プロローグ
前にこんな内容のものを書いた記憶がありますが、消したので問題ありませn( 拙い文ですが、よろしくお願いします!
平成から次の時代へ生まれ変わり、はや何百年。時代の変化は、技術の域を越えていた。
そもそも、地球には魔物が蔓延るようになり、魔法が使えるようになり、異人が生まれ……。
これらは技術の進歩で実現したわけではない、地球の普通の世界が、異世界と繋がった…と言うよりも、飲み込まれてしまったのだ。
皆はこう思うだろう…
『衰退し、技術も古い物となり、最早完全に異世界と化したのでは』と。
しかしそんなことはなかった。その時代の先進国ランキング第一位は日本であった。
飲み込まれた瞬間に、一瞬は皆あわてふためいた。が、その時代の大統領が冷静過ぎて、頭も良かったために、混乱はすぐに収まった。
日本や他の国の技術はそのまま持ち越され、そして、現在も進化し続けている。しかし、魔法ができたためにあまり苦労しなくなったので、あまり難しい物は作らなくなった。寧ろ、難しいわりに人々の生活を楽しくするのは簡単な機械が次々出されている。
そんなわけで、魔物だって襲ってきもせず、平和な時間が流れていた。
そして、同時に冒険者が流行り始めた。命の危険はあるが、そこまで危険な依頼はあまり無い。あったとしても、そこそこ強い異人で片付けてきた。
依頼の受注はギルドで行う。そして、元来から慎重な日本は何かと理由をつけ、他の国々よりも圧倒的に冒険者が少なかった。故にギルドが物凄く少ない。しかも、島国で周りは海、海には魔物が少ないため、あまり必要性も無かった。それに、平和なんだから大丈夫だろうと、さほど問題視してもいなかった。
しかし最近、急に魔物が狂暴化し、日本は危機感を覚えていた。ギルドを増やそうにも、募集をかけたところで集まるのは2、3人程度。他の大胆な国には遥かに及ばない。
しかし、基本安全地帯のギルド職員は人気があり、今日も、結構な数の応募者から1名選ばれ、その新人が初顔だしする日だった。
ギルド職員が、建物内にある大きなスペースへ集まりがやがやとしていた。
「おいおい、今回来るやつ、結構いい顔なんだってよ!」
「おぉお!最近女職員が増えて来てるしな……!!」
「こりゃ期待できそ…………」
とある職員が、期待に胸を踊らせ言葉を発した瞬間、夢はブチ壊されてしまった。
「……今日からお世話になります、櫻井碧です……。よろしくお願いします。」
「「……………………。」」
一瞬の静寂、そして。
「「男かよおおおおおおぉぉぉああああ!?」」
この日ギルドには、そんな男性職員の悲鳴と
「「きゃああああああああ////クール系イケメンきたあああああああ/////」」
という、腐女子職員の歓喜が響き渡った。
*
*
*
「えっと……何処に行けばいいんだっけ……あぁ、資料倉庫か……」
碧は一人で、初日の仕事をしていた。
まずは資料倉庫に行けと、何故かテンションがた落ちしていた未婚・フリーの40代男性のビースト系異人の職員から言われたため、素直に向かう。
ロビーから中に入り、薄暗い廊下を50mほど歩く。そしてすぐ右側の青い扉が資料倉庫だった。
躊躇せずドアノブを捻る。
カツカツと足音を立てて中に入ると、案外にも中は明るく、眩しい程だった。そこには、段ボールやら紙束やらがどっさりとあって、少し狭く感じた。
碧の外見は、前髪を目まで伸ばし顔がよく見えないが、髪の毛の隙間から覗く眼は鋭く程よい細さで、鼻も若干高めの色白。青み掛かった黒の髪の毛はサラサラで、しかし少しだけクセがある……といった具合の、普通より3段くらい上の俗に言うイケメンであった。やる気のない訳ではない。やる気はあるが面倒くさがりで特にこれといった趣味もない、なんだかつまらない印象だった。物静かで、何故コイツが採用されたのか些か謎である。
ハーフエルフ系の異人で、耳以外は大体人間に近い。耳が短く尖っているのが特徴だ。
と、とにもかくにも、あまり明るいところが好きではない主人公。そんな眩しい場所にいつまでもいられるはずがなく、奥に行く前に脚が勝手に出口へと向かっている。
扉と室内の境界線へ足を踏み出す瞬間。
「そこの新人!」
「…………はい?」
元気よく声を掛けてきたのは、小学生くらいの可愛い顔をした、人間とビースト系異人のハーフだろうか、猫耳が生えた金髪碧眼のゆるふわ天然パーマの少年(?)だった。
しかし、自分が新人というのがばれていて尚且つここにいると言うことは職員なのだろう。
「えっと…………?」
「僕はエラーリ・キャッツって言うんだ!これでも22歳だから小学生とか言わないよーに!!あ、えっと、君の上司ってやつだよ!よろしくね!」
「はぁ……櫻井碧です…よろしく。」
「うん!」
いきなりの登場に今まで何処にいたのか聞きたくなるが、聞いたらきっと何かに繋がって怒り兼ねないのでやめる。
エラーリは、なんだか上機嫌だった。
しかし上司らしく仕事を教えてくれ、仕事を簡単に覚えることができた。
お陰でその日から、仕事を順調にこなし、社内で有名人となった碧だった。