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演劇部殺人事件 ~事件編2~

 程なくして、警察が大勢かけつけてきた。

 そして、順番に事情聴取をしていく。

 輝宙もその中の一人だった。


 「で? なんで君がここにいるの?」

 「……たまたまです」


 駆け付けた警官を指揮していたのはあの園崎警部だった。

 呼び出された一室で園崎警部とテーブルを挟んだ向かいの椅子に腰かけた

 輝宙はこの前の事もあり、気まずさで小さくなっていた。


 「はぁ~……あなたも天音ちゃんと一緒でトラブル体質なのね」


 園崎警部の言葉に『俺だって好き好んでじゃない。それに今まで何もなかったからきっと伊織川さんのトラブル体質が移ったんだ』と抗議していたが、負い目を感じていた為、何も言わなかった。


 「でも、困ったわ。天音ちゃんを呼び出すにしてもあの子感がいいから手こずりそうだし……天野君もう一度やってみる?」


 突然の言葉にビックリする輝宙。


 「えっ……? だってこの前ダメだったし……」

 「天音ちゃんが天野君は落ち着いてやればできる子だと思うって言ってたから。ダメだったらその言葉を餌に天音ちゃんを呼び出す!」


 園崎警部はそう言ってピースサインを輝宙に出す。

 輝宙は天音がそんな風に言ってくれてたのは嬉しかったが、園崎警部が元から期待せず天音の言葉を餌に呼び出そうとしている事が悲しかった。


 (くそ! でも、この前の事があるし何も言えない……こうなったら意地でも解決してぎゃふんと言わせてやる!)


 「や、やります!」


 闘志に火が付いた輝宙は即答で答えた。


 「よろしい! ではついて来なさい!」


 園崎警部は笑顔でそう言うと踵を返して歩いて行く。

 輝宙もその後ろ姿を追って後に続いた。



 「だから俺はやってねえ!!」

 「でも、脚本を書いてのるはお前だろ!」


 演劇部員が集められた一室の教室に着くと一人の男が大声を上げている。

 その横にいるのは成木刑事だ。


 「あっ、園崎警部お疲れ様です! ……その子は?」


 成木刑事は怪訝そうな顔で輝宙を見つめる。

 それもそのはず、以前の事件で推理を外したのを間近で見ていたからだ。


 「今日この現場に居合わせたそうよ。だから、もう一度推理してもらおうと思って」

 「しかし……」

 「成木ちょっと――」


 二人の刑事はこそこそと耳打ちで話している。


 (きっとさっきの事を話しているんだな。俺だって二度もかませ犬になるもんか! 絶対解いてやる)


 「なんだ? この子は?」


 輝宙が心で決意していると、後ろから声が聞こえ振り返ると、劇の時隣りに座っていた刑事がいた。


 「あっ、加藤君」

 「園崎先輩、なんですか? この子は?」

 「例の子よ」

 「例の子? あぁ、あの子ね。なぜここに?」

 「ちょっと来て――」


 園崎警部と加藤と呼ばれる刑事はまた耳打ちで話している。

 例の子と呼ばれる程、輝宙は警察内ではちょっとした有名人だった。


 (居心地悪いな……でも自業自得だし仕方ないか)


 輝宙は気持ちを切り替えていた。


 「じゃぁ成木、事件の詳細を説明して」

 「はっ!」


 話を終えた園崎警部と成木、加藤の中に入って輝宙も説明を聞く。


 「被害者は伊藤達也21歳。

  死因は毒物によるもの。

  毒物は劇中の乾杯のシーンに使われたブドウジュースの中から見つかっています。

  被害者の伊藤は演劇部のエースと呼ばれていました。

  しかし、わがままで傲慢な性格だったようです

  そして今のところ容疑者として考えられるのは演劇部の五名。

  伊藤を入れた五名しか演劇部がいなくて舞台裏から用意までこの五名だったようです。

  照明は離れたところにある機械室から先生にお願いしていたみたいで、

  こちらは三人の先生で対応していたようですし、

  機械室にしか出入りしていないようです。


  先ほど脚本兼舞台裏、小道具担当の学生斉藤よしき21歳に聞いたところ、

  劇中でジュースを飲み干すシーンはなかったそうです。

  おそらく伊藤がアドリブで入れたんだろうとの事ですが……」

 「それってよくあることなの?」

 「伊藤はエースと言われていて、わがままで傲慢だったみたいで、

  よく劇中にアドリブを入れたりしていたみたいです。

  今回の劇もリハーサルの時も飲み干していたみたいですし……」

 「それは自業自得という部分もあるのか……」


 三人の刑事のやりとりを黙って聞いていた輝宙は一人ぶつぶつ呟く。


 「それで、詳細は?」

 「はい、まず脚本及び舞台裏と小道具担当の斎藤よしき21歳。

  ブドウジュースをグラスに入れ用意したのもこの人物です。

  しかし、ブドウジュースは控室の冷蔵庫にしまわれていて

  誰でも触れるようでしたが。

  ただ、このブドウジュースは劇直前のリハーサルで

  開けられたものという事で、

  封を開けられたのは劇開始一時間前です。

  なので、実質的に毒を入れられる事をできたのは演劇部の部員だけです。

  斎藤よしきは舞台に出ていない事を考えると時間的な余裕はあります。

  動機としても伊藤に彼女を奪われたとの事なので動機としては

  十分考えられます。


  次に田中守21歳。

  劇中で主要メンバーの一人を演じていました。

  被害者の伊藤にイジメられていたというかこき使われていたみたいです。

  荷物持ちから、ミーティングや話合いで決まった事のメモ、リハーサルでの

  変更した点などを台本に記入したりまでさせていたみたいです。

  さらに、ご飯の買い出しから何から何まで。

  動機としてはあり得ます。


  次に三浦紗奈20歳。

  劇中では主要メンバーの一人でリーダーの恋人役でした。

  実際に現実でも三浦は伊藤と恋人関係にあったようですが、

  伊藤は浮気をしていたようです。

  なので、動機としては十分に可能性はあり得ます。

  女性一人なので劇直前の着替えで控室一人になる時間もあり、

  時間的な余裕もありました。

  ちなみに斎藤よしきの元彼女に当たります。


  最後に稲田健二21歳。

  劇中で主要メンバーの一人を演じていました。

  この人物がこの演劇部をまとめていたみたいです。

  特に悪い噂もなく人付き合いが上手で優しい青年だったみたいですが――」


 「まぁみんながみんな可能性があるってことかしらね

  伊藤のアドリブに注目した犯行か……。

  さて、一度みんなの話を聞いてみましょうか。

  成木、容疑者を呼んできて!」

 「はっ!」


 成木刑事は走って部屋を出て行く。

 輝宙は成木刑事の背中を見送りながらぶつぶつ呟いていた。



 「容疑者を連れてきました!」


 程なくして成木刑事が刑事達を引き連れ、容疑者全員を連れてきた。


 「よし!」


 園崎警部は気合を入れ、腕を組みながら言葉を発した。

 容疑者である学生は全員不安そうな表情を浮かべている。


 「だいたいの事は成木刑事から聞いたわ。伊藤君はブドウジュースに仕込まれていた毒物によって殺された。そして、そのジュースは控室に保存されていた。だから、この場で聞きたいのはリハーサルの後で控室に誰が出入りしたか、見てなかったか聞きたいの」


 園崎警部の言葉に場が静まり返る。


 「……あ、あの~」

 「あなたは……三浦紗奈さんね? なに?」


 沈黙を破ったのは容疑者である三浦紗奈であった。

 不安そうな表情を浮かべ、言葉を口にしている。

 そして成木刑事から耳打ちで名前を聞いた園崎警部が問いかける。


 「私……本番30分前に稲田君と田中君が着替えた後に一人で着替えに入りました。

  女性は一人なので……」


 三浦紗奈はおどおどした口調で話す。


 「そう。30分前……その後に誰か入ったか見た?」

 「いや、分かりません。でも着替えは私が一番最後です……」


 そう言うと三浦紗奈はうつむいた。


 「最後ね……伊藤君に浮気されたいたから殺そうとしたとか?」

 「そ、そんな事しません!」

 「三浦さんはそんな事しない!」


 園崎警部と三浦紗奈との田中守が口を挟んできた。


 「三浦さんは優しい人だ! それに伊藤君はそんな三浦さんの気持ちを穢した伊藤君が悪い! 自業自得だ!」


 一瞬、場が静まり返る。


 「あらあら。じゃあ伊藤君は殺されて当然だと?」

 「それは……」


 園崎警部に言われて、田中守は俯いて黙ってしまう。


 「でも、伊藤は確かに恨みを買ってたよな?」


 次に口を開いたのは稲田健二だった。


 「あいつ、わがままだったし大変だった。斉藤も彼女取られて恨んでたろ?」

 「それは……」

 

 稲田健二に話を振られた斉藤よしきはバツが悪そうに俯く。

 そして何より今までと違う稲田健二の様子にみんな驚いていた。


 「まったく……俺は演劇がしたかっただけなのに、いろいろ巻き込みやがって。

  今まで我慢してたけど、お前達のゴタゴタに巻き込まれたあげく

  容疑者扱いされちゃたまらねぇよ!

  だいたい本番前にそのブドウジュース飲んでたし

  もしかしたら俺が死ぬとこだったじゃねか!」

 「それは本当!?」

 「あぁ、本番5分前くらいだったな」

 「じゃぁなんで最初から言わなかったの?」

 「ジュースに仕込まれていたって聞いてなかったし。

  もしかしたらグラスかもしれないだろ?

  何かそんなトリックこの前テレビでやってたし」

 「あっ」


 園崎警部はそう言って口に手をやる。

 ついつい余分な情報を言ってしまっていたからだ。

 そして輝宙はこっそり生温かい視線を園崎警部に送っていた。


 「……たっく、とにかく俺は犯人じゃねぇから」


 そう言って稲田健二は両手を頭の後ろに組み黙った。

 あまりの稲田健二の変貌ぶりに容疑者である演劇部のみんなは呆気にとられている。


 「ま、まぁあなたの言いたい事は分かったわ。」


 園崎警部はそう言って動揺を隠しと視線を斉藤よしきに移す。


 「あたなが最後にジュースを用意したみたいだけど――」

 「俺はやってない! 証拠はあるのか!?」

 「それはまだ見つかってないわ。

 それに犯人とは言ってない。

 ジュースを入れた時に変わった事は?」

 「な、ならいいけど……変わった事、まぁ稲田が言う事が正しいというかジュースの残りが結構減っていたな……あとは……そういや、控室に入る前に田中が控室から出てくるのを見た!」


 そう言って齋藤よしきは田中守に視線を送。

 それに合わせ全員の視線が田中守に向けられた。


 「田中君、本当?」

 「そ、それは……伊藤君に言われて携帯しまって来いって言われたから……」

 「嘘だ! おまえがやったんだろ!」

 「ち、違う!!」

 「もういいわ! あなた達別室で待機してなさい。連れて行って。

  加藤君、成木は待機」


 「「はっ!」」


 近くにいた刑事達は返事をすると容疑者を別室に連れて行った。


 「さて、天野君分かった?」


 そして園崎警部はそう言うと輝宙の方を見て言った。

 ぶつぶつ言っていた輝宙はしばらくして園崎警部の方を見た。


 「一つ確認して欲しい事が――」

 「何?」

 「あの――」

 「……分かったわ! 成木! ちょっと!」


 輝宙が耳打ちで園崎警部に伝えるとすぐに成木刑事を呼んだ。


 「……了解です!」


 成木はすぐさま走って部屋を出て行った。


 (やっぱあの人足速いな)


 「本当に大丈夫か?」


 輝宙が心の中で関係ない事を思っていると加藤刑事が輝宙に声をかける。


 「分かりません……」

 「分かりませんって……遊びじゃないんだぞ」


 そんなのは痛いほど良く分かっていると輝宙が内心で思っていると早くも成木が帰ってきた。


 「園崎警部! 警部が言って通りでした!」


 成木の言葉を聞いた輝宙は無言で頷き、自分の推理に自信を持った。


解決編は5日後に投稿予定です。

よろしければ犯人が誰か、どのようにして被害者に毒入りジュースを飲ませたか考えてみてください。

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