ある日の出来事
時として、思いもよらぬことに遭遇することがある。
先日のことだ。
その日、仕事帰りにATMに立ち寄った。
振り込まねばならぬものがあったため、まずは口座にお金を入れようと、画面に従って操作し始めた。
○万円入れたかったので、パカッと開いた投入口に紙幣をまとめて入れたが、一枚だけ受け入れてくれない。
何回も何回も『追加投入』ボタンを押して、残り1枚を入れようとしたが、やり直しには回数制限があるらしく、実行画面に移行してしまった。仕方なく、受け取ってくれた分だけを先に預け入れ、残り一枚については最初からやり直すことにした。
駄菓子菓子。
まっさら状態でやり直しているのに、どうしても、その一枚を受け入れてくれない。
『入れなおしてください』メッセージが出るので、そのたびに出しては入れ、出しては入れ~を繰り返したが、どうやってもダメだ。
仕舞いには、「ひょっとしてこれ、ニセ札なんじゃ?(だから受けとってくれんのか?)」と、むくむく疑念まで生じる始末。
ええい、もう!と思いつつ、キャンセルボタンを押さずに、じいいいいっと投入口を睨んでいたら、いきなりパカッと蓋が閉まって紙幣が見えなくなり、『いらっしゃいませ』画面に切り替わってしまった。もちろん、カードも吸い込まれたままだ。
呆然というか、唖然というか、びっくり仰天した。
「何じゃこりゃああああっ、私のいちまんえんはどこに消えたあああっ!?」と、腹の中で叫びながら、画面の横にあった電話を手に取った。
※このとき、誰ぞが使っているのを見たことはあるが、自分で使うのは初めてだ、と妙なときめきを覚えた、、、ことは、脇に置いておく。
が、その電話は何の役にも立たなかった。
いや、それでは語弊が生じる。
画面操作がわからない人などには役に立つ代物だが、そのときの自分には糞の役にも立たなかったと言い換えよう。
もしもの場合のホットライン(謎)は、機械の横の壁にかかっていた。
引ったくるように取ると、電話の向こうに向かって叫んだ。
「いちまんえんとカードが機械にダマシ取られた!」・・・・・・・とは言わなかったが、かくかくしかじかと窮状を訴えた。係のお姉さん(not オバサン)は、いちまんえんは確認後に記帳しておくが、カードについては、警備の人に取り出してもらう必要がある、が、そこに到着するのに30分はかかる・・・と言った。
この寒い中、こんなところでポツンと突っ立ってたら、挙動不審者みたいではないか。
絶対に嫌だと思って切々と訴えたら、郵送でもいいよと仰る。
でも、それだと、届くまでの間に不都合が生じる。
そもそもの目的である振り込みはどうなるのだ?
他行のカードだと振込手数料がかかってしまうのだよ、ワトソン君。。。と泣きたくなった。
微々たるものでも、払わずに済む手数料は払いたくない。
薄給の身の上、爪の先に火をともすようにして倹約しているというのに・・・(涙)。
と、じゃあ明日都合の良い時間にお渡しに行きますよ、と、その親切な係のお姉さんが言った。
それは、一晩とはいえ、カードが機械の人質になることを意味する。
しかし、それ以外の選択肢はなかった。
かくて、機械に向かって睨みの一瞥をくれたあと、よろよろと帰路についた。
振り込め詐欺には絶対引っかからない自信があるが、まさか機械にだまされるとわ(違)。
まったく、世の中何があるかわかったもんじゃないと思い知らされた出来事となった・・・。
※ちなみに、翌日、カードは無事に手元に戻った。