら感知できた頃には死んでいたって事」

(この目にそんな力が……)

「てことはお前、俺のこの目の能力もよく分からないのにあんな殺人魔法をこの距離で打ったのかよ! 」

リーフィアはヒバリの怒ってる顔を見て笑い出した。

「あ、はははは!」

「何がおかしいんだよ! 」

「ごめんね、さっきのあなたの驚いた顔を思い出して、つい」

(恥ずかしい)

「うるせぇなぁ 」

けどヒバリは、リーフィアのはじめて見る無邪気な笑顔に、今までの色々な事がどうでもよく感じた。

そんなやり取りをしている時、突然ヒバリのケータイが鳴った。

「ちょっとわりぃ! 」

「うん」

「はい、もしもし桔梗です」

「もしもしじゃねぇよ! ヒバリお前今どこだよ! 」

あまりの声の大きさにヒバリはケータイを耳から遠ざけた。

幼馴染みのルキアからだった。

「声でかいよ! 今、家だけど、何? 」

「いや、そうじゃないだろ! お前入学式早々に来ないとか何考えてんだよ! 先生が早く来いって怒ってたぞ! 」

(やべぇ色々起こりすぎてすっかり忘れてた…)

「分かった急いで行くよ! 」

ヒバリがそう言った瞬間、リーフィアがヒバリの袖を掴んで言った。

「一人にしないで……」

「え? 」

「私を一人にしないで! 」

彼女にさっきまでの笑顔はなく、とても怯えている。

ヒバリはリーフィアに優しく言った。

「わかった」

「ほんとに? 」

「あぁ」

彼女はヒバリの、返事を聞いて少し安心した様子をしている。

「あ、あのさぁルキア」

「ん? どうした? 」

「悪いんだけど、先生に行けないって言っといてくれないか? 」

「体調でもわるいのか? 」

「あ、うん」

「そうか、分かった。 良くなったら早く来いよ! 」

「了解」

「それじゃまたね」

「うん、また」

電話を切るとヒバリはリーフィアに優しく微笑みながら言った。

「大丈夫か? 」

「うん、ごめんね、わがまま言って」

「まぁなんて言うか、とりあえずそんな悲しそうな顔すんなよ」

「……」

「うん! 」

リーフィアは今までで一番の笑顔で笑った。

その笑顔をみて、ヒバリも照れくさそうにほ頬をかきながら顔を赤らめ、彼女から目を離した。

リーフィアはそっと立ち上がり窓のドアを開けた。

春の暖かい風が部屋に入り込んでくる。

外を見ると綺麗な夕日がゆっくりと落ちていく。

「すっかり日も落ちちゃったわね」

「そうだな」

「少し喉乾いたから俺飲み物買ってくるわ」

「ヒバリわたしもいくわ」

「いいよ、何が飲みたい? 」

「いくの! 」

「はいよ」

二人はすっかり日の落ちた道を並んで歩く。

「暗いわね」

「まぁな、夜になっちまったからな」

するとリーフィアはヒバリの袖を掴んだ。

(な! )

ヒバリは少し動揺したが、彼女の事を考え、あえて何も言わなかった。

今日は雲一つなく綺麗な月明かりがふたりを照らしている。

「綺麗な星だなぁ」

「そうねぇ、とても美しいわ」

そんなたわいもない会話をしていると、 前から自転車に乗ったルキアがこっちに向かってきているのが見えた。

「お! ヒバリじゃん! 体調大丈夫なのか? 」

「お、おう、大分よくなったよ」

「そうか、なら明日学校こいよ! 」

「う、うん、俺いまからコンビニ行くからまたな! 」

「おう!また明日」

そう言うとルキアは自転車をこぎ去っていった。

「ごめん。あれ、さっきの電話してた友達……あれ? 」

彼女の様子がおかしい、とても驚きを隠せないような顔でヒバリを、見つめている。

「えっ、えっと、どうしたの? 」

「驚いたわ」

「何が? 」

「だって考えてみて、あなたは魔法師としての力があって私のことが見えている、だけど彼には魔力は全く感じなかったのにあなたのことが見えて、話もしていたわ!」

ヒバリは少し考えている。

そしてリーフィアが驚いている意味を理解した。

「そうか! 魔法師は普通の人間には見えないし、声も聞こえないはず!」

「そうなのよ! 不思議だわ」

ヒバリは難しいそうな顔をしているリーフィアに言った。

「そんなの簡単じゃね? 」

「え? 」

「よく分からないけど、要するに俺にはまだ普通の人間の部分があるんじゃないのかな? 」

「んーでも、それならつじつまはあうかもしれないわ」

「まぁ、難しく考え込むのはやめようぜ」

「うん、そうね」

そして二人はコンビニに入り飲み物をかって家に帰った。

そして、ヒバリの部屋に着くとリーフィアはヒバリのベットに倒れ込んだ。

「あぁあ、疲れたわ」

「そうだな、俺も色々起きて、色々聞いて疲れちゃった」

「ねぇヒバリ」

「ん? 」

「あなたに会えてよかったわ」

リーフィアは横になったままヒバリの方を向いて笑顔で言った。

ヒバリは照れ笑いを浮かべ恥ずかしそうに顔を伏せた。

「俺も色々あったけど、君と出会えてよかったよ」

「……へ? 」

リーフィアはこの間もない間に疲れて眠りに落ちてしまった。

「……」

月明かりが窓から差し込み、ベットに寝ている彼女を照らしている。

その美しく、気持ちよさそうに寝ている彼女を見てヒバリは微笑んだ。

そして、そっと彼女に布団をかけ、ヒバリもその横でベットに寄りかかりながら眠りについた。























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